先生からレッスンを受けている方々へ・・・
せっかくお金を払って、時間をやり繰りしてレッスンに通っているのなら、少しでも「お得に」受けた方が良いですね。
この場合の「お得な」というのは、何もレッスン料を値切ったりするような意味ではなく、「レッスン一コマを出来るだけ価値の高いものにする」という事です。
今回は僕自身の先生という立場からみた「質の高いレッスンにしていくために生徒さんがやるべき事」を書いてみたいと思います。
お付き合い下さい。
レッスンの価値とは
当然、「時間が長い」「場所が近い」「安い」という要素も大事ですが、一番大切な事はその「質・内容」ですね。これは当たり前の事です。
生徒さんの声の成長プラン、それもインスタントなものではなく、長期的にいわば「一生ものの声」を手に入れるためには、先生と生徒さん双方の努力と忍耐が必要です。
「〇〇の時期までに△△の事が出来るようになりたい!」という生徒さんの目的に向かって、質的にも時間的にも、あまり狂いのない結果を得られる事が大切です。
実際、声の完成には「何年かかるか分からない」事は間違いではないと思いますが、3か月でこのくらい・半年でこのくらいという客観的な成長のデータはあると思うので、その短いスパンの成長度合いを足し算していけば、数年後の声の状態もある程度予想は出来ると思います。
価値の高いレッスンを受けるために生徒さんがするべきこと
目的を明確に伝える
歌えるようになりたい歌があるなら、いつまでに達成したいか?を先生に伝えるようにして下さい。
その目的に向かって先生は努力してくれるでしょうし、その時々で微調整をしてくれると思います。
例えば「一年後の発表会で、この曲を歌いたい」となれば、半年間は純粋にボイストレーニングのみ、残りの半年はレッスンの最後にその曲を歌ってみる・・・現実的なプランはこういうものとなるでしょう。
そして、先生も目的がはっきりしている人は教えやすいと思います。
必ず練習してくる
レッスンで30分から1時間、いくら頑張って声を出したところで「自主練習の蓄積」が無いと、あまり意味がありません。
レッスンの直前に少しだけ練習した等の「明らかな練習量の不足」では、当然のように成長は見込めません。
そんな場合のレッスンは「前回の復習」で終わってしまいます。
これは、あまりにも時間とお金の無駄です。
むしろ、レッスンとは「自主練習の成果発表の場」であると考えてはいかがでしょうか?
長期間通い続けている人ほど、こういった状況に陥りやすい印象を受けます。「継続してレッスンに通う」ことのみが目的になってしまっています。
先生も人間なので、良く練習する人には熱心に指導したくなります。生徒さんが「先生の教えるモチベーション」をいかに引き出せるか?がレッスンの質を大きく左右します。
疑問をぶつける・自主練習の状況を伝える
「この練習方法はどうでしょうか?」「この歌手の声はどうなっているのですか?」など、疑問を持った事はどんどん質問するべきです。
また、「この間の自主練習の時、こんな声が出ました」のような情報はどんどん出してください。
日常の練習で予期せず出た声は、今後のトレーニングの大切な道標となる事があります。
自主練習中に偶然出た声が、生徒さんの成長のサインとなる事があります。また、たまたま出た声は、いわば喉の筋肉が「誤動作」を起こしている訳ですが、この「誤動作」をいつでも起こせるように訓練すると、それは「生徒さんの声のバリエーションの一つ」となります。
どんどんデモンストレーションしてもらう
先生の声をたくさん聴かせてもらいましょう。
言葉やニュアンスで説明するより、先生の声を真似る努力をする方が手っ取り早い時があります。
先生のデモンストレーションを模倣する事で、生徒さん自身の喉は「その声を出す為の状態」へと調整されていきます。
ボイトレとは「出てくる声を頼りに喉の状態を推測し、調整して鍛えていく」行為です。レッスンでは、先生と生徒さんがお互いの声をたくさん聴く必要があります。
成長を急ぎましょう
石の上にも三年という。しかし、三年を一年で習得する努力を怠ってはならない。 松下幸之助
無茶な目的設定やあまりに急な成長を求める事はいけませんが、常に「成長を急ぐ」気持ちでレッスンを受けて下さい。
目標に向かって普通に訓練していたのでは、大抵は少し遅れた到達となってしまいます。
少し「成長を急ぐ」くらいが丁度良いです。
まとめ
ボイトレの先生は皆(おそらく)「声を出す事が大好き」「歌が大好き」な人達ばかりです。
なので、たくさん声を出して練習してきた人には、より熱心にレッスンをしてくれるでしょう。
つまり、生徒さん側から先生の熱意を「コントロール」すれば良いと思います。
そして、先へ先へと進みたがる生徒さんには必ず後押しをしてくれるはずです。
せっかくお金と時間を使っているのですから、質の高い価値あるレッスンを受けられるようにして下さい。
以上、ご精読ありがとうございました。