風邪をひいても歌う方法

僕はかつては、とても風邪をひき易いシンガーでした。

一年に何度かは必ず風邪をひいて、その時のステージでは歌う曲目を限定したり、酷い時には他のシンガーに代役を頼まなければならない事もありました。

特に腹式呼吸中心のトレーニングをしていた時は、いつも喉の状態が悪く、ちょっとした気候の変化で簡単に体調を崩してばかりいました。

腹式呼吸により大量の呼気を使う事が可能になった反面、声帯はいつも過度の呼気と戦うはめになっていました。

それが、メソッドを見直してから、つまり呼吸に頼らない、喉の機能を高める事のみに視点をおいたトレーニングに変えてからは、見事に風邪をひきにくくなりました。

そんな中、実は密かに「喉の機能が充実してくれば、風邪でも歌えるようになるのではないか」と考えていましたが、何しろかなり無理なスケジュールでも本当に風邪をひかないので、ずっと確かめる術がありませんでした!(笑)

そして、この度、本当に久ぶりに風邪(しかも喉がイガイガするタイプ、シンガーの天敵です)ひきました。

本当に久しぶりに風邪を引いた状態でのライブに臨んだのですが、結果的には「不調を悟られずに」その日の演奏を終える事が出来たと思います。

そんな久しぶりの喉がイガイガする、咳も出るタイプの風邪に対してどのように対処したのか?風邪でも歌う為にはどんな準備をしなければならないのか?について書いてみたいと思います。

お付き合い下さい。


今年一番の不調

その週は火曜日・水曜日・金曜日・土曜日のライブ予定がありましたが、月曜日の朝からすでに「嫌な予感」がしていました。

喉が腫れぼったく、唾液を飲み込んでも違和感があり、おまけに熱っぽいという「立派な風邪」の症状でした。

そんな中始まったライブ活動、火曜日のステージは滞りなく済ませる事が出来ました。いやむしろ、いつもより声が良く出ている感覚さえありました。

風邪の前、一時的に調子が良くなることはこれまでにも経験しています。丁度お酒を飲んだ直後のようになぜがパワフルな声が出せる時があります。しかしその後、最悪な状態になる事も同じです・・・

しかし、水曜日の朝になると喉は最悪な状態になっていました!

少し咳が出始め、腫れぼったさは増し、唾液を飲み込むと痛みもありました。

以前ならば歌う曲目を限定して出演するか、可能ならば他のシンガーに代役を頼むくらいのレベルだったと思います。

 

ボイトレの成果を発揮する時がきた!

僕は、ここぞとばかりに(決して強がりではなく)自分の喉の機能の状態、毎日行なってきたボイストレーニングの成果を試そう!と考えました。

そして、本番までにしっかりと準備して予定通りのトレーニングとウォーミングアップを行なえば、遜色なく歌えるという自信もありました。

「不調を感じさせない歌を歌う」は、僕のシンガーとしての大きな目標でもあります。調子の良い時は誰でも上手くいくものです。不調の時にどこまでやれるか?が一番肝心な事のように思います。

 

行なうべき事と準備

以下、水曜日に僕が行ったトレーニングとウォーミングアップを書き記します。

午前中のボイストレーニング

裏声の練習(吸気と呼気)、アンザッツ、融合の練習、母音の純化などいつものメニューを1時間ほど行ないました。

これは僕にとってのデイリートレーニングそのままです。

夕方のボイストレーニング

これは普段は行ないません。いつもは入店してすぐに歌でのウォーミングアップをやります。

キャバンクラブ大阪にいつもより30分早く入り、もう一度、短めのボイストレーニングを30分ほど行ないました。

やはり少し心配があったので、いつもより入念にやりたかったからです。

歌でのウォーミングアップ

喚声点付近の音をたくさん使う、つまり「難しい歌を使っての入念なウォーミングアップ」を行ないました。これもいつもより長めにたっぷりと行いました。

 

本番での注意点

とにかく、地声と裏声を混ぜる感覚を失わないことです!

自分の声の「良いミックス状態・適正な融合状態」をイメージ(メンタルコンセプト)する事です。

その為には、普段の練習から自分の「ミックスされた声」と「ミックスされていない声」を聴き分けられ、感じ分けられる事が必要です。

風邪とはいえ「裏声」と「地声」がそれぞれ発声可能なら、歌う事もまた可能だと思います。究極的には、歌に必要な”材料”は「裏声」と「地声」だけだからです。後は両者を「上手く使いこなせるか」、つまり「上手くミックス出来るか」という問題さえ解決できさえすれば!

 

不調の時には「何が出来なくなる」のか?

不調の時、風邪でイガイガする時に、喉はどの仕事を「さぼる」のか?

それは「融合(ミックス)」です。

なので、喚声点付近の音をたくさん使う難しい曲、つまり「融合(ミックス)」させる事を強いる曲を使ってウォーミングアップをたっぷり行い、喉に「融合(ミックス)の仕事を思い出させる」事が一番優先されます。

もし、その日のステージで「地声ばかりで歌える曲」や「裏声ばかりで歌える曲」しか歌わないのなら「喉を休める」事も一案でしょう。

けれど、そんな事はないはずです。多くの歌は多かれ少なかれ「融合(ミックス)」しないと歌えないと思います。

融合(ミックス)の仕事をさぼろうとしている喉を、これ以上休ませてはいけません。

 

まとめ

「グレンヒューズ(ディープパープル等)は風邪でもちゃんと歌う!」と言われています。

僕は、かつてはこの言葉を信じられませんでしたが、今では「可能かもな」とは思います。

完璧ではないにせよ、僕は以前よりずっと「風邪でも歌える」ようになりました。

ただし「適切なウォーミングアップをすれば」という条件付きですが・・・

「風邪でも歌える」なんて、以前の僕からは考えられなかった事なので、やはり正しいボイストレーニング・喉の機能回復による成果は驚くべきものがある事は間違いありません。

今回は「風邪の時に歌えるか」という「実験」でしたが、また今後も自分の喉で色々実験していきたいと思います。

 

以上、ご精読ありがとうございました。

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