声の記録・録音をすぐさま消してしまいたい衝動、一度リセットしてボイトレに心機一転。

僕は歌の仕事に就く前は印刷会社に勤めていました。小さな会社だったので、データづくりから印刷、製本や納品まで、全ての工程をこなさなければなりませんでした。

携帯電話が普及してからは、各お客さんからの連絡はほとんど僕個人の携帯電話にかかってくるようになりました。

携帯電話の普及・・・これは、仕事の在り方を大きく変えてしまったと思います。「いま留守です」という言い訳は通じなくなり、他の仕事をしている時でも休憩中でも、いつも携帯の着信に気を配らなければならなくなってしまいました。ちょっと携帯を忘れて外出しようものなら・・・帰ってきた時の”着信履歴の数”に憂鬱になることもありました。「ああ、この不在着信の人たちに今から一件一件電話して、”携帯を持たずに出かけてしまったこと”をお詫びしなくちゃならんのかあ」と。相手さんがその着信で伝えたかったことが良いことならまだいいですが、時には”お叱り”の着信なこともあり得ます。そんな時の相手さんは「仕事の失敗に文句を言おうとしたのに、電話に出やがらん!けしからん!」と、ご立腹の極みでしょう。

自分の携帯電話に残された不在着信が”お叱り”を伝えようとするものだった・・・僕にはそんな経験が何度もあります。もちろん自分の仕事が甘かったからなのですが、良い歳をして人から怒られるのは精神的に堪えます・・・そんなことが一日に何度もあると、ストレスの塊みたいになって落ち込んでしまいます。

そんな時の僕流の”ストレス解消・リセット”の方法がありました。単純です、「履歴を全部消去する」これだけです。

携帯電話の着信履歴が残っているとなんだか「怒られた記録が残っている」という気がして・・・

 

さて、何度もライブに出演していると、それこそ「消去してしまいたい」と考えてしまうほど出来の悪い日もあります。

全然声が出ない日のライブの後なんか、その日のお客さん一人一人に謝ってまわり、言い訳をし、代金をお返しし、さらにはビールの一杯もご馳走して差し上げたい気持ちになるものです。さすがに最近ではそんなライブは少なくなりましたが、歌の仕事を始めたころはそんな日の連続でした。

そんな時の僕の気持ちのリセットの仕方も、上述した方法と同じ「録音を消去する」でした!

ライブの録音・・・「今日は絶好調や!」と思っていても聴きかえすと「なんや、全然あかんやん」となるものです。ましてや歌っている最中から「全然声出ない」と感じている日なんかの録音は、きっと聴くに堪えないはずです。「ライブの録音は、更なるボイトレへの恰好の材料」だとは思いますが、あまりに声が出ない時の録音には、テクニック的な不備や今後のボイトレへの課題すら記録されていません。そこにあるのは「思った通りに声が出ず、無様に声をひっくり返らせている自分」の姿だけです。これはもう「明日から、また出直しや!」以外の考えは浮かびませんもの!

告白すると・・・そんな日の僕は”一秒も聴きかえすことなく”録音を消去していました。聴かなくても分かるんです、「今日のライブが零点だった」ことが・・・歌に関する予想はいつもたいて”悪い方に外れる”と相場は決まっています。”予想より良かった”は、あまり期待できないものです。

僕は今年(2019年)の年頭に、「全編、聴くに堪えるライブ録音を残す」という目標を掲げました。さすがにボイトレを何年も続けていると声はそれなりに変わってきています。一曲単位で聴くと「この曲、まあまあ歌えてるやん」くらいのレベルにはなってきましたが、こと”ライブ全編”となると、まだまだ聴くに堪えるとはいえません。粗が多く”完全”には程遠いと感じます。まあ、今年もまだ半年以上残っているので、諦めずに”全編聴くに堪えるライブ”に向かって頑張りたいと思います。

いやいや、油断していると足元をすくわれるかもしれません!声が全然出ず「明日から、また出直しや!」と、録音をすぐさま消去したくなるようなライブだけは絶対に避けなければ!と、あらためて誓う春の一日です。

 

以上、ご精読ありがとうございました。

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