歌い過ぎて声が出なくなる、声を潰す→回復後は以前より声が出るようになるか?

僕は大学時代に「フォークソング愛好会」という、一種の”軽音楽部”に所属していました。(決してフォークソングばかりを歌うクラブではありません、オールジャンル可です)

実は今日(2018年12月30日)、このフォークソング愛好会時代の級友たちと忘年会をする約束が入っています。思えば大学時代の僕は歌うことが大好きだったにも関わらずいつも我流の発声に終始しており「ボイトレしよう」なんて一瞬たりとも考えたことはなかったのです。ポップスの(いわゆる”クラシックではないジャンルの”)ミュージシャンは歌や演奏を教わりに行くものではない!・・・そんな風潮が今よりずっと強い時代だったので、周りを見渡しても「レッスンを受けている」なんていう人は皆無だったように思います。

今夜の級友たちとの忘年会を前に思い出すのが、当時の僕の「喉の超回復信仰」とも言える考え方のことです。つまり声は「潰せば潰すほど、回復した時は良く出るようになる」という考え方です。当時はまだ一般的ではなかった「超回復」という言葉、今では主に”筋トレ”の分野で語られることが多いですね。(ネット辞書によると”強い運動後疲労がたまった筋肉が、休養により運動前より高い筋力を得ること”となっています)

”高い声・ハイトーンへの憧れ”が強かった僕は、いつもキーの高い曲ばかり選んでは歌っていましたが(事実、他の人より少しばかり高いキーで歌えることが自慢ではありました)、そのたびごとに声を潰して何日も話す事さえ難しくなっていました。そしてそれが回復した時には「よし!前より声が出るようになったぞ!」と喜んでいました。今考えるととても危険な発想ですね・・・よく声帯が壊れなかったものだと思います。

 

確かに回復後は声が良く出るようになった”気がしました”

もちろん、喉の「超回復」を信じて大声を出すことは危険な事ですし、それを「ボイストレーニング」と呼ぶことはできません。

けれど、当時の僕は大真面目にそのことを信じていましたし、何人かの後輩には「喉を潰すことで声はどんどん良く出るようになるんだぞ!」とアドバイスもしていました。

実際、回復後は以前より良く声が出て、キーも一音くらい上がったように感じていました。

 

喉の未使用筋が鍛えられたことは事実でしょう

今でこそライブで歌う機会も多い僕ですが、当時のライブ回数は多くて月1回です。つまり、今とは比べ物にならないくらい”歌っていなかった”と思います。

当時の僕が「回復後は以前より良く声が出て、キーも一音くらい上がった」という感想を持っていた裏には「喉の未使用筋がまだたくさん残っており、それらがたまたま鍛えられた」ことがあるのだと思います。

例えば、地声を張り上げて無理やり”ミ”の音に届いていたとします。それをやり続けて喉を潰し、そこから回復した時には地声で”ファ”の音に届くようになっている・・・まあ、こんな状態だったのではないでしょうか?つまり「地声の張り上げ」という喉の限定された能力にさえ、まだ”のびしろ”があったのです。(さんざん練習してきた今の僕には「地声の張り上げの”のびしろ”」なんて残っているはずはありません)

 

しばらく喉を休めていた→回復後は声が良く出て当然です

回復後に声が良く出る?・・・もう一つの理由は、単純に「錯覚」なのかもしれません。

喉を潰してしまうと話すことさえ辛くなります。当然しばらくは出来るだけ声を出さずに喉を休めることになるでしょう。

そして何日か後に満を持して歌ってみると・・・「わあ、むちゃくちゃ声出るやん!高い声も楽勝や!」と、こうなるわけです。

いわば当たり前のことですね!何日も喉を休めて元気いっぱいに回復したのですから!これを「以前より声が出るようになった」と勘違いしていた可能性があります。

 

とても傷つきやすい”声帯”にとっては、むやみやたらな間違った発声は命取りになります。

7種の声色を出す事によって主に”喉を吊る筋肉”を鍛えるアンザッツトレーニングは、純粋な「喉の筋トレ」と呼べるものなので、「鍛えては休む」を繰り返すことによって”超回復”のような効果があるのかもしれません。

けれど声の作られ方が「息が声帯を通る」というプロセスを踏まなければならない以上、”超回復”を期待してやたらに大声を出して声を潰すような間違った訓練を絶対にしないようにしてください。

ボイトレ学習者は、儚く危うい”声帯”という器官と上手く付き合っていかなければなりません。当然「胸の筋肉をつける」「肩の筋肉を盛り上がらせる」といったような事とは別次元の慎重さをもって練習に取り組むべきです。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?

僕自身が大学時代に信じていた”間違った”認識について書いてみました。

冒頭で僕は「”喉の超回復信仰”を後輩に植え付けようとしていた」と書きました。今考えると恐ろしい事ですね!僕のような声の勉強をしていない先輩が、適当にでっち上げた自分なりの理論を後輩に押し付ける・・・とても危険な行ないだと今は思います。

やっぱり誰かに教える知識は「正しいと確認されているもの」「歴史的に実績が積まれているもの」を慎重に選んで伝授していかなければいけません。

 

以上、ご精読ありがとうございました。

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