歌う前の食事について ~満腹で歌うか、空腹で歌うか?~ 食べない方が良い理由。

練習前・歌う前に食事を摂る人摂らない人、人それぞれだと思いますが、私はライブ前には食事を摂らないようにしています。

稀に食べる事があったとしても、ほんのわずかな量に留めておくようにしています。

出番前に共演者たちとお店に入ると、他の人は結構食べていますが!

かつての「武道精神」に起因したような「腹から声を出せ!」的思想からだと、「空腹では歌えん!腹に力が入らん!」という事にもなるでしょうが、お腹に力を込めることは喉の無用な緊張を生みます。それでなくとも、少なくとも「食べないと歌えない」という事はないはずです。

私がライブ前に食べない”俗っぽい”理由は、実は「食べるとお腹がポッコリ出てしまう」からなんです!私は「40代後半の”決して痩せてはいない”中年」なので、体型の事はいつも悩みの種なのです。せめてステージ上ではロックシンガー然としていたいものです。

さて、たまたまスポーツ関連の記事を読んでいたら、マラソンのシドニーオリンピック金メダリストで、国民栄誉賞受賞の高橋尚子さんは、本番前はもちろん練習前にも食事はほとんど摂らないそうです。

当然、私たちシンガーとマラソンランナーでは必要なエネルギーや使う筋肉も違うので、全てが合致するとは言えませんが・・・

今回は「歌う前の食事」について書いていきたいと思います。

お付き合いください。


食べると歌いにくい(私の感想です)

私が初めてライブのステージで歌ったのは高校生の頃ですが、その時から「食べないと歌えない」と思ったことはありません。

いや、むしろ「食べると歌いにくい」と感じていました。

歌いにくさの大きな原因は「噯気」です。※「げっぷ」とも言います。これより先は「げっぷ」と書かせてもらいます。

経験ありませんか?歌っている途中で「げっぷ」が出そうになって、歌詞を少し飛ばしてしまったこととか・・・

歌の途中で「げっぷ」が出そうになると、自分の意志では止める事が出来ません。

「げっぷ」のみならず、歌っている最中は、神経を削がれる事はどんな事でも排除したいものです。

歌っている時は、口から出るものでも入ってくるものでも、とても敏感になってしまいます。私は歌の最中にしゃっくりが止まらなかったことはありませんが、多分まともには歌えないでしょう。仲間のシンガーの何人かは花粉症を患っているので、くしゃみがいつ出るか心配で集中できない、と言っています。また、タバコの煙に対して神経質なシンガーもいます。私は空中に漂っている程度のタバコの煙は気になりませんが、流石に目の前が煙でいっぱいだと、歌う事は難しいかもしれません。

 

食べると眠くなる(私の感想です)

私は満腹で練習する事が苦手です。

「げっぷ」が出そうになり細かい声のトーンが聞き取れない上に、もう一押し声量を強めたり音を伸ばしたり、デリケートな喉の操作が難しいと感じます。

そして、何よりも集中できず「眠く」なります。

昔の人はよく「腹八分目」と言いますね。これは健康を考えての意味合いもありますが、練習をする上での集中力を切らさない為にも大切な事だと思います。私はいつも、たらふく食べて「満腹」を求めてしまいます・・・いけませんね・・・

 

消化吸収にエネルギーを奪われないため

高橋尚子さんが練習前・本番前に食べない理由は「消化吸収にエネルギーを使ってしまい、走ることに使えるエネルギーが減ってしまうのを防ぐため」だそうです。

なるほど、マラソンのように過酷な競技では、少しのエネルギーのロスが命取りになるのでしょう。

「歌う事」が肉体的に過酷かどうかはともかくとして、シンガーとてエネルギーのロスは少ない方が良いでしょう。

そうなると、少なくとも「消化吸収にばかりエネルギーを使ってしまう状態」つまり「食べた物が体の中にたくさん残ったまま」歌う事は避けた方が良さそうです。

私は、体の動きのためより「精神的に集中するためのエネルギー」のロスの方が、歌にとってはマイナスだと考えています。歌っている最中は、音程・母音・声量・感情表現・・・その他の膨大な仕事を喉にさせるために、とてもたくさんのエネルギーを使ってますので。歌うことは、思った以上に「大仕事」なのです。

「練習していると眠くなる」「歌うと眠くなる」と言っている人もいます。その事と「歌にどれだけのエネルギーが必要か?」は関係があるのかもしれません。つまり「歌うためにエネルギーをたくさん持っていかれて、眠くなる」のかも・・・

 

「飲み込む筋肉」をわざわざ目覚めさせる必要はない

歌う際、飲み込むための喉の筋肉、つまり「嚥下のための筋肉」が、スムーズな発声を妨げるという事例は実際にあり得ます。というより、ほぼ全ての初心者で、特に高音を歌おうとする時に、普通に頻繁に起こるやっかいな症状がこれです。

私たちの「嚥下機能」は、病気でもない限り、いつも目覚めさせられている状態にあります。だから、喉にとってより不慣れな「発声」という仕事の際に、頼みもしないのにこの「嚥下機能」が”いらぬ手助け”をしようとします。(ボイトレのレッスンで「舌の位置」について注意を受けた人は多いはずですが、これも同じ理屈です。舌は頻繁に発声の邪魔をするのです)

私の考えはこうです。

「”いらぬ手助け”をしようとする嚥下機能を、本番直前に”わざわざ”目覚めさせることはない」

「歌う前に食べること」は、歌にとって必要ない機能(嚥下機能)を、わざわざウォーミングアップさせてあげていることになります。

これは私の”考えすぎ”かもしれませんが、とにかく私が本番前に食べない理由の一つは「歌う直前に、嚥下機能を元気づけたくない」からです。

 

まとめ

マラソンと歌は直接関係は薄いとは思いますが、「消化吸収にエネルギーを奪われないため」に食べないという高橋尚子さんの理論は、歌にも応用できそうです。

「満腹になると眠くなる」「食べると集中力が切れる」などは、多くの人が経験している事だと思います。

ボイストレーニングや歌は、とても集中力のいる事です。

すくなくとも「満腹」ではない方が良いと、私は考え、そのように実践しています。

 

以上、ご精読ありがとうございました。

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