「奇声系ボイトレ」だと言われました!(再投稿)

この記事は2018年3月12日に公開したものを2018年6月1日に追記・再編集したものです。

奇声=普通ではない変な声、頓狂な声

演奏者仲間の後輩から「いつも楽屋から奇声が聞こえてきますね」と言われました!

僕自身は、いつもより控え目にやっているつもりですが・・・

さて昨日、大型書店のボイトレ関連コーナーをみて、その数の多いことにびっくりしました。

もちろん中身も多種多様です。

(色々と手にとって見てみましたが、やはり武田梵声先生の著書は一際異彩を放っていました。)

腹式呼吸系、ストレッチ重視系、ミックスボイスがすぐできる系・・・

となると、僕らがやっているのは、さしずめ「奇声系」なのでしょうか・・・?

さて、アンザッツトレーニング(とても簡単にいうと、色々な種類の声を出して喉を鍛えるトレーニング)を自分自身のトレーニングの骨子と考えている僕が楽屋で出す声を「奇声」ととられた事は、大変本意であり喜ばしい事だと思っています。(皮肉やイジケなどではありません)

 

アンザッツトレーニングでは確かに現代人のマナー的には素っ頓狂な声をたくさん発します。

それは、セミの鳴き声のようであったり、猿みたいだったり、鳥のように聞こえたりします。

何度か書いている通り、ボイトレの大切な考え方の一つとして「 出した事のない声を出して未使用の筋肉を鍛える」というのがあるので、僕が練習で出している声が奇声ととられるのはむしろ当たり前の事・嬉しい事なのです。

「今までも普通に出せている声」で、ピアノに合わせて「マママママ~♩」と歌っても、喉の未使用の筋肉を動かすのは難しいのではないでしょうか?

せいぜいその音階を上手に歌えるようになるだけでしょう。

声の不自由さに悩む人にとって、一種の「練習した気分を味わえる」音階練習、声を育てる効果のない音階練習は無意味だと思います。もっと根本的な「発声」の問題を直視するか、すくなくとも音階練習の中に「発声を改善できる要素」を含ませる工夫は必要だと思います。

「声が不自由な原因を解消する」ためには「単音」でのトレーニングからスタートするべきだと思います。短い音階といえども「喉の筋肉の使い方を変化させる」事が必要です。

 

奇声は喉を痛める?だから腹から声を出す?

僕がアンザッツトレーニングをやっていると時々、「そんな変な声を出して喉が痛くならないの?」と聞かれます。もちろん痛くなんかありません。

「奇声=不健康」みたいな図式は当てはまらないどころか「きちんと抑制された声」の方がむしろ不健康です。

こんな経験があります。

僕が小学生の時、放課後によく近所の団地の公園で鬼ごっこをしていました。

それこそギャアギャアと奇声を発しながら何時間も走り回って毎日のように・・・

中学生になったある日、文化祭の劇の配役をグループに分かれて決める時間がもたれました。

1グループ男子3人女子3人くらいだったと思います。

僕がグループのリーダーになったので進行役をやって、誰が何をやるかを決めるのに1~2時間話したでしょうか、次の日僕の声は掠れていました・・・(思春期に女子の前で進行役をやったので余計に声が抑制されたのかもしれません)

つまり「何時間もの解き放たれた奇声」よりも「たった1~2時間の抑制された会話」の方が喉を痛めたのです。

高校野球の甲子園大会のテレビ中継で、時々応援席が映ります。

応援団は足を広げて両手を後ろで組んで、のけぞるようにしてありったけの声を張り上げています。

でも何人かは声が掠れて酷い状態になってしまっています。

これはまさに「腹から声を出している」「全身を使って声を振り絞っている」の最たる姿であって、ベクトルとしては「腹式呼吸」「強く息を吐く」「大きな声にはたくさんの息が必要」的な方向です。

「赤ちゃんは何時間泣いても声が枯れない」とはよく言われます。

「人間は本来歌える生き物なのだ」という前提で考えると、赤ちゃんの声はボイトレ的に言うと「裏声から地声までがきれいに繋がった理想の声」だということになります。

赤ちゃんはお腹がすいた・痛い痒い・眠い…色々な強い感情を伝えようとして奇声をあげて叫びます。

僕たちの声が生まれたての赤ちゃんのレベルまで回復したなら、何時間歌っても枯れずに、また強い感情を歌に込める事さえも出来るようになるのではないでしょうか。

 

まとめ

かつての僕自身も含めて「変な声=喉に悪い発声」「腹から声を出す=健康的で良い声が出る」みたいな先入観を取り去っただけで見えてくるものは沢山あります。

隣りで練習している人が聞いた事もないような変な声を出していたら「羨ましい!俺の出せない声を出しやがる!」と悔しがってもいいと思います。

冗談みたいな言い方ですが、隣りの人はそれだけ未使用の筋肉を開発できている訳ですから。

今までにボイトレをやった事があり、尚かつ上手くいかなかった人なら分かると思いますが、既成の概念で訓練していたのでは、中々声が自由になるまでには至りません。「えっ?こんな練習?」と思うものの中にこそ声の秘密が隠されています。

 

以上御精読ありがとうございました。

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