人を楽しませてこその歌、人を楽しませてこその音楽。先輩との共演で学んだ”外向きのエネルギー”の大切さ。

近頃(2019年3月中旬)雨降りの日が多いです。僕は降り立ったことのない小さな駅で降りて、その駅周辺の街並みを見物して回ることが大好きなのですが・・・こう雨が多いと、中々出かけられません。たまの休みにこそ出かけていってリフレッシュしようかと計画は立てるのですが、どうも雨の予報が行く手を阻みます。早く本格的な春が訪れて天候が安定してほしいものです。

さて先日、ある先輩シンガーとデュオでライブをやらせていただく機会がありました。本来の相方のシンガーが怪我をされたとのこと、代役として僕を誘っていただいただけでも光栄の極みなのですが・・・その先輩とは、お互いバンドの中の一員としての共演はありましたが二人きりのライブは初めてなのです。いざ共演してみて・・・やっぱりこの世界で長く現役第一線で活動を続けてらっしゃる人でした、僕はとても良い勉強をさせてもらい、清々しい気分で帰路に着くことができました。

もちろんその先輩と僕ではシンガーとしての立ち位置、個性、キャリア・・・全ての特性が異なっているので比べる事は出来ないかもしれませんが、少なくとも今の僕が持っていないものをその先輩は持ってらっしゃると感じました。

かなり個人的な内容も含みますが、少し記事として書き残しておきたいと思います。

 

「ライブは仕込みである」が実践されていた。そしてその仕込みは”外向き”のものであった。

本来の相方シンガーの怪我が分かり僕が代役を仰せつかることが決まってからすぐ、先輩から演奏曲目のリストが送られてきました。僕はそのリストをチェックして「このままで大丈夫です、よろしくお願いします。」との旨を伝えましたが・・・ライブ当日に聞いたところ、どうやらそのリストは来店予定のお客さんに事前にリクエストを募った上で作られていたようです。

「ライブは仕込みである」と、よく言われます。実際のステージ上で即興的にやれることはそれほど多くありません。そんな行き当たりばったりでステージに上がっていたのではお客さんを楽しませる事はできないでしょう。「ライブ=即興的に、その場の雰囲気で」と捉えられがちですが、実際は事前の準備にいかに手間をかけるかがライブの成功と不成功を決めてしまいます。

僕自身も自分のソロライブでは”仕込み”を大切にしていますが、それは”自分の”歌いたい曲を慎重に選んだり、”自分の”喉の調子を念入りに整えたり、”自分の”伝えたい歌詞を印刷して持参したり・・・あくまでも”自分”が主眼の「内向きの」仕込みに終始します。

一方、先輩は100%”お客さん”が主眼の「外向きの」仕込みでした。

 

お客さんを楽しませてこそ、シンガー・ミュージシャンの存在意義がある

さあいよいよライブが始まるぞ!ということで、僕がギターやマイクの調子を確かめていた時、ふと先輩の方を見ると足に何か細工をしてらっしゃいます。どうやら小さなタンバリンのようなものを靴に付けて、足でリズムをとるたびに音が鳴るような仕掛けだということです。確かに先輩と僕が二人でギターを弾きながら歌うライブ、静かな曲は良くてもアップテンポの曲ではちょっと賑やかさが足りません。足を踏み鳴らすたびに打楽器のような音が聴こえてくれば、会場も盛り上がりますね!

けれど・・・この先輩、当代随一と言われる美声の持ち主なのです!歌だけでもお客さんを充分に満足させられるのに、さらにその上の満足をお客さんに与えようとしているのです。

・・・今の僕には出来ないことです、いや!思いつきもしなかったことです!

僕たちシンガー・ミュージシャンはお客さんを楽しませることができなければ存在意義がないのです。常に、更に上の満足を探し求めていかなければならないのです。うん、それは確かにそうなのです!

 

音楽のバランスを考えて、あえて一歩下がる

この日のライブ、代役という僕の立場上「僕は一歩下がるべき」と考えていました。はい、会場内のお客さんのほとんどは先輩を見に来ているわけなので。

けれど、先輩はステージ上の僕を”対等な相方”として扱ってくれました。確かにそうですね・・・お客さんにとって”代役かどうか”は関係ありません。それどころか僕を”ゲスト”として扱い、”ホスト”である自分は一歩下がってくれていた様子すらあります。

もちろん全てはお客さんのため、音楽のバランスを考えての判断だったと思いますが・・・ミュージシャンは我が強い人が多いものです、なかなか相方をそんな風に扱えないものです。

音楽のため、お客さんのため・・・あえて一歩下がることは繊細なバランス感覚を要することでもあり、決して誰もが出来ることではないのです。

 

急遽決まったライブでしたが、上記のように僕はとても良い勉強をさせてもらいました。

この記事に登場する先輩は、僕の何倍ものキャリアを持つ人です。よって僕の何倍もの音楽経験を積まれ、僕の知らないことを何倍も知っているのです。それはどんなジャンル・職種でも同じ事ですね・・・長く現役の最前線で活動し続けている人は偉大なのです。

 

以上、ご精読ありがとうございました。

筆者のプロフィール、ボイトレへの考え

 

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