声が裏返る!原因と対策を徹底解説!

こんにちは!京都のボイストレーナー、石橋謙一郎と申します。

今回は「声が裏返る原因とは?解決のための対策は?」について解説していきたいと思います。

「気持ちよく歌っていたら、突然声が裏返ってしまい、とても恥ずかしい思いをした」

誰にでもある経験ですね!

声が裏返る原因を考えて、あなたがもっと気持ちよく歌えるためのお役に立てればと思います。

では、よろしくお願いいたします!

「声が裏返る」とは

まず「声が裏返る」とは、どういう状態か、念のため確認しておきましょう。

「裏返る」という言葉を分解してみると

  • 「裏」→裏声に
  • 「返る」→ひっくり返る

裏声の別名である「ファルセットボイス(falsetto voice)」は、実は”ニセモノの声”という意味なんです。

つまり「声が裏返る」を言い換えると、「”ホンモノの声”がひっくり返って”ニセモノの声”になる」ということになります。

※「ファルセットボイス」にはさまざまな解釈があります。「声が裏返る」や「ニセモノの声」といったマイナスの意味合いがある一方、声の訓練のためには絶対に欠かせないものでもあります。

いしばし
いしばし
「ニセモノの声にひっくり返る!」・・・いかにも悪いことのように感じますね!

 

地声の働き、裏声の働き

声が裏返る原因を知っていなければ、対策をたてることはできません!

あなたの声が裏返るのは、主に高い音を無理して歌っているときだと思います。

高い音を歌っているとき、あなたの喉は「地声の働き」と「裏声の働き」を同時に行っていると考えてください。

難しい高音部分で、あなたは頑張って踏ん張っていますが・・・ついに持ちこたえられなくなって、あなたの声は二つの働き(地声の働き・裏声の働き)を同時におこなうことが出来なくなってしまいます。

そして、とつぜん!あなたの声は「人に聴かせるための歌声」ではなくなってしまい、「どうでもいい声」になってしまいます。

これが「声の裏返り」です。

いしばし
いしばし
「裏返った声」は、歌声の”残りカス”です。ちょっと言葉が悪いかな・・・

声が裏返る原因

声の種類は大きく以下のように分けられます。

  • 地声=パワーはあるけれど、高い音では苦しくなる。
  • 裏声=パワーはないが、高音も楽に出せる。

地声や裏声を発声しているときの、声帯の主な動きは次のようになります。

  • 地声発声のとき=声帯はギュッと引き締まっている。
  • 裏声発声のとき=声帯はピンと伸ばされている。

あなたの声帯は「ピンと伸ばされる」と「ギュッと引き締まる」を同時に行なうことによって「歌声」を作り出しています。

このことはとても大切です!

声帯が「ピンと伸ばされながらギュッと引き締まる」・・・そんな状態から出てくる声を「歌声」と呼びます。一方「話し声」を出すためには、そんな「ピン」と「ギュッ」のダブル作用は必要ありません。

歌声は、日常の話し声なんかとはぜんぜん違う種類の特別な声なのです。

何かの原因で声帯が「ピンと伸ばされながらギュッと引き締まる」ことが出来なくなって、とつぜん声が「歌声(=特別な声)」ではなくなり、弱々しく裏返ります。

声が裏返るのは、だいたいこんなシチュエーションではないでしょうか↓

緊張して歌っていたら、声が裏返った!

高音の歌を無理して歌ったら、声が裏返った!

高音で力を込め過ぎたら、声が裏返った!

何曲も歌って疲れてきたから、声が裏返った!

声が裏返らないようにするのは↓

緊張せずに歌えるようにする(=場数を踏む、経験を積む)

発声を改善して無理なく高音が出るようにする(=ボイトレする

高音で力を込めない歌い方をマスターする(=ボイトレする

何曲歌っても疲れないように、喉のスタミナをつける(=ボイトレする

いしばし
いしばし
・・・僕の立場からは、やっぱり「ボイトレしましょう!」っていうことになります・・・

声帯を伸ばすことが大切

声帯が「ピンと伸ばされながらギュッと引き締まる」ことができなくて、声が裏返る。

↑こう書くと「声帯を引き締める力を強めれば良いんじゃあ!つまり地声の訓練をやるんじゃあ!」と考える人もいますが・・・

むしろ、声が裏返ることの対策で大切なことは

声帯がピンと伸ばされる力を高める=裏声の訓練をすることです!

上手に歌うためには「声帯がピンと伸ばされながらギュッと引き締まる」ことができなくてはいけません。(ボイストレーナーは「声帯が”引き締まりながら伸ばされる”」のように、”引き締め”を先にもってくる言い方はしません!歌にとって一番大切なことは「声帯がピンと伸ばされること」だからです。)

声帯は「ピンと伸ばされる」ことによって、はじめて本来持っている素晴らしい能力を発揮できるのです。

声が裏返るのは、声帯が本来の能力を発揮できていないことの証なのです。

さあ、裏声の練習をたくさんやりましょう!

おすすめしない対策

いしばし
いしばし
こんな対処もあるけど、僕はおすすめしませんねえ

声質を固定する

低音部分=地声で歌う、高音部分=裏声で歌う。

確かにこうすれば、声は裏返りません。

また、かなり難しい高音の曲でも歌うことはできますね。

ただし、この歌い方をやり続けていたのでは、あなたの喉はいつまでたっても成長しません。

このやり方は、根本的な解決にはぜんぜんなっていないからです。

「声帯がピンと伸ばされながらギュッと引き締まる」という理想的な喉の働きには、そんな歌い方ではずっとたどりつけません。

歌詞をごまかす

歌詞をあやふやにごまかすと、確かに声が裏返りにくくなります。

でも、それはただ「誤魔化している」だけです。

歌にとって一番難しいことの一つに

喉の状態を大きく変えずに、いかにうまく歌詞を発音するか?

ということがあります。

僕のレッスンでは「アエイオウ」の言葉を、喉の形をあまり変えずに、しかもハッキリと発音する練習を行ないます。

なかなか面倒で難しい練習ですが、歌が上手くなりたいなら避けて通ることはできない大切な練習です。

喉の状態を大きく変えずに歌詞を伝える・・・難しいけれど、まさに「歌の醍醐味」といえる大切なテクニックなのです!

いしばし
いしばし
裏返るのが怖いから、歌詞をごまかした・・・これは本末転倒のように思います。

声量を抑える

声量がある=喉が安定している。

声量を上げようとすると喉の中のいろいろなバランスは崩れがちになりますが、それを怖がっていては説得力のある歌は歌えません。

声量を抑えると、確かに声は裏返りにくくなりますが、そんな対処は無意味なことのように思います。

いしばし
いしばし
裏返ることが怖くて、声量を上げられないなんて・・・脱却しましょうよ!

裏返らないためのイメージ図

上手に歌うためには、自分の出したい声のイメージを、頭のなかで正しく思い浮かべることがとても大切です。

声が裏返ることを防ぐために、参考にしてほしいビジュアルイメージを書いてみます。

地声/裏声、バランス図

裏声と地声のバランスを図にしたものです。

裏声と地声のバランスは、きれいなグラデーションで変化していくと考える癖をつけてください。

この図の左下(=最低音域)を見てください。

声が裏返らない理想的な歌声は、最低音域でも裏声の力がわずかに働いています。

また、右のほう(=高音に向かって)になればなるほど、地声の分量は減ってきて、右端では裏声ばかりになります。

声が裏返ることを防ぐには、たとえ低い音域でも声帯がピンと伸ばされていることが大切です。

また、音が高くなるにつれて地声の働き(声帯をギュッと引き締めること)が少なくなることが重要です。

 

参考までに、典型的な「裏返る声」を図に表すと、このようになります。

図の左側(=低音域)では、裏声の働きはゼロです。つまり、声帯はまったく伸ばされていません。

そのため、地声と裏声のバランスはきれいなグラデーションを描くことができません。

結局、音が高くなるにつれて地声の働き(声帯をギュッと引き締めること)を上手くコントロールできないと、声は突然に裏返ることになります。

先の尖った三角形

初心者は、高音での地声の力が大きくなり過ぎないように注意することが大切です。

先の尖った三角形のイメージを頭の中に思い浮かべてください。

音が高くなればなるほど、地声の質感・パワーが弱くなっていく(=ギュッと引き締める力が弱くなっていく)イメージを身につけてください。

出したい声のイメージを頭に思い浮かべると、ほんとうに喉はその通りに働いてくれます!不思議なことですが、ほんとうです!

出したい声のイメージを、できるだけハッキリくっきりと、頭の中に思い浮かべる癖をつけましょう。

※ボイトレが進むと、高音でもフルパワーの地声を鳴らすことができるようになりますが、初心者がやると喉を傷めます。

裏声のオーラ

地声が裏声のオーラに包まれているイメージを持ってください。

繰り返しになりますが、声が裏返らない無理のない発声のためには声帯がピンと伸ばされながらギュッと引き締まることが必要になってきます。

それを助けるためにも「裏声が地声を包んでいる」と感じることは大切です。

高音ではもちろんのこと、低音でも「声帯がピンと伸ばされている」状態を保たなければいけません。

そのため、声はいつも”裏声に包まれて”いなければなりません。

いしばし
いしばし
「全部の音域に裏声の音が入っている」ことが”歌声”の条件になります。歌声は、話し声とはぜんぜん違います!

裏返らないための練習

呼吸のチェック

まず、あなたが「歌のための呼吸」を行なっているかをチェックしてみてください。

ここが間違っていたのでは、いくら喉や声帯の練習をがんばっても、効果は得られません。

「歌のための深呼吸」←ここに詳しく書いています。

また、呼吸法全般については下記の記事に解説しています。

併せて参考にしてください↓

低い裏声の練習

裏声=高い声といイメージがありますが、声が裏返ることを防ぐには

低い裏声の練習が効果的です。

  • ウ母音にH子音をつける=「フ~♬」の裏声で練習する。
  • 半音ずつ低くできるように、音を下げていく。
  • 地声の音域でも裏声が出るようになってくる。

この練習に「フ~♬」を使うのは以下の理由からです。

  • 裏声発声の特徴=声帯の2枚のヒダの隙間が空いている。
  • 「フ~♬」を発声すると、声帯の2枚のヒダの隙間は必ず開く。

初心者の人は信じませんが、この練習を続けると、地声の一番低い音域でも裏声を発声できるようになってきます。

その結果、あなたはどの音域でも、声帯を「ピンと伸ばしながらギュッと引き締める」ことが出来るようになります。

毎日少しずつ練習すると、声が裏返ることはなくなり、今よりずっと艶のある歌声に変わっていきますよ!

高い地声の操作

地声のパワーを弱めずに高音を歌うと、喉は耐えきれずに色々な動きがグチャグチャになってしまいます。

その結果、声が裏返ったりかすれたり、良くないことが次々と起こってしまいます。

初心者のうちは、音が高くなるにつれて地声の音量を抑える練習が効果的です。

  • 「ア~♬」の地声を半音ずつ上げていく。
  • 音が高くなるにつれて、音量を下げていく。
  • 地声でも裏声でもない声(ミックスボイス)が出てくることもある。

「ア~♬」で練習する理由は、ア母音の特徴として”声帯をピンと伸ばす働き(裏声の働き)”が少ないからです。そのため地声の練習に適しているのです。

また、この練習をやっていると、或る時「地声でも裏声でもない声」が発声できることがあります。

これが世間でよく言われているミックスボイスというもので、”地声と裏声を繋ぐ架け橋”とも言われます。

喉の安定

喉は、舌の骨や胸の骨・耳の後ろ側などと、いろいろな筋肉で繋がっています。

これらの筋肉が弱くなっていることが、上手く歌えないことの大きな理由だと考えたのはフレデリックフースラーという大昔の大物ボイストレーナーです。

いしばし
いしばし
僕たちボイストレーナーは「懸垂機構」と呼んでいますが、平たく言うと「喉を吊っている筋肉」です!

「喉を吊っている筋肉」をバランスよく鍛えることは、安定して歌うためには欠かせません。

さて、いろいろある「喉を吊っている筋肉」の中でも、普段の生活ではぜんぜん使われない筋肉があります。

それは、喉をうなじ側に引っ張る筋肉(難しく言うと「輪状ー咽頭筋」)です。

これを働かせる練習です。簡単ですよ!

  1. 口を閉じる。
  2. うなじ=首の後ろに向かって大きく息を吸う。
  3. 吸いながら声を出す。

どうですか?喉がグーっと後ろに引かれる感覚があるでしょ?

この筋肉は大昔から大切だと知られていて、昔の有名な歌手は「俺は、うなじで歌う」と言っていたそうです。

毎日少しずつやっていると、この筋肉が目覚めてきます!

「伸ばされる」⇔「引き締める」の受け渡し

何度も書いてきましたが、声帯には大きく分けて「ピンと伸ばす働き」と「ギュッと引き締める働き」という二つの働きがあります。

この二つの働きを繋ぐ練習をご紹介します。

  1. 裏声でフ~♬」を発声する。
  2. 少しずつ「地声でア~♬」に変える。
  3. もう一度、少しずつ「裏声でフ~♬」に戻る。

この練習は、同じ音程の中で行なってください。

裏声~地声~裏声と、切れ目なくグラデーションで繋いでいってください。

これも大昔からある練習で、「メッサディボーチェ」という有名な訓練方法です。

かなり難易度の高い練習ですが、声が裏返らず安定して歌うためには必要な練習です。

これを上手くやるためにはグラデーション的に声帯の働きを変えれなければならず、それに伴って「響かせ方」や「喉の位置」など、大きな範囲の繊細な操作が必要になります。

レベルの高い練習なので、最初は「出来なくて当然だ!」くらいの気持ちで、ぜひ挑戦してみてくださいね!

「裏返す」歌い方

声が裏返る=歌がへた!恥ずかしい!

↑まるで、悪いことの代表選手みたいに書いてきました。

確かに声が裏返ることは不安定さの象徴ですが、わざと声を裏返らせることも必要です。

世界中のさまざまな歌唱法の中には「声を裏返らせる」ことが特徴のものもあります。

その代表がアルプスの伝統民謡などで使われる歌唱法、ヨーデルです。

専門的に難しく説明すると「低音の胸声と、高音のファルセットを急激に入れ替えて使う歌唱法」ということになります。

声帯の「ギュッと引き締める働き」を、急激にわざと取り除くのです。

意図せず「裏返る」から恥ずかしいのであって、わざと「裏返す」ことは立派な歌唱法になるということですね!

さて、ボイトレはまじめに、しかし!明るく元気にやらなければいけません!

ご存じでしょうか?「ヨーデル食べ放題」という面白い歌があります。

横並びで食べなくても良い生活が早く戻りますように、願いを込めてちょっと歌ってみました↓案外難しいですね!

まとめ

声が裏返ることは、確かに恥ずかしいことです!

僕もステージ上で何百回と経験していますから!

声の裏返りは、喉(声帯)の二つの働きである「ピンと伸ばされる」「ギュッと引き締まる」のバランスが崩れることで起こってしまいます。

緊張していた・・・高音の歌を無理して歌った・・・喉が疲れていた、声が裏返るシチュエーションはだいたいそんなところです。

ただ声が裏返る根本的な原因を治すには、正しい方法でボイトレし喉を安定させて、発声をコントロールできるようにしましょう。

特に大切なことは「声帯がピンと伸ばされる働き」を高めることで、そのためには裏声の練習をたくさんやりましょう。

声帯は「ピンと伸ばされている」状態でしか、本来の能力を発揮できないからです。

「裏声と地声を使い分ける」「歌詞をあいまいにする」「声量を抑える」などでは、声が裏返る根本的な原因を取り除くことはできません。

「地声と裏声のバランス」「高音での地声のパワーバランス」「低い音域にも裏声を加える」などのイメージ図を頭に思い描くことは、声が裏返ることを防ぐ手助けになります。

実際の練習としては「裏声の音域を低音まで伸ばす」「高い地声の操作」「喉を吊る筋肉を鍛える」「”ピンと伸ばされるす”と”ギュッと引き締まる”の受け渡し」などが効果的です。

声は「意図せず裏返る」から失敗なのであって、「わざと裏返らせる」ことはテクニックの一つであり、そんな歌唱法もあります。

最後になりましたが、このブログに書いたことが、あなたの「声が裏返る不安」を取り除くために役に立ちますように。

応援しています!

 

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