理想の声・ゴールに向かって まずは宣言して自分を追い込みコントロールする

6年~10年と言われるボイストレーニングのゴールまでの長い期間、どのような目標設定で毎日の練習に取り組んでいくか・・・

最終的な目的は究極的にいうと「完全に自由自在に声を操る」という事になるのでしょう。これは全てのボイトレする人にとって共通の目的となります。

ただ、現状の自分の声・喉の機能を考えると、上記のような最終目的は「あまりにも遠い」と感じるかもしれません。

特にボイトレ初心者のうちは、上記のようなゴールに「本当に到達できるのか?」と、事あるごとに考えてしまうと思います。

とはいえ、ボイトレの経験を積めば積むほど、練習を重ねれば重ねるほど、当然ながらゴールへの具体的な感触をつかむ事が出来るようになってきます。「自分の憧れの歌手=ボイトレを始めたばかりの頃はずっと遠かった存在」が、いつしか身近に感じてくるはずです。自分自身の喉の機能回復が進めば進むほど「一流歌手も、自分と同じ人間なのだ!」と感じる瞬間があると思います。

そんな、遠く感じるゴールを少しでも現実的なものとして受け止める為に「短期的な目標設定」をしてみてはどうか?と思います。

僕の後輩に、そんな風にレベルアップしている人がいます。しかも彼はその事に気付いていないかもしれません・・・

今回は、そのような内容で書き進めてみます。

お付き合い下さい。


「取り敢えず宣言してしまう」後輩のお話

上記で書いた僕の後輩ミュージシャン。彼は僕より一回りも若い男ですが、とても謙虚な性格な上に音楽的にも研究熱心な人で、皆からとても可愛がられています。

そんな彼、「取り敢えず宣言してしまう人」です!もちろん良い意味で!(※これ以降の話を進めやすくするために、仮に「A君」と呼ぶことにします)

どういう事かというと・・・僕がお世話になっているキャバンクラブ大阪では毎年6月に一大イベントが行われるのですが、A君は前年のイベントが終わった直後から「来年は僕を使って下さい!きっと良い仕事をしてみせます!」と直訴を始めました。(ギタリストであるA君は前年のイベントには出演していませんでした)

このA君、おそらくこの時点では来年のイベントで演奏する曲のほとんどは「弾いた事がない」はずなのです。(6月のイベントでは主にポールマッカートニーのソロ曲が演奏されます。A君は”ビートルズナンバーを演奏するプロギタリスト”なので、ポールのソロ曲は勉強していないはずなのです)

にもかかわらず、彼は見事なまでに「良い仕事をしてみせます!」と「取り敢えず宣言してしまう」のです!

さて、年は明け、次の年の5月になると、いよいよイベントの「仕込み作業」へと入ります。

新しいレパートリーを覚えたり練習したりする事を、僕たちは「仕込み」と呼んでいます。例えば、メンバー全員がすでに覚えている曲ばかりで構成されるライブの事を「仕込み無しのライブ」などと言ったりします。

僕や他のメンバーは、もう何年も6月のイベント出演し続けているので「レパートリーのストック」があります。つまり、新しく覚える曲も各々数曲ほどなのでそれほど負担ではありません。

一方、A君にとっては「仕込み作業」は、とても過酷なものとなります。彼にとっては、ほとんど全て「新曲」なのですから・・・

僕たち他のメンバーは、リハーサルもリラックスして談笑しながら行なう事が出来ますが、A君を見ると・・・一人楽譜の山に埋もれてギターのネックをジッと見つめ、片時も気を抜く様子はありません。(他の先輩ミュージシャンも、その光景を微笑ましく見つめています。やはり自ら志願して困難に立ち向かう後輩は頼もしく感じるものです!)

 

「取り敢えず宣言」は良癖です

そんなA君は「取り敢えず宣言してしまう」ことを、自分の「悪い癖」だと思っているのかもしれません。

来年の6月まで「まだまだ時間があるから」と考えて「やらせて下さい!」と宣言してみたものの、「仕込み」は遅々として進まず自分だけが苦労している・・・安易に「宣言」などしなければ、こんなに悩まずに済んだかもしれないと、ひょっとして後悔したかもしれません。

僕はそんなA君に言いました。「君の、その”取り敢えず宣言する”癖は悪癖ではない。むしろ良癖だ!」と。

僕はA君を慰めるためにではなく、心からそう思います。「宣言」したから、追い立てられてたくさんの曲を覚える事が出来たのです。「宣言」していなかったら、いくらでも逃げ道はあるのですから。

結局、彼はイベントでのギタリストの仕事を立派にこなし、ミュージシャンとして一回り成長した事と思います。

 

無意識に「短期的な目標設定」をしたA君

結果的に、A君は無意識に「短期的な目標」を「宣言」した事になります。

彼が前年に「宣言」しなければ、6月までにそんなにたくさんの曲を覚えられていたとは思えません。(その必要はないのですから)

彼は無意識に自分を追い込んで目標達成に向かわせる「自己コントロール」に秀でているのだと思います。だから、彼にとってそれは「良癖」なのです。

 

短期的な目標の積み重ね→最終的な目的達成

A君の例のように、短期的な目標を達成するためには自分自身を追い込む事も大切であり、そのために「取り敢えず宣言」する事は、強制力がありとても有効な事だと思います。

ボイトレに置き換えてみると、「半年後には○○の曲を歌えるようになる」「一年後にこんな声を出せるようになる」等を「敢えて宣言する」ことです。宣言する相手は先生でも友人でも良いでしょう。

そんな短期的な目標を「自分を追い込んで」達成していきながら、最終的な「完全に自由自在に声を操る」というゴールへと自分自身を導いていければ、と思います。

やはり「自己コントロール」出来るか出来ないか・・・どんな事を成し遂げようとしても、一番大切なことなのだと思います。

 

 

以上、ご精読ありがとうございました。

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