声を枯らして応援する?アンザッツで枯れない声を手に入れる

今年の夏は暑かったのですが、冬はどうなんでしょうか?僕なんかは辛抱がないので「暑いのと寒いのと、どっちが好き?」と聞かれると「両方嫌い!」と答えますが、どちらかというと夏の方が”まだマシ”です。京都の冬は本当に寒いんですよ・・・

さて、「秋」は様々な冠つきで表現されます・・・読書の秋、芸術の秋、食欲の秋(!)

とりわけ「スポーツの秋」と言われ、10月頃には全国各地で種々の運動会が行われた事と思います。

さて運動会では、出場する人たちはもちろん、応援席からの声援も大変熱気を帯びるもので、さしづめ「声を枯らして応援する」といった表現が使われます。

この「声を枯らして応援する」という表現、僕たちが日常的に普通に使っている言葉ですが、この中にはボイストレーニングの見地から少し深読みできる要素を含んでいるのでは?と思い、この記事の書き出しとします。

どうぞ、お付き合いください。


「声を枯らして応援する」とは、喉の中身だけを使うこと

さて、まず「声を枯らして応援する」という表現は「一生懸命応援する」ということなので、「声を、夢中で長い時間出し続けると声が枯れる」という意味なのでしょう。例えば、お酒を飲みに行って(特に騒がしい環境のお店で)夢中になって話し続けると声が枯れていた、なんていう事はあると思いますが、それと同じような意味合いでしょう。

さて、なぜ「声が枯れるか?」というと、それはとても簡単に言うと「喉の中身だけを使って、長い時間声を出した」からだと言えます。(喉の中身とは、声帯を伸ばしたり、緊張させたり開いたりするといった筋肉のことを指します)

現代人である僕たちの喉は、皆それぞれ(多かれ少なかれ)衰弱しているのですが、その大きな原因は「喉の中身しか使わなくなった」からなのです。

そして、ボイストレーニングにおいても、この「喉の中身」にしか働きかけないやり方では限界があり、巷でよく言われる「枯れない声を手に入れる」などということは、夢のまた夢なのです。

 

「声を枯らさず応援する」とは、喉を吊る筋肉を使うこと

では「声を枯らさず応援する」なんていうことは不可能なのかというと、そんなことはありません。

「喉の筋肉」には二つの意味があります。一つ目は上述したような「喉の中身」のこと(一般的に”喉の筋肉”という場合はこちらを指すでしょう)、そしてもう一つは”歌うための筋肉”とも言い換えることができる「喉を吊る筋肉(喉頭懸垂機構と呼ばれます)」です。

上の項で「現代人の喉は衰弱している」と書きましたが、それは「喉を吊る筋肉」の働きが弱くなっていることが大きな原因なのです。

 

「徐々に枯れてくる声」から「徐々に調子が上がってくる声」に変えていく

「声を枯らして応援する」という言葉の中には「長時間」「夢中で」という意味が含まれています。

つまり一般的には「長く夢中で」声を出す続けると「徐々に声が枯れる」と思われており、確かに実際そうなのかもしれません。

けれど、ボイストレーニングをすることで「枯れない声」の獲得は可能です。

それどころか「徐々に調子が上がってくる、最初より最後の方が声が良く出てくる」というスタミナ抜群の喉を手に入れることができます。

そしてその秘密は、やっぱり「喉を吊る筋肉」にあります。

フースラーメソードとその他のボイトレメソードを比べた時に何が違うのか!?と問われれば「喉を吊る筋肉に着目するか否か」であると言えます。そして僕が自分自身のボイトレメニューの中で、またレッスンで生徒さんを教える時、この「喉を吊る筋肉」を強化することをとても大切に考えています。

僕もかつては”スタミナに難のある”ボーカリストでした。ライブの後半ではいつも声が乱れて枯れていました。けれど今はむしろ尻上がりに調子を上げる事ができる”スタミナのある”ボーカリストに生まれ変わることができました。これはアンザッツトレーニングの効果が絶大に現れたからです。

 

やっぱりアンザッツ!

となると、やっぱり喉を吊る筋肉を効果的に鍛えてくれるアンザッツトレーニングこそが「枯れない声」獲得のためには必要不可欠だということになります。

繰り返しになりますが、あなたや僕、つまり現代人の喉は大変衰弱した状態にあり、その衰弱は「喉を吊る筋肉の弱さ」に原因があります。本来ならば、しっかりと張りがあり強く頑丈なはずのそれらの筋肉がたるみきってすっかり弱くなってしまっている・・・現代人の喉の悲しい現実です。

僕自身が感じているアンザッツトレーニングの効果は、ずばり「絶大」です。ボーカリストとしての僕はアンザッツによって”蘇ることができた”といっても言い過ぎではありません。

僕は、あまり時間のとれない日の練習はアンザッツだけで済ませるようにしています。言い換えればアンザッツをやらない日は一日もありません。アンザッツは僕のボイトレメニューの中で、最大の拠り所、必須科目なのです。

 

「声を枯らして・・・」日本独特の武道精神の現われを感じます

「声を枯らして応援する」という言葉の中には「腹から声を出す」に通じるような、僕たち日本人特有の”武道精神”のようなニュアンスも少し感じられます。

例えば、甲子園での高校野球の応援団が「腹から声を出して」「声を枯らして」応援する姿に僕たちは胸を打たれます。

そこには「合理的な発声」とは程遠い「根性論の美学」のようなものが感じられ、僕たち日本人はそういったニュアンスを好みます。

こう言い換えてみてはどうでしょうか?「腹から声を出して、声が枯れるまで歌った」・・・この言葉は正に「根性論の美学」の最たるものですが、「歌うこと」にそういった精神を持ち込むことは危険で遠回りです。

「歌うこと」は芸術的・感情的な表現であり、時には「合理性」を無視することによって美しさが際立つこともありますが、その「歌うこと」のために必要なボイストレーニングは、徹底的に合理的でなければなりません。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?

運動会の季節ということで、このような記事を書いてみました。

あっ!一つ書き忘れていたことがあります!

「枯れた声で歌いたい」という方はたくさんいますが、歌で使う「枯れた声」は、運動会で叫び続けて「枯れてしまった声」とは全くの別物です。

歌に使える「枯れた声」は、機能回復が進んだ喉での高いレベルのコントロールによって出す事が出来ます。つまり純粋な”テクニック”です。

間違っても、喉を酷使したりお酒をがぶ飲みしたり無茶をして「枯れた声」を作ろうとしないように注意してください。

 

以上、ご精読ありがとうございました。

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