「裏声」と仲良くなりましょう

裏声の事を「ファルセット」と呼びます。

「ファルセット」は「仮声」などと訳される事があるため、あたかも「偽物の声」「本来、使うべきでない声」と捉えられる事もあります。

しかし、実際のボイストレーニングは「裏声の成長」無くして上手くいく事はあり得ません。

今回は、その「裏声」がなぜ重要か?についての記事となります。

お付き合い下さい。


その音質に惑わされてはいけません

皆さんは「裏声」と聞いて、どんな声を連想されるでしょうか?

おそらく「ママさんコーラスのような声」「男性が女性の声を真似た時に出す声」・・・といったところでしょうか。

確かに歌の中で裏声を使おうとすると、場面が限定されるとは思います。

時々「俺は裏声なんか使わん!高音も地声で出すんや!」という貴兄もおられますが、それは生理的には不可能な事であり、そんな事にファイトを燃やすべきでは決してありません。

裏声のトーンが好きであろうが嫌いであろうが、僕たちボイトレ学習者は「裏声と仲良くならなければいけない」のです。

 

ボイストレーニングは「難しい歌でも500回繰り返し練習すれば歌えるようになる」とか、そういった思考では必ず失敗します。つまり、出せる声・歌える歌には成長の材料はもはや残っていません。出した事のない声、普段出さない声の中にこそボイトレ成功への要素が詰まっています。この原則は「奇声を発する事で声を育てる」という考え方にも直結します。

 

裏声の本当の役割とは?

裏声の役割のイメージとしては「地声を強力にサポートする」と考えて下さい。

地声で強く歌う事、ミックスボイスの音域を歌う事、高音を力強く歌う事・・・全ての基礎となるのは「裏声の強さ」と「裏声の音域の広さ」です。

つまり、裏声を強く広くすることはボイトレ成功の根幹となります。

地声を張り上げて歌うと、すぐに声を枯らす人と全然大丈夫な人がいます。この差は「裏声のサポート力の差」によるところも大きいです。裏声の機能が育っている人は普段の話し声にさえ、裏声のサポートの影響が音色として現れている場合があります。

 

低い裏声こそ重要!

声の自在性・スタミナにおいて重要なのは「いかに低い音域まで裏声が出せるか」です。

レッスンでは裏声を半音でも低くするためのトレーニングを行ないます。

「低い裏声」は実際の歌には使わないので、何も勉強しないまま声を鍛えようとすると「高い裏声」ばかり練習しがちになり、「低い裏声」は盲点となります。

 

僕は、仲間のボーカリスト達に「勉強の為に声を聴かせてください!」とお願いする事があります。そして、低い裏声を出してもらうと「この人は喉のスタミナがあるなあ」と感じている人は必ず100%裏声の音域が低い方へ広く伸びています。つまり裏声がどこまで低く出せるか?が、疲れずに歌い続けられるか?という事に直結します。

地声で充分に歌える音域の歌をあえて裏声で歌う事は、とても良いトレーニングになります。

 

 

初心者ほど裏声をたくさん練習するべきです!

 裏声は練習すればするほど、強く声量豊かに育ってきます。

そして低く下降させる事で、段々と(本当にゆっくりと、半音ずつ)低い方へ音域が広がっていきます。

地声を強く出し続けると喉を傷める可能性がありますが、裏声はたくさん練習しても喉にダメージを与えません。

喉が疲れている時は、裏声のトレーニングだけをやっても良いかもしれません。

また、ライブや発表会の直前のウォーミングアップは裏声中心に行なうべきです。

 

僕自身、ライブ前のウォーミングアップは「裏声が地声をサポートできる状態」「裏声>地声のバランス」になった時に完了としています。ウォーミングアップ後の僕の声は「ヘリウムガスを吸ったみたい」だと言った人がいます。「裏声優先の声」はそのような印象に聴こえるようです。

 

 

 

まとめ

裏声は音色が好きとか嫌いとか、そういう問題ではなく、ボイストレーニングにおいては、裏声ほど重要なアイテムはありません。

そして、意外にも重要なのは「低い裏声」です。

※ボーカリスト仲間に行なった僕の実験でも「裏声の低さ=声のスタミナ」である事は証明されています。

裏声は喉に与えるダメージも少ないので、たくさん練習するべきであり、ウォーミングアップは裏声だけでやってしまっても良い時もあります。

僕たちは裏声と仲良くなり、手を取り合って前進してゆかねばなりません!

 

以上、ご精読ありがとうございました。

筆者のプロフィール、ボイトレへの考え

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