「気楽に一曲、歌ってみました」カテゴリーでは、その名の通り”気楽に歌った歌唱サンプル”を載せていきたいと考えています。これまでの「歌唱サンプル」はどちらかといえば”頑張って歌った”という印象の歌が多かったのですが、こちらのカテゴリーは、僕が長くレパートリーにしている曲や歌いたい曲、それも割合”気楽に歌える”曲を取り上げていきたいと思います。
なので必ずしも”ボイトレ的分析”を伴わないものになると思いますが、これを読んでくれた人・聴いてくれた人が「ああ、私の知らないこんな素敵な曲があるんだ!」と、その曲のオリジナルバージョンに興味を持っていただければ幸甚です。
僕自身の趣旨としても、とにかく”気楽に”歌うことを心掛けたいと思います。録り直しも出来るだけ少なくしたいと考えていますので「音程、外れてるやないか!」「リズム、走ってるやん!」といったお叱りも出てくるとは思いますが、そのあたりご容赦くださいませ。
さて、先日ピンクフロイドのシンバラインという曲をご紹介しました。今回歌ってみた曲も、あの曲と同じく映画「モア」のサウンドトラックに入っている曲「グリーンイズザカラー」です。
この曲も、大作志向になる以前の彼らの曲の中でも美しいものの一つだと思います。
一般的に”上手いボーカル”といえば、どんなスタイルをイメージするでしょうか?・・・「高らかに歌い上げる」「力強く説得力のある声」といった誉め言葉を思い浮かべることができますが、この曲のボーカルはそんな”上手い歌”のイメージとは真逆の「弱々しい」「儚い」といった類のものです。
試しにこの「グリーンイズザカラー」を”高らかに歌い上げる”様子を想像してみます・・・全くサマにならないどころか、滑稽にすらなってしまうでしょう。この歌は”歌いあげない”ことで、曲の良さ・メロディの儚さが浮かび上がる・・・そんな種類の音楽だと言えます。
つまりこの「グリーンイズザカラー」は、模範的な上手い歌の流儀を欲していないのです。弱々しい声を求めてボイトレする人はいないとは思いますが・・・音楽はいつでも”適材適所”、その曲が求める歌唱スタイルこそが正解といえるのでしょう。
グリーンこそ 彼女にふさわしい色
機敏な眼の動きが心を欺く
羨望という感情こそ
有望な人間と地獄の亡者とをつなぐ唯一の絆
「グリーンイズザカラー」の最後の部分の歌詞です。”羨望という感情こそ有望な人間と地獄の亡者とをつなぐ唯一の絆”・・・この歌詞を読むと・・・やはり”歌い上げる”ことを望んではいなさそうです。
以上、ご精読ありがとうございました。