僕たちの喉には、使われていない筋肉がたくさん残っており、その事が声を自由に出せない原因の一つだと言われています。
つまり「喉の未使用の筋肉を鍛える」事が、ボイストレーニングの目的の一つだといえます。
毎日をボイトレ目線で生活していると「こんな声、ボイトレに使えるな!」というものが見つかる時があります。
僕の場合は「ブログネタ」探しの目的も兼ねています。ブログを書いているおかげで世の中の色々な声や音に耳を傾ける癖がつきました!(笑)
僕は、ライブのある時はいつも楽屋でボイストレーニングをやっていますが、ある時スタッフの人がボイトレ中の僕の声を聴いてこんな事を言っていました。
https://ishibashivoice.com/cavernlessson/
「今度、甥っ子(赤ちゃん)の子守をしなくちゃならないんです。石橋さんがいつもボイトレで出している声、赤ちゃんをあやすのに丁度良さそうなので使ってみます!」
なるほど・・・赤ちゃんは確かに素っ頓狂な声であやすと喜びます。
僕は楽屋で、アンザッツにしても何にしても、あんまり世間から見たまともな声は出していないので、彼女はそう思ったのでしょう。
まず一つの喜びとして、楽屋から聴こえる僕の声が「赤ちゃんをあやす事に使える=素っ頓狂な声」と彼女が感じた事です。
僕は喉の未使用筋を鍛えているのですから、その声を聴いた人が「変な声=普通は出さない声」だと強く感じるほど、僕は喜ぶべきなのです。(笑)
・・・彼女は、僕のボイトレ中の声を覚えて帰って、実際に赤ちゃんをあやすのに使ったようです。
結果「いくつかは効果があった」という報告を頂きました!
やはり、赤ちゃんにとって聴きなれない素っ頓狂な声は興味深かったのでしょう!お役にたてて良かったです!
保育士の先生たちの喉
そんな出来事があり、ふと考えました。
職業別に見ても、声の発達や劣化に大きな差がありそうですが、「保育士の先生」はひょっとしたら喉の機能回復が進んでいる人が多いかもしれない!と。
普通に考えても保育士さんたちは大きな声を出す時間が、他の職業の人よりも長そうです。
ピアノだって弾くし、子供たちと一緒に歌ったり踊ったり、怒ったり叫んだり・・・
とても「音や声」に溢れた職場だと思います。
ひょっとすると、より通りの良い声を出す為に「喉の位置は高め」なのかもしれないし、「ガム交じりの声」を自然に会得している先生もいるのかもしれません。
喉の位置が高いと声は「鋭く」なります。また、ガム(歪み)交じりの声は声量を上げる事を可能にします。
そして、ゼロ歳児を預かる先生は、上記のスタッフの人のような「素頓狂な声で赤ちゃんをあやす事」を毎日やっている訳です。
「声は日常の積み重ねによって成長もし、劣化もする」と考えるなら、これほどボイトレ向きの職場は他にあるでしょうか?
もちろん個人差があると思うので確かな事は言えませんが、少なくとも相対的には「保育士の先生たちの喉は充実している」と考えた方が自然です。
ボイストレーナーとしての見地からは保育園の現場の音や声を聴いてみたい思いが芽生えます(笑)。
まとめ
「アンザッツで赤ちゃんをあやす」なんて、素晴らしい発想だと思います!(あくまでボイトレ的に”素晴らしい”)
7種類のアンザッツは、それぞれのキャラクターが際立っていればいるほど訓練価値は高いので、「アンザッツの上手い人は、赤ちゃんを上手くあやす事が出来る」のかもしれません(笑)
簡単にいうと「キャラクターが際立ったアンザッツ=赤ちゃんが喜ぶ”変な声”」だとも言えます。他にはガム(歪み)が上手い人も赤ちゃんや子供たちに喜ばれるかもしれません。子供たちが喜ぶ「動物の鳴き真似」は、ほとんどガム無しでは表現出来ません。
そして職業別に考えると、保育士の先生の喉は、機能回復が進んでいると想像できます。
保育園はおそらく「最も音に溢れた、喉にとっても最も過酷な職場」ではないでしょうか?子供たちは「マナーによって声を抑圧する」ことをやりません。あの強力な声に対抗するために必要な喉の機能は相当なものだと思います。言い換えれば保育士の先生たちも「マナーによって声を抑圧する」ことを放棄しなければならないでしょう。
以上、ご精読ありがとうございました。