一本に繋がった声(ミックスボイス)は「先の尖った鉛筆」のイメージ

ボイストレーニングの最終目的とは何ですか?と問われれば・・・

「自由自在に喉を操り、疲れることなく高らかに歌いたい」「喉に関する一切の問題を取り除き、感情のままに声を出し続けたい」・・・このような抽象的な言葉も思い浮かびます。

では、もし「具体的に”喉を自由に操ること”を邪魔している最大の原因は?」と問われれば、ほとんどの人は「地声と裏声が二つに分断されてしまっていること」と答えるでしょう。

そう考えてみると、ボイトレをして歌が上手くなりたいと願う人が、「何が何でもミックスボイスを手に入れる!」と、躍起になってしまうのも当然だろうと思います。

誤解を含む言い方かもしれませんが、ボイトレ学習者の全員は「ミックスボイスを手に入れること」に躍起になっているのです。それ自体は事実であり、また正しいことだと思います。ただしこの場合の「ミックスボイス」とは”繋がった・一本化された声”という”言葉の通り”の意味を指します。※ややもすると「ミックスボイス」は、特定のトーンの声を指したり、さも”コツ”を掴めば何とかなる!というようなインスタントなイメージとして伝わってしまう危険性があります。

もちろん僕自身もボイトレのゴールへと未だたどり着いてはおらず日々トレーニングを続けている身ですが、以前に比べると「地声と裏声を隔てている大きな断絶」のようなものは随分小さくなってきています。

上に書いた「断絶」は、”パッサジオ”や”喚声点”などと呼ばれますが、僕はその日の喉の調子によってもかなり違った感覚を味わっています。寝不足や風邪などで調子の悪い時の「断絶」は、とてつもなく大きく感じるものです。

さて、この記事では現状の僕が感じている「繋がった声」のビジュアルイメージについて書いてみたいと思います。

お付き合いください。


「一本化された声」は「よく削られた鉛筆」のイメージ

低音から高音まで、断絶なく一本に繋がった声・・・このような”理想的な”声のビジュアルイメージとは・・・

僕は、”一本に繋がった声”のイメージは「先の尖った、よく削られた鉛筆」のようだと感じています。

一本の鉛筆を垂直にしてテーブルに立てた様子をイメージしてください。低音(鉛筆のお尻)から高音(鉛筆の上部)までは、くびれ無く真っすぐに伸びています。そして最高音(削られた部分)では段々と細くなり、フラジオレット(最上部の芯の部分)は鋭く尖っています。

 

「先の尖った鉛筆のイメージ」は声の音質的な構造とも合致します

続いて、シュナル(極低音)から始まり地声で一音一音上昇して裏声へ移行、最終的にフラジオレット(極高音)へと達する・・・そんな声の全体像をイメージしてください。

地声から裏声へ移行する際に”太く”なってしまったり突起が出来てしまっては上手くいかないはずです。また裏声からフラジオレットに移行する際は”先細りするような感覚”が必要だと思います。

僕は、声の構造の全体像は「先の尖った鉛筆」のイメージととても似ていると思っています。そして僕自身、実際にライブで歌う時には、この「鉛筆のイメージ」を頭に思い描くようにしています。

高音を”地声と全く遜色ない太く重い音質”で歌うことは、僕にとってはまだまだ難易度が高いと感じています。「太く重い高音」は”声の足場”が完全に強化されないと、なかなか難しいようです。(”声の足場”とは「声が自在に働く場所」という意味でフースラーが書いた造語です。”声の足場”は、アンザッツなどによって”喉を吊る筋肉”を鍛えることによって徐々に作られていきます)僕自身、まだまだ”足場を強化する”必要があるようです。(”声の足場”が強化されないうちから”太く重い高音”を求めることは危険なことです)

 

声にビジュアルイメージを付加することは有益です

僕は、声の全体像をビジュアル化することは、喉の機能にとってとても有益だと思っています。

喉は”頭で考えたこと・イメージしたこと”に対して、不思議なくらい素直に反応してくれます。

なので、声の構造に合致したビジュアルイメージであれば、積極的に”思い描く”ようにするべきだと思います。

仮に「まだ削っていない鉛筆」を声の全体像のイメージとして思い描いてみたなら・・・きっと高音は重くなりすぎて張り上げ気味になってしまうと思います。つまり、決して悪いビジュアルイメージを持たないようにしなければなりません。僕はステージで歌う時には出来るだけ「重い声」のイメージを連想しないように心がけています。「重い声」のイメージのままステージに上がると「高音を全く歌えない」というような”大事故”に繋がる恐れがあるからです。曲が進んで喉が活発になってきたら徐々に「重い声」のイメージを加えていっても大丈夫になってきます。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?

この記事に書いたことは、声にとってとても重要な「メンタルコンセプト」と同じ方向性のものです。

実際に聴いた声を頭に強くイメージして発声してみる・・・先生の声を生徒が模倣する・・・ボイトレのレッスンの大前提です。

今風のとてもポップな表現をすると「イメトレ」という言い方になるでしょうか?

ひょっとすると「鉛筆を思い描いただけで、喉の調子が良くなるもんか!」と思われるかもしれませんが、いやいや、”声の音質を頭でイメージすること”は、想像以上に喉への働きかけが大きく、歌っているあなたの窮地を救う可能性すらあります。

「イメトレ」を決して侮ってはいけません。

 

以上、ご精読ありがとうございました。

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