声の成長の最小単位は「3か月」 ~小さな変化を喜びとしていきましょう~

正しいボイストレーニングには時間がかかります。

声を育てる事に才能のある・なしは関係ありません。

誰でも平等に、数か月~半年・一年から数年単位のトレーニングが必要になります。

そして体感的にも、残念ながら短期的に成長を感じにくい分野であるとも言えます。

僕のレッスンでも成長を訝る生徒さんは必ずいらっしゃいます。

今回は、そんな「成長しているのか分からない」という方に向けての記事となります。

お付き合い下さい。


声は体調の変化を受けやすい

ギターやピアノ、他の楽器に比べて声はとても体調の影響を受けやすいといえます。

僕も未だに、寝不足・深酒・風邪をひいた時など、信じられないくらい調子の悪い時があります。

しかも、音程が取りにくい・表現がイマイチ等の歌唱テクニック以前に「声が出ない」のですから始末が悪いです。

ギターに例えると、弦を3本しか張らないまま演奏を強いられる!ような感じでしょうか。

とにかく声が出ない事には表現も何もあったものではありません。

歌手は他の楽器の奏者より「一つ余計にハードル」を用意されているという事です。

そんな「音さえ満足に出せない可能性がある」という特性から、声の成長を短期で測る事はとても難しい事です。

人間の体調は日々変化するので、成長した分の結果がそのまま声として現れるとは限らないのです。

なので、時々「1か月前の方が声が良く出ていたのでは?」と疑問に思う事があります。

それは当然で、実際に「1か月前の方が声が良く出ていた」のでしょう。

1か月前の調子の良い時と、1か月後の調子の悪い時では前者の方が声が良く出ているでしょうから。

ボイトレにおける「1か月の成長」とは、その程度のものなのです。

よって、ボイトレでは成長を測る最も短いスパンは3か月だと言われています。

つまり、3か月間正しくトレーニングしたなら、たとえ調子が悪い状態でも「3か月前の調子の良い時よりも声が良く出る」事にはなるからです。

また、喉の機能的な改善も3か月単位を目安として下さい。今出来ない事は、毎日基本的なトレーニングを行なってから、3か月にもう一度試みるようにします。それでもダメなら次は半年後です。つまり喉の機能的な状態もそんなにすぐには成長しないのです。

声は間違いなく成長していますよ!

 

このように声は、体調の変化によって一進一退を繰り返しているようにみえても、間違いなく少しずつ成長しています。

生徒さんが「私の声、ちゃんと成長していますか?」と不安がる場面に絶えず遭遇しますが、「3か月を1スパンとする」ように説明して、小さな変化・成長を一緒に確認していきます。小さな変化とは「裏声が低い方に半音広がった」「地声を半音高く持ち上げられるようになった」などの本当に些細な事です。

つまり、この小さな変化でも見逃さない事が僕たちトレーナーの役割の一つです。

そして、その「半音」単位の成長でも、例えば久しぶりにカラオケで歌ってみると、随分大きな自由度の差として感じられるものです。

好きな歌を何曲かピックアップして、毎月歌って録音してみると良いかもしれません。1年~数年単位でみていくと、相当劇的なビフォーアフターの記録として残せると思います。

 

歌とはマラソンのようなものです。「たった半音の困難」「たった一つの母音の問題」がレース全体を難しくしている事もあります。言い換えれば、その僅かな問題が解決しただけで楽々完走できる事もあり得るのです。

 

まとめ

体調の変化によって惑わされることなく声の成長を実感できるのは、短くて3か月です。

この期間を長いと取るか、短いと取るか・・・

即効性をうたうボイトレメソッドは確かに存在しますが、回り道せずに正攻法のトレーニングで攻めた方が結局一番近道を行く事になります。

また、難しい歌が瞬時にして(数回のレッスン、数週間の自主練で)歌えるようになることはあり得ません。

声の変化・成長はあくまで「半音単位」、音質や声量なら「トレーナーが注意深く聴いて分かる」程度のゆっくりとしたものだと考えて下さい。

ただし、その僅かな変化が歌を歌った時にもたらす恩恵はとても大きいものです。

「半音の差」が「歌えるか歌えないかの差」である可能性も充分にあります。

伝統的なボイストレーニングとて「いつ歌えるようになるか、まるで暗闇の中を歩いていくように手探りの訓練」では、決してありません。

半年~1年、1年~数年という長い期間をかけてではありますが、間違いなく誰でも改善可能なメソッドが用意されており、データ的な蓄積も確かです。

とはいえ、ボイストレーニングは「目に見えない喉という器官」への長期間にわたる働きかけです。

生徒さんの不安を取り除き、楽しく希望に満ちたボイトレライフへと導き、結果的に自由に高らかに歌う声を手に入れられる手助けが出来たなら、それこそトレーナー冥利に尽きるというものです。

 

以上、ご精読ありがとうございました。

筆者のプロフィール、ボイトレへの考え

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