難しい歌ほど、焦らずゆっくりと丁寧に歌う

難しい歌・易しい歌・・・歌にはそれぞれ難易度の差があります。

そして、当然ながら多くの人が憧れる歌とは、往々にして「難しい歌」である場合が多いです。

さて、皆さんが「難しいな!」と感じる原因は、その歌のどんなところでしょうか?

「キーが高い」「歌詞の言葉が多い・発音しにくい」「表現が難しい」・・・等、様々な「難しい原因」があります。

そんな原因の一つ一つを分析することはもちろん無駄ではありませんが、ほとんどの問題は「喉の機能の未熟さ」という一点の結論に達してしまいます。

例えば上記の例だと「キーが高くて難しい」ことを解決するには「低音から高音まで一本化された声」つまり「声区融合」が必要になってきます。

また「歌詞の歌いにくさ」は「母音の不均一」に原因があります。(「1番は易しいけれど2番は歌いにくい」という事もあると思いますが、これは正に「母音の違い」による歌いにくさです。また”ラララ~”でなら歌えるのに、歌詞を乗せた途端に難しくなる場合も母音に原因があります。)

最後に「表現が難しい」のは、もちろん美意識の問題もありますが、「喉の神経支配の未熟さ」が原因かもしれません。(「頭では分かっていても、やりたい表現が出来ない」となると、喉をそのように動かせない、つまり喉の細部まで神経が行き渡っていないことが原因です)

少なくとも上に書いた3つの問題は「喉の機能回復」によって、ほぼ同時並行的に解決していくでしょう。そして「喉の機能回復」をもたらしてくれるのは、やはり「正しいボイストレーニング」だけです。

ボイトレには「ある一つの問題だけの解決」はあり得ません。正しいボイストレーニングには「高音だけ」「低音だけ」「ミックスボイスだけ」といった部分的な問題解決のためのトレーニングはありません。全ては「喉の機能回復によって、声の自在性を取り戻す事」、この一点に集約されます。よって当然ながら高い声も低い声も、大きな声も小さな声も、歌う声も話す声も・・・トータルに改善していきます。

ただし、皆さんが難易度の高い歌を歌う時に陥りがちな、もう一つの原因があります。

それは「焦って歌う」事です。

今回は、そんな記事となります。

お付き合い下さい。


難しい歌ではどうしても「焦って」しまう

難しい歌に挑戦する時は、誰でも「難しいな!」と身構えてしまい、更には「キーが高いな」「言葉が多いな」「長い曲だな」・・・難しい原因までもが具体的に脳裏に浮かんできます。

この「難しい!と身構えること」が、歌のテンポをあげさせ、歌詞を不明瞭にし、高音は早く済ませてしまおう!と焦る原因になります。

さらに、この「難しい!と身構えること」は、喉に対して良い事を一つも起こしません。

身体は緊張で硬直し、喉もそれにつられて緊張するのですから。

高くてしんどい音程だからといって高音を素早く歌い終えようとすると、ピッチは不安定になり最高音には届かず、歌全体がとても幼稚なものに聴こえてしまいます。「高音を急ぐ」ことは、歌にとっての最大の「ご都合主義」だといえます。

 

「焦る」心理に逆らう事が大切

上記のように「難しい!と身構えること」や「焦ること」は、ある意味当たり前の心理なのかもしれませんが、難曲に挑戦する時はこの「当たり前の心理」に逆らう必要があります。

つまり、あえて「たっぷりと歌う」ことをしなければなりません。

難しく考えるのではなく、とにかく一音一音「ゆっくり、たっぷり」歌うように心がけてみて下さい。

少し伴奏のテンポから遅れるくらいが丁度良いかもしれません。

歌には「急いで歌って良いこと」はありませんが、「たっぷり歌って良いこと」は、技術的にも表現的にもたくさんあります。

試しに伴奏より少し遅れ目で歌ってみて、録音してみましょう。きっと「丁度いい」と感じるはずです。伴奏とジャストのタイミングで歌うと、客観的に聴いた時はたいてい「歌が走って」聴こえます。普通に気持ち良く歌ったなら「歌が走る」ことがデフォルトだと思っておくとよいでしょう。

 

むしろ「たっぷりと」歌うことで、解決する事がたくさんある

上の項で書いたように「たっぷりと歌う」ことで、技術的なメリットもたくさんあります。

母音をしっかりと発音する(特に高音で)ことで言葉の明瞭さが増すばかりか、「声区融合」が促進され、歌い易くなるはずです。

表現がより丁寧になる上に、歌い易くもなるのですから「たっぷりと歌う」ことの重要性は計りしれず、「焦って歌う」必要性は全くありません。

難しい母音ほど本当はしっかりと明瞭に発音するべきなのですが、難しい!と身構えるほどに言葉はどんどん不明瞭になっていきがちです。

 

まとめ

難しい曲ほどゆっくりと丁寧に・・・これは歌だけに限ったことではなく、音楽全般に言える一種の「音楽的セオリー」です。

しかし、最初のうちは簡単ではないかもしれません。難しい物から逃げよう・早く脱出しよう、という本能的な心理が働くのですから。

その心理に逆らって、努めて「たっぷりと歌う」ことを、日頃から訓練しておくべきだと思います。

毎日のボイトレが上手くいっていたなら、「たっぷりと歌う」ことで喉は期待に応える動きをしてくれるはずです。

 

以上、ご精読ありがとうございました。

筆者のプロフィール、ボイトレへの考え

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