僕が色々なボイトレ本で独習したり、何人かのトレーナーさんにレッスンを受けたりしている中で、ある先生に、こんな一言を言われた事があります。
これからは決して自分を「歌の上手い奴だ」なんて思わんことだ。何故なら、本当に上手い奴はボイトレなんかやろうと思わん!
この先生は、当時の僕の「僕は上手いんや!」というバカげた自信を見抜いていたのでしょう!
「こいつは、自分の声に自信を持っとるな!」てなもんでしょう。
確かにうぬぼれていたのだと思います。
僕もかつては、「高い声が出る奴」「歌の上手い奴」としての自負があり、周囲にもそのように認識されていました。
バンドでコーラスをやっても、僕はいつも一番高く難しいパートを歌っていました。
後輩たちが僕に発声法を質問したりして、いい気になってアドバイスしていました。(発声の事なんて全く勉強していないので、ニュアンスだけで適当に助言していました)
つまり、僕自身がかつては「ボイトレなんかやろうと思わん!」奴だったのです。
世の中には確かに、何の練習をしなくても素晴らしい声で高らかに歌える人が存在します。
彼らの事を「自然歌手」などと呼ぶことがあります。
つまり、生まれながらにして喉の機能が奇跡的に整っていたか、幼少の頃から良い発声で声を出し続けた、ほんの一握りの人です。
結局、僕は「自然歌手」でも何でもなく、ただの「町内で一番目か二番目に歌が上手い奴」くらいの位置づけでしょうか。
今、僕はそのトレーナーさんの言葉のおかげで、自分自身のボイストレーニングを続ける事が出来ています。
ひがみでも、いじけでもなく、「僕は上手くないんや!頑張らなあかん!」と素直に思えます。
幸い、ボイトレを続けたおかげで、僕の声は劇的に変わり始めています。
自分自身でも変化を感じる機会が増えてきて、周囲の人からも「声が変わったね」と言ってもらえる事もあります。
つまり、僕が自分のボイトレを続けてこられたのは、あの言葉の影響がとても大きいです。
また、元プロ野球監督・野村克也さんのこんな言葉↓
自己を過大評価した瞬間から、思考の硬直が始まる
「自分の声はこんな声」「僕は自分の喉のベストな状態を引き出せている」「調子の良い時の僕なら素晴らしい声が出せる」
↑こんな風に、僕は正に「思考の硬直」を起こしていました。
そして、僕はトレーナーさんのあの言葉で、思考の硬直を解く事ができたように思います。
今も上手く歌えない日、ベストな声が出せない日が山ほどあります。
そのたびにガッカリして落ち込みますが、あの言葉を思い出して奮起するようにしています。
決して自分を「歌の上手い奴だ」なんて思わんことだ。何故なら、本当に上手い奴はボイトレなんかやろうと思わん!
以上、ご精読ありがとうございました。