歌を歌っている人、歌う事が好きな人が皆さん持っている願い。
その一つは「何曲歌っても枯れない声を手に入れたい。喉にスタミナを付けたい」だと思います。
今回はこのような内容となります。
お付き合い下さい。
目次
喉のスタミナとは
さて、スタミナのある喉とは具体的にどういう事なのか?と考えてみます。
まず、声帯自体は個体差すらほとんどない、弱く儚い器官であるので、これを人の力で鍛える事は出来ません。
ということは、喉の強さとは、「喉周りの筋肉の強さ」であると言えます。
この筋肉がバランスよく鍛えられている状態が俗にいう「強い喉」と呼ばれています。
そして、これらの筋肉をどう鍛えていくかというと、「色々な声色を出す事によって」鍛えていきます。
深い声を出す事で「下に引っ張る筋肉」を鍛え、細く平べったい声を出す事によって「上に引っ張る筋肉」を鍛え・・・
こんな風に上方・下方・奥へのバランスを保ちながら色々な声色を出す事によって、少しずつ満遍なく喉周りの筋肉は強く柔軟になってきます。
これをアンザッツトレーニングといいます。
喉の中身が目に見えない以上、「出てくる声から推測する」事のみが、唯一の「喉の状態を知る手段」となります。
そしてまた、喉の状態に手を加える事が出来るのは、唯一「出てくる声を変化させる」事のみです。
つまり簡単にいうと、「平べったい声が出ている時=喉が上に引っ張られている、深い声が出ている時=喉が下に引っ張られている」という既成事実を利用して、「平べったい声を出す事によって上に引っ張る筋肉を動かし、深い声を出す事によって下に引っ張る筋肉を動かす」とでも言いましょうか・・・
言葉で書くと難しくなりますが、このアンザッツトレーニングによって喉の柔軟性は飛躍的に高まります。
そして、まさにお望みの「何曲歌っても枯れない声」を実現させてくれます。
しかも、このトレーニングは突然、魔法のようにボイトレ界に出現したわけではなく、とても古くから用いられた、いわば伝統的な方法です。
僕自身がアンザッツによってどう変わったか?
僕が毎日アンザッツトレーニングを行なってきて、何がどう変わったか?を書いていきたいと思います。
圧倒的にスタミナがついた
以前の僕は好不調の波が激しく、声が出ない日は一日中何をやってもダメでした。
僕たちは通常「9曲×4回ステージ」を行ないますが、最後のステージでは声が出なくなることも多々ありました。
しかし、現在はスタミナ面での不安は全くありません。
僕はリハーサルをたっぷりと行う方なので、ライブで36曲・リハーサルで15曲と考えると50曲は歌う計算になります。(もちろん全ての曲でリードボーカルを歌う訳ではありませんが、その他の曲でもほとんどの曲ではコーラスを歌っています)
ただ、「スタミナを付ける」という言葉から想像できるように一朝一夕にはいかず、焦らないである程度長い目で見る事が必要です。
やろうとした事が出来る
「この部分はこんな声のトーンで歌いたいな!」「こんな歌いまわしにしてみようかな!」と考えても、機動性の低い喉では実行に移すことは出来ません。
しかし、アンザッツトレーニングは「喉の神経支配」も目覚めさせてくれます。
つまり音楽的欲求での「やろうとした事が出来る」、そんな機動性の高い喉を作ってくれます。
例えば「声を歪ませる術は知っている」「歪ませたい箇所も決まっている」、この条件が揃っていただけでは歌の中では実行には移せません。
(トレーニングレベルで、単発で歪ませることは簡単でしょうが)
あと一つ「歌の中でも神経支配を損なわない喉」が必要です。
これはアンザッツトレーニングによって徐々に、しかし必ず作られていきます。
段々調子を上げる事が出来る
本当に使えるテクニックとは「段々良くなってくる」事が必要条件だと思います。
アンザッツトレーニングによって逞しく鍛えられ、神経支配が行き届いた柔軟性豊かな喉は「使えば使う程、より活発に働こうとしてくれます」
大げさではなく、歌えば歌う程、声は本当に出しやすくなってきます。
具体的に僕がいつも強く感じるのは、時間と共に「地声と裏声の融合が強固になってくる」ことです。
歌い始めは、地声と裏声、それぞれバラバラな感覚があったとしても、歌う程に自然に融合されてきます。
「ミックスボイスで発声せねば!」とか「とにかく混ぜなければ!」と躍起になっていなくとも!
不思議なものです。
何かのセールスコピーのようになってしまい恐縮ですが(笑)、正しく使えばこれほど心強いトレーニングは無いと思います。
以前に記事に書いた「メッサディボーチェ」と同様に、アンザッツトレーニングを取り入れないボイトレはとても非効率的だと思っています。
ぜひ皆様には、このトレーニングの素晴らしさを体感して頂きたいと思います。
以上が、「喉のスタミナ」に関する僕の考え、そして体験談です。
「スタミナ」と書くと、フィジカルな要素の強い体育会系的な印象もありますが、歌に関しては最重要の条件の一つだと思います。
スタミナの無い喉に実用性はありません。
一音だけ、ワンフレーズだけ、サビだけ、素晴らしい声が出せたとしても、それはデモンストレーション程度の価値しかありません。
また、練習でしか上手くいかないような「神経支配の軟弱さ」も払しょくしたいものです。
やっぱり、歌の難しさは「一曲全体をどのように歌い通すか?」「続けて2曲~3曲と歌う事が出来るか?」という事に集約されます。
そのためのフィジカル・メンタル両方のスタミナを手に入れる事は、何にも増して必要だと思います。
そして、それは間違いのない練習を続ける事によって、間違いなく手に入るものだと確信致します。
アンザッツトレーニングには歴史的にみて、多くの人の声を成長させたという「実績」があります。
これを使わない手はありません。
以上、ご精読ありがとうございました。