【歌唱サンプル】「いまこの瞬間に歌いたい歌」でウォーミングアップする。理想的な喉の状態、理想的な声の音質を知る。

自由自在に思い通りに人前で歌う・・・このことを成功させるために真っ先に必要なことはもちろん”喉の自在性”です。喉とは、いわば歌手にとっての”楽器であり、その楽器が満足に機能してくれないことにはその先にある”表現”にまで手が回らないでしょう。いや、声というのは本当に不思議なもので、思うがままに自由に発声することさえできれば「その人固有の音楽性」はある程度自動的に生み出されてくるものなのです。(もちろん「その人固有の音楽性」が、その歌にフィットしているか否かはまた別の問題ですが)

その「歌う楽器の完成」のために、僕たちはボイストレーニングをやらなければなりません。

 

さて、ライブでも発表会でもカラオケでも、とにかく人前で歌うためには声のウォーミングアップが必要になります。

例えば今日の午後から発表会で歌を披露する・・・もう今更”喉の能力を高める”努力をするよりも、今身に付けている能力を最大限に発揮できるようにしなければなりません。

 

気が付かないうちに喉が緊張していることは多い

僕自身も経験していることですが、喉は自分では気が付かないうちに緊張していることがあります。

例えば、苦手な箇所を克服しようと何度も何度も歌ってみる・・・難しい高音がフラットしないように繰り返し練習する・・・そんな時、やればやるほど上手くいかなくなってくる時があります。これは喉に不必要な緊張を強いているからではないかと思います。「何度歌っても上手くいかない」となると、「もう無理かも」というマイナスの心理が生まれてくることも喉の緊張に拍車をかけてしまいます。

 

課題曲では喉の緊張を取ることが難しいこともある

今日の午後から歌うはずの曲でウォーミングアップをしていて、何だか上手く歌えない・・・声が思うように出ない・・・焦ります!冷汗が出てきます!

この状態で「喉を緊張させないで!」「リラックスして声を出して!」と、いくら声高にアドバイスを繰り返しても、それは無理というものです。もう喉は負のスパイラルに陥ってしまっています。

これから歌う歌、つまり「課題曲」でのウォーミングアップには、こういう怖さがあります。

 

「歌いたい欲求」のままに、いま一番歌いたい歌を歌う

僕は最近「課題曲」でのウォーミングアップを敢えてしないようにしています。折しも僕は一か月ほどライブを休みました。久しぶりのライブ復帰の日は楽しみどころか「声が出ないのではなかろうか」という不安でいっぱいでした。その時のウォーミングアップ中、復帰ライブで歌う曲を歌ってみるのですが上手くいきません・・・時間はどんどん過ぎていくし、喉は痛くなってくるし・・・焦ること、この上なかったです!

発想を変えて、「よし!欲求のままに!いま歌いたい歌を楽しんで歌うぞ!」という気持ちでウォーミングアップをすることにしました。その時僕の頭に浮かんだ曲は”復帰ライブでは絶対に歌わない曲”でしたが、とにかく僕自身の自然な声の音質だけを求めて歌ってみました。

その歌を何度も”楽しんで”歌っているうちに、喉の緊張がとれてきました。そして、忘れかけていた”自然な声”で歌うことができるようになりました。

昔のボイストレーナーは生徒の声の音質を聴き、それを調整することで喉の中身の調整をも行なっていったと言われています。

 

「歌いたい欲求」を無視して”自然な声の音質”はあり得ない

上に書いたように「課題曲」を何度も歌っていると・・・特にライブや発表会の直前になると課題曲に対して”義務感”ばかりが芽生えてくることがあります。仕方ないことです、本番を目指して何百会と練習してきたのですから。

そんな時は思い切って「課題曲」から離れてみることで「歌いたい欲求」を呼び起こし、声の自然な音質を導き出すことができ、リラックスした喉の状態を取り戻すヒントになるのではないかと思います。

僕はクラシックギターをやっていた頃も同じようなことを経験しています。年に一度の教室発表会を行なうのですが・・・特に本番直前ともなると、レッスンでも自主練習でも「課題曲」しか弾かなくなります。それこそ「早く本番が終わって新しい曲の練習に入りたい!」と思うことも多かったです。そこにはもう”弾きたい欲求”は影を潜めてしまっていました。

 

いかがでしたでしょうか?

本番を控えてちょっと行き詰まっていたり、喉の緊張を感じているのなら「いまこの瞬間に歌いたい歌でのウォーミングアップ」、ぜひ試してみてください。慣れ親しんだ校歌・・・昔歌った童謡・・・何でも良いと思います、とにかく「一番自然な声で歌う」という気持ちで楽しんで歌ってみてください。

最後に、僕が復帰ライブのウォーミングアップに選んだ歌を載せておきます。

ピンクフロイドの「coming back to life」という曲です。ピンクフロイドのシンガー、デイブギルモアは所謂”上手い歌手”ではありません。むしろギタリストとしての方が有名な人でしょう。けれど、僕は彼の声から”自然な美しさ”を感じます。そして「あんな声で歌いたい」と強く思います。そんな”憧れ”の感情を呼び覚ますこともまた喉の調整に一役買ってくれるはずです。

え?聴いたことない曲ですって?いいんですそれで!

僕が楽しんで歌えて・・・僕の喉がリラックスして・・・僕の喉が”自然な音質”を見つけてくれさえすれば、それだけでウォーミングアップの目的に沿うことになります。一切の義務感はいらないのです!

以上、ご精読ありがとうございました。

筆者のプロフィール、ボイトレへの考え

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