”歌う”という大仕事をやり遂げるには、喉がいかに”小さな仕事を確実にこなせるか”が大切。

僕はこれまで何種類かの職業に就いていた経験があります。もちろん音楽の仕事もやっていましたが、音楽とは無関係の仕事に就いていた時期もあります。

僕は長い間、印刷の仕事をやっていました。名刺やはがきなどの小さなものから、学校の広報誌や団体の冊子、それから出版物の制作にも関わったことがあります。

名刺の印刷くらいは日常的な業務でしたが、時折やらせてもらう出版物の仕事は、やっぱりかなり慎重になります。序文、目次、本編、あとがき・・・それらが立派な装丁を施された形で仕上がります。もちろん納期も長くかかり、コストも安くはありません。

正直に言うと、お客さんとの打ち合わせのたびに「やっぱり出版物の仕事は難しいなあ」といつも感じていました。原稿の入稿、データ作り、写真の選定、表紙のデザイン・・・何しろ工程(工数)が多いので、その分だけ納期もかかりコストも膨らみます。

でも考えてみると、それぞれの工程はそれほど難しいものではないんです。いや、むしろシンプルだとも言えます。出版物の制作を難しくしているのは”各工程の難しさ”ではなさそうです。

小さな工数に分割できるなら、難しい仕事は何もない。

ヘンリー・フォード

これはアメリカの自動車メーカー・フォードモーターの創設者であるヘンリー・フォードの名言です。

冒頭で僕は一冊の出版物を完成させるための難しさ・工数の多さについて嘆いてみましたが、自動車を作る工程は出版物の比ではないほど複雑でしょう。一体いくつの部品と工程があるのかは分かりませんが、僕たち一般人から見るととても想像すら出来ないような代物です。何しろ自動車は人間が作り出した最も革命的な道具の一つだと思うので・・・。

そんな一見複雑極まる自動車製造でさえ「小さな工数に分割できるなら、難しい仕事は何もない」とフォードは説いています。超えられない山の如き大きな仕事も、それを構成する一つ一つの工程を見れば、意外にシンプルで簡単なものだということでしょうか。またこの名言には「各工程を疎かにしてはいけない」という意味も込められていると感じます。

 

歌うことは確かに”大仕事”です。

僕たちは信じられないような歌唱力をもった歌手の歌を聴いた時、想像を絶するものに出くわしたような驚きをおぼえます。

延々と続く高音、爆発的な声量、完ぺきな音程・・・それらを成し遂げている喉は、とてもとても難しく複雑な動きをしていて・・・やっぱり、超えられない山の如き印象を受けます。

そして、ボイトレ学習者的な見地からは「自分にはとても無理だ!」と、最後は触れ伏すしかなくなります。

けれどその超絶歌唱を「小さな工数に分割したら」、はたしてどうでしょうか?

 

喉が受け持つ”各工程”は、意外にシンプルなものです。

超絶技巧の歌手たちは、なにも特別な喉を持って生まれてきたわけではありません。そして、歌を構成する一音一音に関して、僕たちとは全然違う何か特別な操作をしたり動かし方をしたりしているわけではないはずです。

多くの人にとって難しい”換声点の扱い”を、なぜ名歌手たちは平然とやってのけるのか?・・・なぜ、あんなにも長く高音で歌い続けられるのか?・・・多分彼らがやっていることは、声帯の厚みや張力を調節したり、出したい声を明確にイメージしたり・・・僕たちがやろうとしていることと何ら変わりないシンプルな操作のはずです。

 

各工程を研ぎ澄ます、そして統合を極める

自動車製造も、各部品が悪ければ・・・各工程の仕事が未完成であれば・・・良い完成品とはならないでしょう。

歌も同じことだと思います。まずは単音で喉の操作や声のイメージ作りが完全に出来ることから始まり、短いフレーズから長いフレーズへ・・・最後は”歌”としての完成を目指していくものです。

ボイトレ学習者としての僕自身は、時折”各工程”がおざなりになることがあります。一音一音に対して注意を払えず、音質に妥協が生まれてしまいます。特に歌の練習ばかりやっていると、各工程を研ぎ澄ます意識が薄れている時があります。

僕はレッスンで「出来るだけ音を変化させて!」といつも言っています。音程を揺らしたりビブラートをかけたりすることによって喉の自在性を高める目的です。けれど、それも一音一音を研ぎ澄ます意識が前提にあってこそだと思います。

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