”少しの無理”を実践してみて分かったこと。ボイトレも歌も、やり残しなく進めることで加速がつく。

世の中には「この人、いつ眠っているんだろう」と思うくらい、絶えず動き回っている人がいるものです。もちろん僕の周りにもそんな人たちが何人もいます。

例えば、僕が前職である印刷の仕事をしていたころ、夜遅くまで僕と同じ会合に出席していたはずなのに、朝一番にはもう頼んであった見積書がメールで届いている・・・また、ライブまでの限られた時間の中で、膨大な数のレパートリーを覚えてきてくれるミュージシャン仲間・・・こういった人たちの行動を見ると、いつも僕は尊敬の念でいっぱいになり「自分もああいう風にならなければ!」と強く思いますが、なかなかそうはいきません。あの人たちには、ある種の”才能”が備わっているのでしょう。

とはいえ、僕なりに実践していることもあります。その一つは「とりあえず宣言してしまう」ことです。例えば今日のライブが終わったとします。「ああ、疲れた」ということで後片付けを済ませ、早々に失礼しようとするその時に、次回ライブで新たにカバーする新しいレパートリーを自らお客さんや共演者に申し出ることがあります。「次回ライブでは○○をカバーします。ぜひ聴きにきてくださいね!」といった具合です。まあ、これも僕の共演者である先輩シンガーが僕のやろうとすることに基本的には「NO」とは言わない懐の深さを見せてくれているから可能になっていることなのですが・・・とにかく”宣言してしまうこと”は、自分の逃げ道を閉ざし取り組まざるを得ない状況を作りだすので、根が怠惰な僕にとってはとても有効な方法なのです。

実は僕、本年(2019年)の年始に”今年中にソロライブを開催したい”という目標をこのブログに記しました。これも”宣言してしまうこと”で逃げ道をなくすためにとった行動です。ソロライブ・・・それは”逃げ道の宝庫”なのです。共演者がいないので予定はいつでもキャンセルできます。そもそもソロライブなどやらなくても僕のトレーナーとして、またシンガーとしての活動は充分に成り立つわけなのですから。新年のフレッシュな気持ちのうちに、”ソロライブ慣行”というその年の目標を掲げたことはとても良かったと思います。

また先日、先輩シンガーとのデュオライブで、こんな経験をしました。僕たちは3曲の新しいレパートリーを次回ライブで披露することを二人で取り決めていました。1曲目、2曲目までは順調に仕上げることができた僕ですが、3曲目の歌にとても苦労していました。「こりゃあちょっと無理かな」という気持ちが日に日に増していき、共演者である先輩に何度か電話で「すみません!今回は2曲にしてください」とお願いしようかとも思いましたが・・・その先輩もとても忙しい人で、例えるなら冒頭で書いたような「この人、いつ眠っているんだろう」というタイプの人なのです。いつも用意周到な先輩のこと、きっともう3曲ともすっかりマスターしているはずです。「そうだ、先輩だって少ない時間をやりくりして、”少し無理して”レパートリーを増やそうとしてくれているんだ!僕も”少し無理して”頑張ってみよう!」という気持ちになり、何とか無事3曲の新しいレパートリーをお客さんの前で披露することができました。

この経験は僕にとってとても大きな自信になりました。好評のうちにライブを終えることができた今となっては「ああ、あの時先輩に泣きつかなくて良かった」と強く思います。僕だって”少し無理する”ことが出来るんや!と・・・”眠らない先輩”に少し近づけた思いがします。

上記のエピソードではありませんが、ライブは何も新しいレパートリーが無ければやっちゃいけないものではありません。先輩と僕は、一晩のライブで歌うための充分なレパートリーをすでに持っています。けれど”少しの無理”をしたことにより新しく3曲が僕たちのレパートリーリストに加わり、次回のライブではこの3曲の質を高める目標を持つことができます。

ボイトレも同じことだと思います。やり残したことが積み重なっていく人と、”少し無理して”先に進んだ人・・・長いスパンでみると、とても大きな開きとなって声の自由度に影響してくるでしょう。

”少し無理する”・・・とても大切なことですね。僕が憧れる”眠らない人たち”も、いつも余裕しゃくしゃくではないはずです。人に見せないところで”少し無理して”頑張っているのだと思います。

以上、ご精読ありがとうございました。

筆者のプロフィール、ボイトレへの考え

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