どんどん模倣や物真似をしてください ~複数の歌手を真似てください~

この記事は2018年3月22日に公開したものを2018年6月13日に追記・再編集したものです。

生徒さんから「憧れの歌手の物真似をして練習する事は効果的なのか?」という質問を受けました。

もちろん大いに推奨したいと思います!

「歌が上手くなりたい・ボイトレを始めたい」とは「〇〇のように歌いたい」とほぼ同じ意味だと思います。

そして、そもそもの動機である「〇〇への憧れ」はずっと消えないものであり、また失ってはいけないものです。

今回は、そんな記事内容となります。よろしくお付き合いください。

 


憧れを持ち続ける事

 「〇〇の△△という歌を歌えるようになりたいんです!」

ボイトレをこれから始める方達の大半のきっかけですね。

僕自身も経験があり、今でもずっとやり続けている事ですが、好きな歌手の声真似はもちろん、節回しやビブラートなどの装飾、更には歌っている時の表情や仕草なんかも真似したくなりますね。

素晴らしい事だと思います!

「憧れ」こそが精進や練習の原動力となります。

日々の練習は、ともすれば単調になって飽きてくる事もあります。

その時にこそ、この「憧れ」という全てのモチベーションの源へと帰る事が大切だと思います。

練習を始めたばかりの方でも、この道何十年の有名な歌手であっても、常に歌の道の伴侶とすべきは、この「憧れ」です。

 

模倣は個性の邪魔になるのか?

 時々、「好きな歌手の模倣をする事は個性開発の妨げとなる」という意見を聞きます。

僕は、ちょっと違うな・・・と思います。

個性とは「作り出したり」「磨いたり」するようなものではないと思っているからです。

何人もの歌手の模倣を重ねると、それに導かれるように自分自身の独自の音楽性が導き出されてきます。

歌とは、誰でも持っているその人独自の「歌心」を声に乗せて表現するものです。

心配せずとも、隠しようもない個性がいずれは歌の端々で聞き取れるように、自然にそうなってきます。

僕たちが憧れた歌手達は、インタビューなどで「俺は〇〇に憧れていた、〇〇のようになりたかったんだ!」と語ります。

彼らはもちろん強烈な個性を持つに至りましたが、それは「憧れを原動力とした模倣」を重ねる事によって導き出されたのだと思います。

ボイストレーニングは「個性を潰す」と言う人がいますが、それもどうでしょうか?

道具が無くては何も成しえません。

「正しく歌える声」は模倣するための道具です。

いくら「憧れ」を強く持っていても「模倣」することが出来なければその先はありません。

「声=道具」を得ることは何より先んじて重要な事だと思います。

なので、ボイトレを頑張っている人、特に始めたばかりの人は「大いに模倣」して良いと思います。

 

良い模倣、悪い模倣

 ここでの「良し悪し」はボイトレ的観点でのそれに限らせていただきます。

つまり純粋に「喉の機能面」から見た時の「良し悪し」です。

 

複数の歌手の模倣をする

ただ一人の歌手の真似だけをすることは避けるべきです。

声は固着を起こしやすいので、偏った声ばかり出していると、案外すぐに声域が狭くなったり声そのものが出にくくなったりします。

なので「たくさんの歌手の模倣をする」事を心がけてください。

 

タイプの違った歌手の模倣をする

「タイプの」違うとは、”二つの意味で”です。

まずは、自分の歌声とは出来るだけタイプの違う歌手を選ぶということ。

もう一つは、模倣する歌手の声色を複数のタイプで選ぶということです。

具体的には・・・

  • 喉頭の位置どり→「高い=平べったい声」と「低い=深く豊かな声」
  • 歌声の印象→「リリック=軽い=ソフトな声」と「ドラマチック=重い=ハードな声」
  • 歌声に使っている主な声区「低い=地声中心」と「高い=裏声中心」

もし自分の声の自己診断が出来る方ならば、自分の声に足りない要素を得るための工夫をすると、尚良いと思います。

例えば、籠った声の人は平べったい声の歌手を、軽すぎる声が悩みならハードに地声中心に歌う歌手を、という風にです。

これらもやはり声の固着を防ぐためです。

 

歌のテクニックも真似してみる

その歌手が使っている歌唱テクニックを真似る事で色々な事が分かってきます。

具体的に着目してほしい点は

  • 歌い始めや語尾に「濁り・エッジ」を入れている
  • 語尾をしゃくり上げている
  • 母音の響かせ方
  • ビブラートのかけ方

等です。

例えば「語尾をしゃくり上げる」と「地声と裏声混ざり易くなる」ので結果「歌い易く」なります。

その歌手のライブ映像などを観て「この人は独特な歌い方をするなあ」と思ったら、その「独特な歌唱テクニック・歌いまわし」をぜひ研究してみてください。

その中には「その歌手がなぜ何曲も歌い続けられるか?」という秘密が隠れている場合があります。

つまり表面上独特に聴こえる歌いまわしには、その歌手が「機能性を考えて」(意識的か無意識かは分かりませんが)そのように歌っている「テクニックの秘密」が詰まっています。

「魅力的」で、しかも「歌い易くなる」テクニックであれば、使わない手はありませんよ!

ボイストレーニングの歴史をみても、トレーナーの声を生徒が真似る、というレッスンはずっと行われてきています。

もちろん、僕のレッスンでも僕の声を真似して発声してもらう事から始めています。

 また、僕がステージで歌う前に「今日は少し声が重たいなあ」と感じた時は「軽い声」の歌手の動画を観たりしています。

そして、「こんな風に歌いたい」と「意識的に憧れる」ようにメンタル調整をすると、実際に声は少し軽くなります。

こんな風に、喉・声はメンタルからの影響を信じられないくらい強く受けるので、声が出にくい時には「声、出ないかも」なんて絶対考えてはいけません。

そんな時は自分の模倣対象の引き出しの中で「一番軽い声」の歌手を引っ張り出してきて、真似をして少し歌ってみる事です。

常日頃からその歌手を模倣して歌っているならば、喉はちゃんと反応してくれます。そして声はその方向へ調整されます。

 

まとめ

ボイトレをする方には、ぜひたくさん模倣していただきたいと思います。

それこそテレビで聞いた歌、街で流れていた歌、誰かのライブに行って聴いた声・・・

少しでも惹かれた声ならば積極的に物真似してみたいものです。

「惹かれる声=今の自分では出す事が出来ない声」とも言えるので、新たな声への可能性としても是非!

 

以上、ご精読ありがとうございました。

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