【質問と回答】歌う時の緊張を解きほぐすには?リラックスして歌うには?

【質問

どうしたら緊張からの声の震えを抑える事ができるか?

人前で歌うと緊張して、思うように声が出ないんです。

生徒さんからこのような質問を受けました。

「緊張」「固さ」は歌の最大の敵の一つですね。

なんとか「リラックス」「脱力」を味方に付けてのびのびと歌いたい!と僕たちは皆考えますが・・・

この記事は「どうしたらリラックスして歌えるか」について書いてみたいと思います。

お付き合い下さい。


「リラックスする事」に真正面から挑んではいけません

僕も歌う仕事を始めた頃からずっと、もっと脱力しないと!もっとリラックスしなくては!と考え続けていました。

ボイストレーニングを長くやっていくと、良い意味で「何でも喉のせいにする」思考が育ってきます。「リラックス出来ないのは喉の機能が未完成だからや!」「○○出来ないのも喉のせいや!」・・・という風にです。これはボイトレ的には正しい思考です。実際、ほとんど全て「喉のせい」なのですから!

一流歌手が歌う姿を見ると、手を胸に当てたり、目をつぶって少し揺れてみたり・・・とてもリラックスして歌っているように見えます。彼らの「手を胸に当てる・目をつぶって少し揺れる」等の動作は、「自由自在に声が出ている」事の結果としての現れです。その逆は成り立ちません。つまり僕たちが「手を胸に当てる・目をつぶって少し揺れる」動作をしながら歌っても、「自由自在に声が出るとは限りません

僕は「なぜ、練習で出来た事が本番で出来ないのか?」「車の中でなら、僕は名歌手なのに!」と、常にそんな勝手な憤りを感じていました。今ならこう思います「練習で出来た事が本番で出来ないのは当たり前」「本当の名歌手なら、車の中で歌ったら”神業級”でなければならない」

僕も、最初の頃はガチガチに固まったままステージに上がって、思うように声が出ずしょっちゅう喉を壊したりしていましたが、今は随分と改善されたと思います。

それは何も「人という字を手の平に書いてそれを飲み込んだ」とか「緊張をほぐすためにウォッカを飲んでステージに上がった」とか、そんな迷信じみた事をしたからではありません。

喉の機能が未完成なうちは、「お酒」はステージでの緊張をほぐしてくれるのかもしれません。しかし同時に「豊かな表現」「心地よい声質」等、多くのものを犠牲にしかねません。いや「お酒が、細かなミスを気にしなく済むようなおおらかな精神状態を作ってくれる」と言った方が正確でしょう。

 

ボイストレーニングを推し進める事がリラックスに向けた唯一の道です

僕が、脱力して歌えるようになった最大で唯一の要因は・・・

「正しいトレーニングによって喉に神経が行き渡るようにした」からです。

ある程度歌う事に慣れている人ならば「あっ!今良くない発声になってるな」とか「このままの歌い方だと曲の最後には破綻するな!」とかをリアルタイムに感じながら歌っていると思います。

喉に神経支配が行き届いているとこんな時に意識的に脱力させる事が可能になってきます。

また、喉の状態をビジュアル化する事によって、声のトーンを自在に引き出せる事も可能になってきます。

僕も、かつては「リラックスしなければ!リラックスさえ出来れば練習の成果を本番で出す事ができる!」と信じていました。しかし目的が「リラックスする事」向いているうちは、緊張は一向に改善されないと思います。発声は「100%喉の仕事です」とはブログの中でも何度も書いてきましたが、その事を理解するまで僕は「リラックスする事」そのものと真正面から戦い過ぎていました。

 

まとめ

つまり、元も子もない結論になりますが・・・

「人前で思うように歌うにはインスタントの方法はありません。それ相応の時間をかけた正しいトレーニングが必要です」という事になってしまいます。

「脱力しろ!」といくら言われても、喉に「脱力させるための神経支配が行き届かない状態」だと絶対に脱力できませんし、リラックスしよう!と考えれば考える程、喉はむしろ硬直して余計に声が出にくくなってくるでしょう。

実は正しいボイストレーニングはこの「喉の神経支配を目覚めさせる事」が大きな目的なのです。

歌に関するほとんどの問題は「喉の機能回復」「喉の神経支配の目覚め」によって解決します。発声の上で何か問題が起こった時に、その案件にだけ手を加えて治そうとしては絶対にいけません。例えば、歌の中に「必ず裏返ってしまう音がある」場合、その音だけを小さな声で歌ってやり過ごしたり、母音を曖昧にして誤魔化したりすることは「声を育てる」という観点からは何の役にも立ちません。それはもうボイストレーニングではありません。(本番が迫っている時には、現実的な対処が迫られますが・・・)

 

【回答

人前で思うように声が出ないのは、今のあなたの喉の能力の限界です。

何かインスタントな対処で解決する方法はありません。

が、しかし正しいトレーニングを続けていけば喉に神経支配が行き届き、意識的に脱力させることが出来るようになります。一緒にがんばりましょう!

以上、ご精読ありがとうございました。

筆者のプロフィール、ボイトレへの考え

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