「丁寧に歌う」は良いことだらけ。良い音程・良い感情・良いリズム、デメリットはない

「丁寧に歌うこと」・・・僕は、この当たり前のようなことが、実はシンガーにとって一番大切なことの一つだと考えています。

「感情を込めて歌う」「リズムに乗って歌う」「走らずに歌う」「音程を確実に歌う」・・・もちろん、これらの事も大切ですが、それらは全て「丁寧に歌うこと」へとたどり着きます。多くの事柄は「(喉の機能的にも感情表現的にも)丁寧に歌うこと」で解決する場合が多いのです。

「丁寧に歌われた歌」は、音楽に整然とした印象を与えます。

また(よくある誤解だとは思いますが)「荒々しい歌」の中にも「丁寧さ」は必要です。結果として聴き手の耳に届く印象が「荒々しい」のであって、それが作られる過程は決して「荒々しい=雑」なものではありません。「荒々しくて格好いい!」と感じる歌は、一音一音丁寧に「荒々しさ」を紡いでいっているのです。

さて先日、ある人がカラオケで歌っているのを聴いて、その人の「丁寧な歌」に感心しました。

今回は、そんな内容で書き進めてみたいと思います。

お付き合いください。


その人はとても丁寧に歌っていました

先日、ある男性がカラオケで歌うところを聴いて「とても丁寧に歌う人だな!」と思い、その人と色々雑談をしました。

その人曰く・・・

  1. 演歌歌手の先生にカラオケ指導をしてもらっている
  2. 朝起きたら(毎日)我流で発声練習をしている
  3. ”ア”の音は”口を縦に開けて”出すように指導されたことがある
  4. 歌いたい曲をイヤホンでずっと聴いて覚えるようにしている
  5. とにかく「丁寧に歌うこと」を常に心がけている

ボイストレーニングの見地からは、上記のような情報を話してくださいました。

上記で(3)は母音の純化、(4)はメンタルコンセプトとして、それぞれ歌の中に生かされていると感じました。

そして何より、この記事のテーマである(5)については、曲全体を通して「丁寧に歌うこと」への強い意志が感じられ、音程も確実でリズムも良く、適度な感情表現もされていて、「とても上手い歌」を聴かせてもらった、という印象です。

やはり「丁寧に歌うこと」こそ、とても大切なことだと改めて思いました。以下にその具体的なメリットを書いてみたいと思います。

丁寧に歌って「悪いこと」は起こらない

音程が合いやすい

「丁寧に歌うこと」で音程が合いやすくなるというのは、何となくイメージできると思います。

まず、喉の機能が「出したい音程を出す」ためには、当然少しでも丁寧に歌うべきです。実際の曲が求めている表現よりも「急いで」歌ってしまうと、喉の機能はそれに「間に合わなく」なってしまい、結果的に音程は外れがちになります。

また、頭の中で「具体的な音のイメージ」を作ってから発声した方が音程は格段に合いやすくなります。急いで歌ってしまうと、音のイメージを作る時間が間に合わなくなってしまいます。

レッスンで出したい音程を出す事が難しい人でも、頭の中で「具体的な音のイメージ」を作ってから発声してもらうと、途端に音程が合い始めます。こんな方は耳が悪いとかそういったものではなく、ただシンプルに「音のイメージ」が頭の中で曖昧になっているだけなのです。

 

感情を乗せやすい

「丁寧に歌うこと」でフレーズに陰影を付けたり、曲の部分部分に異なるキャラクターを与えたり・・・つまりは、曲に感情を乗せやすくなります。

反対に「焦って・急いで」歌ってしまうと、音を追いかけるのに精いっぱいになり、曲がとても無機質なものになってしまいます。

「曲に感情を乗せる」ことを実現するためには、「音の強弱をつけたり」「音を繋いだり切ったり」・・・といった「喉を使った操作」が必要になります。これらの事は「高い喉の自在性」を必要とします。つまり「喉の機能回復=ボイストレーニング」が必須となります。

 

歌が走らない

何も考えずに歌ってみて、後で録音を聴き返してみると「歌が急いでいるように聴こえる=歌が走っている」と感じることがよくあります。

これは(リズム・テンポの観点から)「自分自身の感覚」と「結果」がズレていることが原因です。

「丁寧に歌うこと」によって”歌が走る”ことを防ぎます。

また、「丁寧に歌うこと」は「母音を丁寧に発音する」ことにも繋がるので、声区の融合は促進され、結果的に歌いやすくもなるはずです。

歌の中で(音程が高すぎるわけでもないのに)「何故だか歌いにくい」と感じることがあります。また「一番の歌詞は簡単なのに、二番の歌詞はとても歌い辛い」というようなことも。これは「母音の問題」である可能性があります。むしろ、よほど完成された喉を持つ人でない限り「母音の問題」は、常に歌に付いてまわると思っておくべきです。また各母音は各アンザッツとも密接な関わり合いがあります。つまり「苦手な母音=苦手なアンザッツ」であるとも言えます。

 

まとめ

とにもかくにも「丁寧に歌うこと」は歌にとって想像以上に大切です。そのことによるデメリットはあまりありません。

シンプルに考えても、「雑な歌」と「丁寧な歌」では、聴き手に与える印象はまるで違います。

喉の機能的にみても、上に書いたようなメリットの方が圧倒的に多いのです。

ぜひ「丁寧に歌うこと」を、歌の目標の一つとしていきたいものです。

 

以上、ご精読ありがとうございました。

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