【フースラーの言葉】悪癖は身に付きやすく、良癖は身に付きにくい

「悪癖は身に付きやすく、良癖は身に付きにくい」

これは、フースラーメソッドの発案者、フレデリック・フースラーの言葉です。

いわば「ボイトレ格言」ですね!

僕は格言を読むのが好きで、色々なジャンルの偉人による言葉をこのブログでもご紹介してきましたが、やはりボイストレーニングの巨人・フースラーの言葉は僕たちの喉の機能回復に直接結びつく具体的なものだと思います。

今回はこの言葉を手掛かりに、色々と書いてみたいと思います。

お付き合い下さい。


癖のない人・悪癖だらけの人

昨年5月、あるイベントに出演しました。

その時は、自分でライブハウスを経営している先輩との競演でした。

僕たちの出演前にアマチュアの弾き語りの青年が歌っていました。

彼の声は何の癖もなく、疲れた印象もなかったので、僕と先輩はお互いに顔を見合わせて「僕たちは、何年もあんな“自分の素の状態の声”なんか出してないよなあ」と笑いました。

連日の演奏で、僕たちの声はいつも疲れた状態だからです。

そして、僕はその青年の声を聴いてもう一つ感じた事があります。

高い音程にいくと「綺麗に裏返って」いた事です。

「綺麗に裏返る」声は、所謂「地声と裏声の混合状態」が無い声です。

例えていうなら「真っ白なキャンパス」と同じなので、彼をレッスンしたなら素直に伸びるだろうなあ、と感じました。

一方、僕がフースラーメソッドを始めた頃は「悪癖だらけ」だったと思います。

地声と裏声が不適切に繋がった「混合状態」で、裏声は太く硬直し、何より「呼吸の強さで高い音を出す」という「悪癖の代表選手」を身にまとっていました。

上記の二人(一人は僕ですが)は共に「ボイストレーニングのレッスンを受ける必要のある人」ですが、こんなにもスタート状態が違うのです。

そして、弾き語りの青年と僕、お客さんを前にして歌った時どちらが上手く歌えるか?と言えば「僕」ですが、どちらが多くの悪癖をもっているか?と問われても、やはり「僕」という事になります。

ボイストレーナー側からみれば、青年は指導しやすく、僕は指導しにくいでしょう。

やはり真っ白なキャンパスには何でも描きやすいものです。

歌の怖いところ・難しいところは「悪い発声でも、ある程度歌えてしまう」という事にもあります。そして、始末の悪い事に「時々上手く歌える日」まであります。なのでどうしても独学に頼りがちになってしまいます。

幸い、僕は悪癖を取り去るのにそれほど時間はかかりませんでしたが、一般的に発声の問題、特に「呼吸に頼った発声」は改善するのに時間がかかります。

「呼吸に頼った発声」を取り去るためには、「寝転んで練習する」という方法も有益かもしれません。「呼吸に頼る=お腹から声を出す」という事なので、これを無理矢理封じてしまうのです。寝転がっていてはお腹に力を入れにくいですから。悪癖がある時は、その悪癖が出ないような体勢・環境で練習すると良いと思います。

  

良癖>悪癖となった途端、加速度的に成長する

その昔、日本でのカラーテレビの普及率は50%を超えた途端爆発的に増え、ついには100%に達したと言われます。

ボイストレーニングもそんなイメージを持ってください。

「良癖>悪癖」の状態になるまでは、たくさん練習してスタートダッシュをした方が良いでしょう。

そしてその後、喉の機能回復は加速度的に進んでいきます。

 

喉以外の癖は無視して大丈夫です。

「こんな癖はつけないように、良い発声が出来ませんよ!」と言われる中には無視すべきアドバイスもたくさんあります。

 

  • 顎を上げてはいけない
  • 間違った口の開け方で発声してはいけない
  • 猫背で歌ってはいけない。
  • 間違った舌の位置で歌ってはいけない

 

 等、主に「外面的な」現れです。

これらに関する事を「悪癖だ」というのはナンセンスです。

あなたにとって、その顎の位置・その舌の位置・その口の開け方・その姿勢が「自然に出てきた現象」なら、それらを制限する事は「害」でしかありません。

むしろ、あなたにとってそれらの現象は「良癖」だと考えるべきです。

公園で走り回っている子供たちの姿を想像してください。あんなに「間違った姿勢」なのに「あんなに強い声」です。

 

まとめ

発声の悪癖を取り除く事は簡単ではありません。

しかし、一旦プラスに転じてしまえば、喉の機能回復は加速するイメージで良いと思います。

なので、ボイトレを始めた頃はたくさんの「良い発声」を喉に教えてあげるべきだと思います。

ボイトレメソッドの中には「姿勢や口の開け方」まで悪癖とみなすものもありますが、これはナンセンスです。

決してあなたの身体の自然な現象を「不自然な形」へと変えてはいけません。

 

以上、ご精読ありがとうございました。

筆者のプロフィール、ボイトレへの考え

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