今は理解できないボイトレ助言でも、いつか分かる時が来る。「これか!」と膝を叩く瞬間。

僕はプロ野球、それも阪神タイガースの熱烈なファンなのであります。このブログの中でも野球のネタをいくつか取り上げてきましたが、野球などのスポーツ選手の名言は意外にボイトレにも役立つものです。スポーツ選手が語った”努力”や”継続”といった精神論に関する言葉はもちろんのこと、具体的な訓練の方法や身体の動きに関する考え方にも、僕たちが耳を傾けたくなるような助言がたくさんあるものです。

元阪神タイガースのスター選手・掛布雅之さんの言葉に面白いものがありました。それは「少し”詰まる”感覚で打つと、ホームランになりやすい」という言葉です。僕は掛布さんのこの言葉を、テレビの野球中継で何度も耳にしました。最初は僕も不思議に思っていました。ホームランというものはボールを最も遠くに飛ばさないといけません、なのに”詰まる”感覚とは???普通は”詰まる”と、打球は遠くへ飛ばず内野や外野へのフライとなってしまいます。けれど、掛布さんの解説を何度も聞いているうちにその意味が少し分かってきました。あまりに完璧な打球だとボールは上へはあがらずライナーとなってしまう、なので少し”詰まる”感覚を加えることによってボールを上にあげてスタンドまで運ぶようにする・・・こういうことのようです。うん!なるほど!という感じですね。

 

さて話は変わりますが、ボイトレのレッスンを受けたりボイトレ本で独習していたりして「これ、どういう意味なんだろう???」と首を傾げる機会があると思います。優れた先生や著者は、主観的・ニュアンス的な表現を避け、より客観的で根拠あるアドバイスをそのレッスンや著書の中で僕たちに伝えようと努力してくれますが、僕たち側の受け皿が整っていなかったり未熟だったりすると、その全てを理解できないこともあるものです。そのアドバイスを理解するほどには僕たちはまだ”熟していない”とでも言いましょうか・・・とてもシンプルな助言を深読みしたり難しく考えすぎたりして、あらぬ方向に向かってしまうこともあります。

上記のようなこと、つまり先生の口から出た言葉をよく理解できない時でも、その言葉を断片的にでも記録しておくべきだと思います。何か月後か何年後かに、僕たちが充分に”熟した”状態にまで成長したとき、その書き記された言葉をみて「これか!」と、膝を叩くこともあると思うのです。

ボイトレ学習者としての僕自身を例に挙げると、僕は「口いっぱいに音を蓄えて」という言葉の意味をずっと理解できずにいました。けれど今ではその意味がよく分かります。僕はこの「口いっぱいに」という助言を、今は自分の練習の中でとても大切にしています。またウォーミングアップの時も同じです。僕は自分の声の調子を上げるために、確かに「口いっぱいに音を蓄える」必要があると感じています。助言の受け皿としての僕自身が熟し、この言葉を理解できるまでに至ったのだと考えています。

そう考えると、自分の信じた先生の言葉は、一つのもれなく記憶しておきたいものです。今は理解できなくても、いつか分かる時がくるのですから。

以上、ご精読ありがとうございました。

筆者のプロフィール、ボイトレへの考え

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