皆さんは、「歌手」「シンガー」「ボーカリスト」といえば、どういった立ち姿を思い浮かべるでしょうか?
ハンドマイクで歌う・・・スタンドマイクで歌う・・・座って歌うスタイルの人もいるでしょうか・・・
皆さんが憧れてきたシンガーのスタイルこそが、皆さんにとっての「典型的なシンガーの立ち姿」という事になると思います。
僕の場合は「楽器を弾きながら歌うシンガー」に、ずっと憧れを抱いてきたので、当然そういうスタイルを模倣し続けてきました。
具体的には、ポールマッカートニー・ジョンウェットン・グレッグレイク等の「ベーシスト兼シンガー」に一番強く憧れがあります。
これは単に好みの問題であって、「ギタリスト兼シンガー」「ピアニスト兼シンガー」、時には「ドラマー兼シンガー」になりたいなんていう人もいます。
世間一般的に、シンガーといえばやはり「歌専任」、つまり楽器を持たずに歌う人の事を指す場合が多いようには思います。「歌声比較検証」のような企画でも、ほとんどの場合取り上げられるのは「歌専任」のシンガーです。
さて、何を目的にボイストレーニングをやっていくかは人それぞれですが、「弾き語りをしたい」「バンドで楽器を弾きながら歌いたい」という人は意外に多いです。
そして「弾きながら歌う」には、やはり独特の難しさがある事は事実です。しかしその先には素晴らしい経験も待っているでしょう。
今回はそんな「楽器を弾きながら歌う事」「弾き語り」について、色々書いてみたいと思います。
お付き合い下さい。
楽器と歌を別々に考えない
「楽器を完全に弾けるようになってから、歌の練習をするんですか?」・・・弾き語り志望の生徒さんから質問を受けた事があります。
この質問に対する答えは「同時進行」という事になりますが、完全な「同時進行」ではありません。(意味不明な表現になってしまいますね!)
僕がずっとやってきたやり方は・・・※仮に「ギターでの弾き語り」という設定とします。
まずはギターを、曲の最後まで淀みなく弾けるくらいにはなっておかないといけません。コード弾きなりアルペジオなり、サラッと弾ける程度で良いと思います。この時点で細部まで詰める必要はありません。
それから歌いながら弾いてみます。この時はもちろん歌の方に多くの注力を向けますが、ギターの方も「チラチラと」気にするようにします。そんな風に何度も練習してみて、いつも詰まってしまう箇所は繰り返し練習します。
「ぼんやりとした意識の中で」弾いて歌う
上記で「歌の方に多くの注力を向ける」と書きましたが、僕の感覚としては「少しぼんやりとした意識の中で、歌とギターの両方の音を聴いていく」とでもいいましょうか・・・つまり、どちらか一方だけ「はっきりと明確に聴く」事は避けなければなりません。
歌とギター、どちらが破綻しても成り立たない訳ですから、同時に両方を意識しながら、より歌の方に集中していく、とでもいいましょうか・・・(このあたり、言葉で書くと難しいですね)
歌とギターの両方の音を聴く・・・最初は難しいとは思いますが、これも慣れると自然に出来てくると思います。ちょうど頭の中に2本の線路があるように、両方を同時に聴く事は可能です。
最終的には楽器は「自動化」したい
やはり最終的には、より意識を集めていきたいのは歌の方です。
慣れてくると楽器は自動化したい、また自動化できるようになると思います。そうなれば喉のコントロール、歌詞のニュアンス等に集中していけると思います。
上記は、僕自身が「シンガー・ボイストレーナー」だから「歌に、より意識を集めていきたい」と考えるのかもしれません。ギタリスト色の強い人なら「歌は自動化してギターの方に集中するように」と、アドバイスするかもしれません。
「弾き語り」は、とても難しいことですが、やる価値はあります!
「喉をコントールして声を操る」という、ただでさえ難しいことに加えて「楽器を弾く」という、これまた難しいことを同時にやろうとする訳ですから「弾き語り」は難関であることは間違いありません。
しかし、これは挑戦する価値が充分にあるものです!
何故なら「自分一人で完結する音楽」を人に聴かせる事が出来るからです。
それが仮に、ギターのシンプルなコードの伴奏でも、ピアノの簡単な和音だけでも・・・体一つと楽器さえあれば、いつでも「ライブ演奏」が可能となります。
「自宅に友人を招いた時に、弾き語りで一曲披露できる!」「たった一人で弾き語りライブを企画する」・・・これは素晴らしい事です!
弾き語りは難しいばかりではありません。楽器を演奏しながら歌う事によって「歌にリズムが出る」「より一層感情を込めやすくなる」など、音楽的なメリットもたくさんあります。弾き語りで歌う事に慣れてくると、楽器を持たないで歌う事が手持ち無沙汰でしっくりこなくなるかもしれません。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
弾き語りは、確かに難しい事ではありますが、上記のように「一人でライブが出来る」という素晴らしいメリットがあります。
もし「やってみたいな」と少しでも考えたなら、ぜひ挑戦してみてください!
今回の記事は、抽象的な表現が多くなってしまいました。文字で伝える事の限界を感じます・・・。弾き語りを教えてくれる先生もたくさんおられるので、不安であればぜひレッスンを受けてみてはどうでしょうか?
以上、ご精読ありがとうございました。