不調の時ほど「難しい!」と感じる歌でウォーミングアップしてください

ライブや発表会前のウォーミングアップをどのようなメニューで行なうか?

これは本番の出来を左右する、とても大きな問題です。

調子の良い時はそれほど神経質になる必要はありませんが、不調の時は本番までの時間をどのように過ごすか?どのようなウォーミングアップメニューを選択するか?に慎重になってしまいますし、また慎重になるべきです。

今回は「不調時のウォーミングアップ」についての記事となります。

お付き合い下さい。

 


ウォーミングアップの鉄則「調子の悪い時ほど入念に」

他の記事でも度々書いていますが、調子の悪い時に「喉を休める」という選択をしてはいけません。

数時間、喉を休めたところで何の役にも立ちませんし、本番で上手くいかなかったら後で「なぜウォーミングアップしなかったのだろう!」と激しく後悔するでしょう。

僕の経験から言えること、それは・・・

「難しい!」と感じる歌で、念入りにウォーミングアップしてください。

 

なぜ「難しい歌」でウォーミングアップするのか?

ボイトレ本やネット情報では「簡単な歌でウォーミングアップする」ように指示されている事があります。

確かに調子の良い時は「簡単な歌でのウォーミングアップ」で事足りるかもしれません。

いや、時にはウォーミングアップなんて、やらなくても歌えてしまう場合もあるでしょう。

しかし、不調の時にはこの方法ではダメです。

不調の時、歌いにくい箇所はどういうところでしょうか?

それは「地声と裏声の中間地点、いわゆる”つなぎ目”」です。

喉が疲れていると、この「つなぎ目」が「大きな裂け目」となってしまいます。

「簡単な歌」とは、この「つなぎ目を簡単に行き来できる歌」なので、そんな歌でウォーミングアップしていたのでは、「一度も難しい問題にトライしないまま本番を迎える」ことになります。

これでは失敗は目にみえています。

「難しい歌」とは「つなぎ目を簡単に行き来させてくれない」歌なのです。

喉の状態は日々変化し、ましては今日はとても具合が悪いのです。

この具合の悪い喉でどうしたらつなぎ目を行き来できるか?」に、時間が許す限りトライするべきです。

誤解を恐れずに書くと、ボイストレーニングとは「地声と裏声のつなぎ目をどう処理するか?」をゴールとしているといも言える程、この事は大きな問題です。たった4音程の、この「つなぎ目」のために、僕たちは気持ちよく歌えたり、全く歌えなかったりします。つまり歌にとって「不調」とは「地声と裏声が繋がらない」事と同義だと言っても過言ではありません。

 

調子の悪い時のウォーミングアップメニューの一例

よくあるウォーミングアップの順番としては

  1. ストレッチなどをして体をほぐす
  2. リップロール・タントリルなどで息の量を調整しながら声帯を温める
  3. 簡単なスケールや難しくない歌を、小さなボリュームで歌ってみる

こんなところでしょうか。

しかし、現実に喉の不調を感じているならば、このやり方ではまず失敗します。

僕流、不調な時専用ウォーミングアップメニュー

1.階段を上ったり下りたり、とにかく息切れするまで動く!

ボイストレーニングにストレッチやジョギングなどを取り入れる事はナンセンスです。

しかし、実際に今まさに「声が出ないと困る!」という状況ならば、話は違います。

身体を動かせば(少なくとも今持っている喉の能力分の)声は、確かに出やすくなります。

これは、ボイトレとは何の関係もありません。

ただ単に体を「最も目覚めた状態」にしておきたいからで、テンションも上がってプラス思考になるでしょうから!

とにかく息が弾むほど激しい運動をして下さい。

2.大きな声を出す!

地声(チェストボイス)の一番出しやすい音域で、太く大きく「アー!」と何度か出してください。

あくまで、出しやすい音域で・・・高い音程は絶対にダメです!

これも上記と同じで、喉を「最も目覚めた状態」にしておきたいからです。

とにかく大きな声で!

3.裏声を出す!

出しやすい音域で普通に「フウー」と何度も出してください。

4.地声を出す!

出しやすい音域で普通に「アー」と何度も出してください。

5.難しい歌を歌ってみる

多分、最初は全然歌えないでしょう。

とくに「地声と裏声のつなぎ目」で失敗するはずです。

その時に「絶対に地声のまま高いところまで持ち上げて歌わないように・張り上げないように」注意してください!

全然繋がらなくてもいいので、とにかく弱くてもいいので「繋げて歌う意識」を持ってください。

そういう風に「繋ぐ努力」をしていると、声はガラガラになってくると思います。

そうなったら無理をしないで(3.裏声を出す!)から、何回も繰り返していると、少しづつ歌える時間が増えて曲を先へ進められると思います。

僕は上記の方法で何度も不調を払拭する事が出来ています。キーワードとしては「決して持ち上げない・張り上げない」事です。要するにミックスボイスを出す方法を思い浮かべてみてください。音量を落としてでも「ミックスする・繋ぐ」という意識を持つことが重要です。

まとめ

僕の経験からお伝え出来る事は、不調の時はとにかく「ウォーミングアップ」です!

バンドの他のメンバーが喫茶店に行ってしまっても、不調のボーカリストは出番直前までとにかく「ウォーミングアップ」

そして、歌で一番難しい「つなぎ目」を行き来する「難しい曲」を歌っておかなければ、本番での成功はありえません。

身体と喉を目覚めさせ、何度も「つなぎ目」にトライしていれば、不思議に段々と繋がってくるものです。

不調の時のボーカリストはとても孤独です。誰も助けてくれないですし、他の楽器の奏者が気楽な存在に思えてくるかもしれません。でも、不調を乗り越えたなら、お客さんはボーカリストにくぎ付けになってくれます。「大きな危機」は、きっと「大きな収穫」をもたらしてくれるはずです。

 

以上、ご精読ありがとうございました。

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