ボイトレに腹筋は必要ない、良い声=腹筋ではない

僕はかつて「腹式呼吸」「息の支え」「横隔膜を使う」等の、いわゆる「喉以外に仕事を委ねる」ボイトレを何年も行なっていた時期がありました。

そして、当時の僕は「声は100%、喉の仕事である」という概念を持っていなかったので、体育会的・筋トレ的な練習も同時に行なっていました。

ボイトレに関連して、時々同時並行で行われるのが「腹筋トレーニング」です。

僕はそれほど熱心にやっていたわけではありませんが、ボイトレ本に腹筋トレーニングについての記載があったり、実際に僕の周りにも腹筋トレーニングを続けている人がいたりと、「ボイトレ=腹筋を鍛える!」というイメージは当時は割と流布していました。

10年以上前までは、ボイトレでは腹筋を鍛えるというイメージが今よりずっと浸透していたように思います。しかし今では当時ほど、こういった筋トレ的な要素をボイトレに取り入れる人は減った印象を受けます。情報を手に入れる方法も10年前とは様変わりしているので、正しい知識も早く広く拡散される時代なのでしょう。

さて今回の記事では、ボイトレに腹筋トレーニングは必要か?という事について書いてみたいと思います。

お付き合い下さい。


腹筋トレーニングは不要です

さて、発声に腹筋の力は必要か?ボイストレーニングでは腹筋を鍛える必要があるか?という問いに対する答えは・・・

「不要です」

このブログでも再三書いてきたように、声を司るのはあくまでも「喉」のみです。

ボイトレの方向性として「喉に100%の仕事を委ねる」事が大前提であり、また逆に「喉以外が発声の仕事に参入しない」ようにする必要があります。

よって、腹筋が発声のサポート役となることはありませんし、またあってはなりません。

腹筋トレーニングやストレッチは「いかにも、練習した気になる」のが、むしろ曲者です。確かに、やった直後は声の出がよくなる事はあるでしょう。ただし、それは「早朝にジョギングしたから、その後の仕事がはかどった」という程度の意味合いに等しいです。こういった一時的に声の出が良くなる練習に時間を費やすことは無意味です。(たとえ直後に声の調子は変わらなかったとしても)長い目で見て、喉を鍛える事が出来る・声を変えていく事が出来る(と、分かっている・証明されている)練習に時間を費やすべきです。

 

腹筋を鍛える事自体に害はありません

正反対の意見として「腹筋を鍛える事は発声にとって害になります。直ちに止めましょう!」という意見も見受けられますが、僕はそうは思いません。

腹筋トレーニングを毎日行なうと、当然身体は締まってくるでしょう。

場合によっては、憧れの「割れた腹筋」を手に入れる事が出来るかもしれません!

そして、鍛えられた腹筋それ自体が喉に悪さをしたり、発声を妨害したりすることはありません。

ライブで歌っているシンガー等は、容姿にも気を配っているでしょう。ミュージシャンたるもの肥満体になる事は避けたいものです!(僕も自分の体形に関しては、もっと自覚を持つべきだとは思います・・・)

お腹を固める事はやめましょう

上に書いたように、腹筋を鍛えること自体は発声に悪影響はありませんが、鍛えたお腹を「固めて」歌う事は避けて下さい。

お腹を固めて歌う、つまり身体を硬直させて歌うことは、喉の自由な動きの妨げになります。

そして一番困ることは、お腹を固める動作が「息の強さで発声を調整する」ことに直結するからです。

いわゆる「腹から声を出す」という悪癖の元になる可能性があるので、意識的に「お腹は固めない」ようにする方が良いです。

上で書いた「腹筋は鍛えるな!」という意見は、「お腹を固めて歌うな!」という意味なのかもしれません。

 

お腹に百科事典をあてがって練習していた経験

僕は、あるボイトレ本に載っていた練習方法の一つ「お腹に百科事典をあてがって発声する」練習をやっていた時期がありました。

これはどういう事かというと、立った姿勢で百科事典の側面をお腹にあてがい強く押し付けます。そしてその百科事典の圧力に反発するようにお腹に力を入れて(固めて)声を出す、というものです。

今から考えると奇妙奇天烈な練習方法ですが、当時は疑いなく行なっていたと思います。

当然、この練習で劇的に声が改善されることはありませんでした。

この練習を半年続けても喉の機能的には全く効果がないとは思いますが、練習の最後には多少声の出が良くなっているくらいにはなるでしょう。これは当たり前の事です。練習の間中、大きな声を出し続けているのですから・・・百科事典や腹筋云々によって声の出が良くなったわけでは決してありません。

 

まとめ

減ってきたとはいえ「良い声=腹筋の力」のような図式は、まだまだ蔓延しています。

腹筋の力が声に(良くも悪くも)直接影響を及ぼす事はありません。

むしろ、身体の硬直や強すぎる息など、デメリットの方が目立ちます。

ぜひ「喉に仕事を委ねる」意識でボイトレに励んでいただければと思います。

 

以上、ご精読ありがとうございました。

筆者のプロフィール、ボイトレへの考え

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