言うことを効かない喉を、思い通りに動かすこと。「喉への神経支配」の大切さ。

私は年間100本近くのライブに出演します。

そして、私のライブ活動、これは当然ながら週末に立て込むことが多いです。だから、私たちのスケジュール表は、もっぱり「右端(金曜日、土曜日)」の方が、書き込む文字の密度が高いものです。

ライブの無い土曜日の夜、私は「のんびり過ごすことに劣等感を抱く」ことがあります。私が家で寝そべっている間も、仲間たちは、どこかしらで演奏をしているんだなあ・・・なんて。まるで学校をズル休みした中学生のように落ち着かない時もあります。

さて、私は先週、三つのライブに出演しました。木曜日は寝屋川で、土曜日と日曜日は大阪市内で、それぞれ演奏をしました。

実は、ずっと私を悩ませている「歌声の”調子”の傾向」というものを持っており、ここ数年は特にその傾向が強くなっています。

その「歌声の”調子”の傾向」とは、「週の初めは、声の調子が芳しくない」というものです。

例えば、先週は木曜日と土曜日、そして日曜日とライブで歌ったので、歌声の自由さが“最も芳しくない”のが木曜日で、“割と自由が効く”のが日曜日ということになります。

私の歌声は、良く言えば「尻上がりに調子が良くなる」ということになります。

けれども、私はずっとこの傾向を持っていたわけではなく、このような状態になったのはここ数年のことです。

私がプロのシンガーとしてステージで歌う仕事に就いてから、かれこれもう10年になりますが、最初のころは、連日のライブ出演が続く時には決まって「初日が一番声が出ていました。」そして日を追うごとに私の歌声は疲弊していき、最終日にはついに「ほとんど歌えない」なんてこともざらにありました。それが、ここ数年は全く逆の傾向にあります。

ところで、10年前は考えられなかった、この「尻上がりに調子が上がる歌声」、このことを私は「歌声の訓練が進んだ結果」であると確信を持って言うことができます。

週の始め、歌っている時の私の感覚は「喉を操っている実感」に乏しいものです。けれど、それが二日目、三日目と進むに従って、「喉を動かす筋肉の在りか」を段々と実感できるようになり、「喉を操っている実感」が徐々に生まれてきます。

さて、ボイストレーニングの伝説的バイブル「うたうこと」の中で、著者フースラーは「歌声を訓練する上で最も大切な事柄」として「喉の筋肉への神経支配を高めること」を挙げています。直接的、または間接的に声帯を動かす筋肉に如何に神経を行き渡らすことができるか、つまり「脳の命令が、喉を操る筋肉に届くか」が歌声訓練の最重要な課題であると述べています。このことを、フースラーは「訓練の原則」という章の中で殊更に強調しています。

私たちの(全ての現代人の)発声器官は「慢性的に言うことを効かなくなってしまっている」とフースラーは述べています。(これには多くの文献からの引用に伴う科学的根拠を添付しています)

私は、こう考えています。「“慢性的に言うことを効かなくなってしまっている”私の喉を思い通りに動かすには時間がかかる、だからライブ初日は歌声が芳しくないのである」と。つまり、初日の私は“全ての現代人の典型として”「神経支配の行き届かない発声器官」のまま歌うことを強いられているのです。

私のこの問題はいずれ解決されるでしょう。正しい訓練を続けていけば、つまり「発声器官の神経支配を高める」ことを原則とするトレーニングを続けて行くことで、私の歌声は将来必ず「初日から芳しいもの」になるはずです。

 

以上、ご精読ありがとうございました。

筆者のプロフィール、ボイトレへの考え

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