レッスンでは調子がいいけれど家では上手く発声できない。”声を聴く”ことの大切さ

今回のブログタイトル、読むだけでは何のことか分かりにくいかもしれません・・・

ある生徒さんがこんな事を言っていました。

「レッスンを受けた直後はやる気満々で毎日ボイトレすることができますが、日が経つと段々と練習の頻度が下がってきてしまうんです。」

なるほど、僕にもよく分かりますよ!僕なんかもレッスンを受けた直後、先生のレッスン室から出て帰りの電車に乗ろうと駅に向かって歩いている時なんかはとても鼻息荒くやる気満々です!下手をすると駅までの道すがら、カラオケボックスに寄って一人で練習してやろうかな!!と思うくらいです。けれど、レッスンを受けた日から一日また一日と時が経つにつれて「面倒だなあ」と思う日も出てきたりします。まあ、おおまかには人間大体そんなものです!

けれどその生徒さん、上のセリフの後に少し気になる事を言っていました。

「レッスンで先生のデモンストレーションの後に発声すると上手くいくのですが、家で同じことをやっても全然上手く発声できません」

なるほど・・・この訴えは少し考えを巡らしてみる価値がありそうです。

 

レッスンと自主練習、出す声の質は当然違ったものになるでしょう

「レッスンでは上手く行くけれど、家では上手く発声できない」・・・この訴えは僕たちボイストレーナーが職業として成り立っていることの前提となります。

世の中にあまたあるボイトレ独習本、ネットにアップされている発声のデモンストレーション・模範歌唱・・・こういったもので全ての声の問題が片付くならば、レッスンを受ける必要は無いでしょうしボイストレーナーは必要のない職業です。

この先さらにボイトレ本やネット上のボイトレ情報が充実し、完ぺきな発声のデモンストレーションをyoutubeなどで聴けるようになったとしても、「先生の声を間近で聴いて、真似をして発声する」「先生が生徒の声を聴いてリアルタイムで喉の微調整のための指示を与える」といったボイストレーニングのレッスン現場で行われていることの重要性はこれからも失われないだろうと、僕は信じています。

”ボイトレ学習者”としての僕は、ネット上の色々な情報を調べ漁り、たくさんのボイトレ本に目を通してきた時代を過ごしましたが、そんな事に費やした膨大な時間も「信頼できる先生との、たった1回の対面レッスン」の前ではとても価値の低いもののように思えました。

陳腐な言い方かもしれませんが、先生と生徒が対面して(時には雑談も交えながら)、先生が長い時間を費やして身に付けてきたことを伝授してもらう・・・かけがえのない事だと思います!(僕の”いちボイトレ学習者”としての、つまり”生徒目線”での感想です)

さらに、当然レッスンでの発声と自主練習でのそれとでは、”技術的な”違いもあると思います。

冒頭に紹介した生徒さんの言葉を聴いて、僕は以下のような「レッスンと自主練習の決定的な違い」があると考えます。

 

キーボードの音を頼りに声を出す・・・耳や喉は少々複雑なプロセスを踏むでしょう

レッスンでは先生のデモ発声に続けて声を出す、かたや家ではキーボードの機械的な音を頼りに発声する・・・これには大きな隔たりがあると感じます。

先生の声に続けて発声する場合、あなたは「自分と同じ楽器で作られた音」を聴いて、先生と同じ楽器を使って音を出すことになります。つまり「先生の楽器=喉」によって出された音を、あなたは「自分の楽器=喉」を使って再現しようとするわけです。

一方キーボードの音に合わせて練習する場合、その音は「音程」を確認する以上の役割は担ってくれません。あなたは「自分とは違う楽器=キーボード」の音の情報を耳から得て、それを「自分の楽器=喉」を使って出そうとするわけですから、ここには「模倣」「再現」といったボイトレの歴史上とても大切にされてきた要素は全て失われています。

 

録音された声を頼りに練習しても、音圧やトーンは感知しにくいでしょう

最近のボイトレ本には音源のサンプルが付いている場合が多いので、キーボードだけを頼りに練習するよりはグッと効果は上がるでしょう。

けれど、音源サンプルからは発声主の音圧や微妙なトーンを感じることは難しく、何より”出力機”(スピーカー等)の性能や特徴に大きく左右されてしまいます。

先生の声を間近で聴いた時に感じる「喉の”鳴り”」といった細かい要素はスピーカーを通して出てき「加工された声」からは中々伝わらないものです。

 

「レッスンの時が一番上手く声を出せる」・・・耳の感受性が刺激されているのでしょう

17世紀から脈々と続けられてきたボイストレーニングの歴史をみても、「先生の声を真似て発声する」ことはずっと重要視されてきました。

また、色々な歌手の声を聴いて、その声を頭に強く思い描いて発声することは喉の機能を大きく成長させてくれます。

「レッスンの時が一番上手く声を出せる」・・・先生の声を聴いて耳の感受性が刺激され、喉がそれに応えてくれているのでしょう。

 

「人の声」のニュアンスを耳から得ることの大切さ

ボイストレーナーの立場からは「レッスンの時には上手く出せるのに・・・」という訴えは、正直言って少し嬉しくもありますが(笑)やはり四六時中先生の傍で練習するわけにもいかないですね。

なので、習っている先生がレッスンの録音が可能なら、その音源を聴き返してから練習してみるのも良いでしょう。細かいニュアンスやトーンは音源からは感知できないとはいえ、そこは「先生の声」です!キーボードだけを頼りにするよりは練習の質も上がり、何より前回のレッスン風景の臨場感を思い出すことができ、やる気もアップするのではないでしょうか!

そもそもあなたがボイトレを始めたのも「人の声にインスピレーションを受けたから」なのではないでしょうか?「あんな風に歌いたい」「あんな声を出したい」という根本的な動機を呼び覚ますには、やっぱり「人の声からのインスピレーション」を大切にしなければなりません。

まとめ

ボイストレーニングは、やっぱり「人の声からのインスピレーション」がその根底にあります。

そういう意味では「レッスンの時が一番上手く声を出せる」という訴えは、ある意味当然のことなのでしょう。

やっぱり、何はともあれ「まず声を聴く」ことです!

 

以上、ご精読ありがとうございました。

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