憧れの歌手の、ボイストレーナーの、仲間のシンガーの、表情や仕草に注目してみる。喉の機能や発声を助けるマインドのために

先日、移動時間が少なく、急いでライブに向かわなければならない日がありました。ライブ前の用事が終わるのが19時、ライブスタートは20時過ぎ・・・幸いにも会場が近かったので普通に行けば間に合うはずです。けれどライブハウスに到着しても、どうやらリハーサルの時間は確保できないだろうということで、会場への道すがら車中でウォーミングアップすることにしました。(まあ、いつもの事ですが!)

時間の無い時のウォーミングアップでは簡単な歌ばかり歌っていたのではダメです、むしろ”歌いにくい、難しい”と感じる歌でウォーミングアップしていかなければ!・・・高音がたくさん出てくるキツい歌を車の中で歌いながら目的地を目指していました。信号で止まっても歌う事はやめずにひたすら歌い続けていると「ピッピッ」とクラクションを鳴らされたので隣を見ると・・・知人の車です!

車中で歌っている姿を、それも熱唱している姿を見られることは恥ずかしいものですね!僕は慌てて窓を開けて言いました「こんにちは!今からライブなんです!時間がなくて車の中で発声練習をしているのです!」・・・僕の慌てぶりに知人はただ微笑んでいました。なぜか言い訳している僕の姿が可笑しかったんでしょうね。

歌を歌っている時、それも本番さながらに熱唱している時の僕はとても”表情豊か”だと思います。眉間に皺を寄せて高音を叫んだり、首を横に動かしながらリズムを取ったり・・・車中でのそんな姿を見られたことが、僕は恥ずかしかったのです。僕が憧れているシンガーに似た表情や仕草を、車の中の僕は恥ずかしげもなくやっていたでしょうから・・・

 

歌を一生懸命に歌うときに無表情な人はあまりいませんね。憧れの歌手、尊敬するボイストレーナーの先生や先輩シンガーたち・・・歌う時には、皆それぞれ特有の仕草や顔の表情を備えているはずです。そして、その人の発声や歌唱テクニックを分析するとき、案外それらは無視できない要素なのです。

そういった表情や仕草は、歌における感情表現の手段であるばかりか、発声そのものの助けになっていることもあると僕は考えています。

例えば「叫んでいる歌手の表情」といわれると、どんな表情を思い浮かべるでしょうか?・・・小鼻と眉間に力を入れて皺を寄せ、眉を吊り上げたような典型的な”叫びの表情”が思い起こされます。「叫んでいる歌手」に”叫び声”を出させているのはもちろん”喉”ですが、”叫びの表情”が”叫び声”を発するための手助けにはなっていることでしょう。

また「甘く歌っている歌手の表情」とは・・・眉を少し八の字にして、陶酔するような典型的な表情を思い浮かべます。実際に”甘い声”を出す為に仕事する喉をサポートする役目を、そんな”甘い表情”は確かに担っていることでしょう。

ただし、こういう考えは危険だと思います。「叫ぶ表情で発声したら”叫び声”が出せる」「甘い表情で発声したら”甘い声”が出せる」という考えかたです。

歌声において仕事をしているのは100%喉であるはずです。もちろん息の力がなければ声は出ませんが、それすら喉からの指令によってなされているはずです。例えば、「叫ぶ表情を作ると、喉の○○筋がピンと張られて叫び声が出せる」・・・そんなことはないはずです。

表情や仕草が発声そのものに対して影響を与えて特定の音質の声を出しやすくする役目を担うとすれば、それはメンタル面からの作用が大きいのではないかと思います。つまり「叫ぶ表情」が”叫ぶ”というメンタルを作り、そのことが喉の機能に直接的な影響を与えて、実際に”叫び声”を出しやすくするという・・・

「思い浮かべること」の大切さを自著の中でたくさん書いているのはハーバート・チェザリーですが、表情や仕草が「思い浮かべること」の助けになることは簡単に想像ができます。別の言い方をすると「表情や仕草を作ることは、出したい声のメンタルコンセプトを助長する」とでも言いますか・・・

歌う時の表情や仕草について、特に「あんな声を出したい、あんな風に歌いたい」と強く願うなら、積極的に真似をしてみる価値は大いにあると思います。

僕やあなたの先生が”その声”を出している時の表情もまた、”その声”を出すためのメンタル的な手助けとなるはずです。

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以上、ご精読ありがとうございました。

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