【歌唱サンプル・I Want to Know What Love Is】私たちは自分自身で「歌えるか」「歌えないか」を”歌う前から”理解できる。

幸運にも、私はひと月に何度もステージ立ち歌う経験をさせていただいております。これはシンガーとして、またボイストレーナーとして本当にかけがえのないことであります。

毎度たくさんの人に聴いていただける訳ではありませんが・・・やっぱり、ライブで歌うということは特別なことです。何しろたくさんの予期せぬことが起こりますから。声の不調、緊張、音響に馴染めない等々・・・時にはギターの弦が切れたり、音が鳴らなくなったり、困りごとは神出鬼没です。

一方、私がいつも「大きな喜び」として感じること、”いちボイトレ学習者”として「練習を続けてきて良かった!」と思える瞬間は、「ある特定の曲の、ある特定の音が、以前より楽に歌えた」そんな瞬間です。

私たちの喉は「自分の得意な音・上手く歌える音」と「苦手な音・いつも絶えず失敗する音」を、リアルタイムでとてもよく理解しているものです。

ある曲を歌い始めると「さて、どのようにゴールに到達しようか」と、無意識のうちに考えますが、そのゴールまでには「たくさんの苦手な音」が行く手を阻もうとしている様子がありありと脳裏に浮かびます。以前のライブで失敗した音のことを、脳はとても鮮明に覚えているのでしょうか・・・いやむしろ、その音を出す前から、私たちの喉は「その音を歌うことができるかどうか」を知っています。これは多分「生理的に無理なものに対して、脳はそのことを理解できる」からではないかと思います。つまり、こう囁かれているのです「お前さんの今の実力じゃ、その音は歌えないよ」と。

けれども、その逆もまたあり得ると私は考えます。つまり「生理的に成功するものに対して、脳はそのことを理解できる」という。偶然とか、その日の声の好不調とかいう問題ではなく、”自分はその音を歌える域に達した”ことは、不思議な事に確信的に分かるような気がします。

さて、今回掲載する歌唱サンプルは、イギリスとアメリカの混成バンド・フォリナーの1984年の曲「アイウォナノウ(I Want to Know What Love Is)」です。私はフォリナーのリードシンガーであるルー・グラムの声と歌唱スタイルが好きです。ステージでのルーは、全身に力をたぎらせてとてもドラマチックに歌いますが、その声は重た過ぎず”適度に中性的な”印象を失いません。

私はこれまでもずっと、この憧れの曲を歌おうと散々苦心してきましたが、いつもその高い壁に阻まれ通しでした。(シンプルに、この曲の”高音”に対して付いてゆけませんでした)けれどここにきて最近、練習の声も少し変わってきた実感があり、ほんの少し”ボイトレの階段”を上がることができたように感じていましたので、この難しかった「アイウォナノウ」に対して”何とかなるのでは”という直感が芽生えてきました。なので、先日(2019年11月30日)のライブで久しぶりに歌ってみた、その時の音源です。

細かい音程の乱れや響きのバラつきはまだまだありますが(何よりも、エンディングのフェイクを”楽に・短く”細工しています)・・・とにかく”何とかなってきた”という印象なので、今後ともさらにより良く、この曲を歌えるように努力していきたいと思います。

 

以上、ご精読ありがとうございました。

筆者のプロフィール、ボイトレへの考え

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