【ボイトレ格言】母音のコントロール、心理的な力、基本(分離・強化・融合)を大切に

僕は、スポーツ選手の名言には、意外にボイトレ学習者のためになるものが多いように感じます。

日々の弛まぬ努力を長い期間続けて自分の技術を磨こうとしているアスリートの姿勢は、そのままボイトレ学習者の手本となります。

そして、ボイトレすることは”筋肉を操ること”とも言えるので、「筋肉のプロ」である彼らの言葉と合致するのは当然のことでしょう。

さて、この記事では「スポーツ選手・アスリートの名言」を取り上げ、ボイトレに関連付けて色々書いてみたいと思います。

お付き合いください。


自分でコントロールできないことを排除して、できることに集中するんだ。

カール・ルイス

カール・ルイスのこの言葉、僕は「母音」について考えさせられました。

歌を歌う時、その曲の”設計図”のようなものをイメージし、先読みをして歌い継いでいくことはとても大切な事です。特に次のフレーズで自分が歌うことになる「母音」について強くイメージすることは、ことさら重要なことです。

三大ボイストレーナーの一人、コーネリウス・L・リードは「いかなる時にも”母音の音質”の事を常に考えるべきである!」と、自著の中で何度も何度も書いています。

「頭に何もイメージしないで歌う」「次に歌う母音を常に思い浮かべながら歌う」・・・両方の歌い方を試してみてください。母音を思い浮かべながら歌う方がグッと楽にスムーズに歌えるのではないでしょうか?一般的に知られている以上に「母音」は歌の大切な要素なのです。「次に歌う母音を頭の中で思い浮かべるだけで、喉はそれが出しやすい状態を作ってくれる」とさえいわれます。

カール・ルイスが言うように”自分でコントロールできないことを排除して”「母音をコントロールすることだけを考えて」練習する、歌ってみることは必要なトレーニングです。そしてその時は徹底的に「母音の音質に集中する」ことが大切です。

 

練習と違うことを試合でいきなりやることはできないので、試合の良し悪しは、すべて練習の結果なのです。

宇佐美里香

女流空手家・宇佐美里香のこの言葉は「練習=ボイトレ」と「試合=ライブ本番」に置き換えることができます。

練習で出せていない声が本番でいきなり出るなんてことはあり得ません。それどころか、常に「本番で練習の成果を100%出すことは難しい」と考えおかなくてはいけません。どれだけベテランになっても「練習<本番」はおろか「練習=本番」でさえ難しいのが実際のところです。

やっぱり、練習で出す声の質をどんどん高めていって、本番では(たとえ少し落ちたとしても)聴いている人に感動を与えられるような声に育てていきたいものです。

 

どんなにすごい体力を持っていても、どんなに素晴らしい技術を持っていても、それらを活かしているのは心理的なものとか、精神的なものなんですよ。

稲尾和久

プロ野球投手の”鉄腕”稲尾和久の言葉を、少し違った方向からみてみます。

喉の筋肉は、それそのものに触ったりして鍛えたり動かしたりすることは出来ません。例えば”喉を吊る筋肉(喉頭懸垂機構)を鍛えることによって声も変わってくることは分かっていても、まさかそこに”重し”をぶら下げて鍛えるわけにもいきません。

なのでボイストレーニングでは「出てくる声」を聴いて、喉にどんな動きが起こっているかを”想像”して、鍛えたり動かしたりしていきます。(喉頭の位置の高低など、外から見えるものもあります)

その「出てくる声」の音質を決めるのは”メンタル”の力です。つまり頭で思い描いた声の音質を再現するようにして声を出す・・・その結果、喉の中身は「その声を出す状態」に調整されていく・・・

つまり、ボイストレーニングはやっぱり心理的な力に頼らざるをえないところがあり、そこがまた面白く奥深いところなのです。

人間は本来「歌うための喉」を持っているのですが、それを活かすのはやっぱり”心理的な力”なのです。

稲尾和久さんは(世間の印象としては)とても“肉体派”なイメージが強い人ですが、そんな彼が”心理的なもの”の力が大きいと語っているとは、少し意外な感じがしました。けれどそこは、あれだけの実績(1シーズン42勝など)を残した人です、持って生まれた”すごい体力”も、心理的・精神的にコントロールされていたからこその活躍だったのでしょう。

 

彼らは基本である1、2、3をきちんと練習しないで、いきなり4とか5をやるんだな。

ジャイアント馬場

プロレスラー、“東洋の巨人”ジャイアント馬場は「基本の大切さ」のようなことを諭しています。

ボイトレにおける基本とは「声区の分離・強化・融合」です。これらをジャイアント馬場のいう「1、2、3」だとしたら、「4、5」とはさしずめ”ミックスボイス”や”高音発声”ということになるでしょうか。

ボイストレーニングでは、とにかく「声区の分離・強化・融合」のプロセスを踏むことが大切です。これらを無視すると「誰でも成功するボイトレ」からは離れた方向に行ってしまいます。

”基本が大切”であることは言うまでもありませんが、”何が基本か”を知っておかないといけません。ボイトレにとっての”基本”は腹式呼吸や”取り敢えず作ったミックスボイス”ではないはずです。

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