【リードの言葉】鼻から息を吸っても喉の渇きは解決しない、発声の改善しかない

喉が渇くというのは、発声器官が全般的に良くないことを知らす、自然が出す警報のようなものです。

コーネリウス・L・リード

レンタルスタジオでの練習やライブ、歌の自主練習やボイトレの風景に必ず添えられる小道具の一つとして「ペットボトルの水」があります。

例えば、バンドのスタジオ練習の光景・・・ギタリストやドラマーが楽器を調整している傍らでボーカリストはペットボトルの水を片手に歌詞とにらめっこしている・・・

僕はボイトレのレッスンやバンドの練習などでレンタルスタジオを利用することがありますが、最近ではフロントで色々な種類の飲み物を置いています。冷えたものではなく”喉に負担がない”常温の水を薦めている場合も多いのですが、なぜ喉に良いのか?明確な根拠はないように思います。

またボイトレレッスンの現場でも、生徒さんはペットボトルの水を持参することが多いように思います。

では、歌には”喉の渇き”がつきものなのか?ボーカリストは練習やライブのたびに必ずペットボトルの水を用意しなければいけないのか?と問われれば、決してそんなことはないはずです。

「歌うこと」は本来とても”自然で本能的な”行動であるはずです。人間の喉の持つ能力としては”いつでもどこでも”自由に歌うことが可能なはずであり、わざわざ用意周到に水を準備しなければ歌えないなんて・・・そんな”不自然で理性的な”行動を伴うはずはないでしょう。

冒頭で引用した文章は、三大ボイストレーナーの一人、コーネリウス・L・リードの書いた「ベルカント唱法 その原理と実践」からのものですが、僕はこれを読んだ時に自分自身の経験と照らし合わせて大きくうなずき納得しました。

 

潤しても潤しても渇き続けた僕の喉

僕が腹式呼吸のことばかり考えて、お腹にベルトをきつく巻き付けてその圧力に対抗するようにお腹に力を込めながら歌っていた頃のことを思い出します。

「僕は”人より喉が渇く”病的な体質なんではなかろうか」と真剣に考えたものです。

それくらい歌っている最中は絶えず喉が渇いていたので、ライブ中は常にペットボトルの水を足元に置いてMCのたびに飲んでいました。一番酷い時期には水分補給なしに一曲通して歌うことさえ難しかったほどです!(ステージ後方のアンプの陰にペットボトルを忍ばせておいて、ギターソロの合間に飲みに行ったこともあります)

もちろん僕は”病的に喉が渇く体質”はわけでも何でもなく、ただ単に「発声が悪かった」だけなのでした。

正しくボイストレーニングを行ない、少しずつ発声が改善されるに従って喉が渇くことは全くなくなりました。

だから、実体験に基づいて言い切ることができます。

喉の渇きは正しくボイトレすることによって必ず解決します。

 

鼻から息を吸っても根本的な解決にはなりません。

歌う際の喉の渇きを解決するために「息は鼻から吸うように」というアドバイスがありますが、それでは根本的な解決にはなりません。

口から空気を吸う事をやめ、鼻からの吸気に変えることによって喉の渇きが少しはマシになるかもしれませんが、それではただ単に”喉の渇き”という”現象”を食い止めたに過ぎません。

根本的な解決のためには、リードが書くところの「自然が出す警報」の原因、つまり”発声の悪さ”を改善するしかありません。

風邪の時、お酒を飲み過ぎた時、激しい運動をした時・・・僕たちの身体は”普通ではない”状態の時に水分を要求します。(まさに”警報”のようですね) 「歌うと喉が渇く」・・・身体の中で”普通ではない”ことが起こっていると考えるべきでしょう。

 

まとめ

ボイストレーニングとは声を徹底的に開放して、本能のままに歌うことができるようにする作業です。

そんなボイトレの過程がどんどん進むうちに、必ず誰でも、水分を摂ることなしに(喉の渇きも感じずに)歌えるようになります。

つまり「歌うと喉が渇く」は、まだ声が解放されておらず発声が未熟なことの現われだと考えてよいと思います。人間の喉が持つ能力は計りしれないほど素晴らしいものです。水分に頼らないと歌えないわけはありません。

そして大切なことは、せっかく現れた現象(自然が出す警報)の原因を突き止めようとせずに「鼻から息を吸う」ことで喉の渇きを解決しようとしないことです。これでは対処療法に過ぎず、根本的には何も改善していません。

 

以上、ご精読ありがとうございました。

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