【ガム】電車の車掌さんから学ぶ健康的な発声。喉の位置が高く、歪んだ声

仕事柄、毎日至る所でボイトレに関するアンテナを張り巡らせていると、思わぬ疑問にぶち当たる事があります。

そして先日、ふと疑問に思いました。

電車の車掌さん、車中で何度もアナウンスをしているけれど、喉を傷めないのかな?

この疑問に対する僕なりの答え、ボイトレの観点から見た「疲れない理由」を書いてみたいと思います。

お付き合い下さい。


電車の車掌さんの独特の声のトーン

皆さん、車掌さんの声を頭でイメージしてください。

独特のトーンですね!

少し鼻にかかったような、歪み(ガム)成分のある、だみ声のような・・・

面白い事に、アナウンスする車掌さんが変わっても声のトーンが似通っているという事は、ひょっとすると声のトーンまで「先輩から後輩へと伝承されている」のかもしれません。

そして車掌さん達は、駅から駅の間・駅に到着した時・駅を出る時、相当な頻度で声を使っています。

個人的には彼らの声が「疲れているな・乱れているな」と感じた事はありません。

一体どんな秘密があるのでしょうか?

阪急電車には阪急電車の、京阪電車には京阪電車の、それぞれ独自のトーンと言い回しがあるようです。しかし、根本的な声の方向性は同じです。

僕がいつも興味を持つ事は、「声の耐久性」に関する事です。世の中にあまたある「声をたくさん使う職業」、その人達の声には何かしらの秘密が必ずあると思っています。そして、その秘密はボイストレーニングの概念とびっくりするくらいピッタリと当てはまります。

 

声のトーンの特徴は?

車掌さんのアナウンスの声には、二つの特徴があります。

喉の位置が高い

所謂「平べったい声」です。

鼻にかかっているようにも聞こえますが、これは喉の位置が高いために、そう聴こえているだけです。(鼻腔共鳴は科学的に否定されています)

間違っても「豊かで太い」声ではありません。

そして「お腹から声を出している」印象もありませんし、むしろその反対の「喉で出している」印象です。

少し歪んでいる

少しだみ声がかったといいますか、所謂ガム声です・・・決して「澄んだ綺麗な声」ではありません。

世間一般のマナー的には「良い声」とは言えない声です。

「喉の位置が高い」声は甲高い響きになるので、声の通りが良くなります。また、「澄んだ声」よりも「歪んだ(ガム)声」の方がより声量を出す事が出来ます。

 

なぜこのトーンなのか?

もう、お分かりですね!

「喉が位置が高い」「だみ声で歪みがある(ガム声)」、これらは「安全で健康的な発声」の特徴です。

つまり非常に理にかなった「連続使用可能な声」なのです!

(他の例では、お坊さんの声も同じような特徴があり、やはり長時間の読経に耐えれる声です。)

車掌さんのアナウンスの声が、どういったプロセスでこのようなトーンになっていったのかは分かりませんが、何かの必然で形作られ、代々伝えられてきた事は間違いなさそうです。

現在はマイクとスピーカーを使われているので、小さな声でも大丈夫ですが、その昔、込み合った車中で大声でアナウンスする必要があった時代に、このようなトーンが自然に形作られ、伝え続けられてきたのかもしれません。

 

まとめ

車掌さんのアナウンスの声は、偶然に何の必要性もなく、あのようなトーンになったという事はなさそうです。

車掌さんは、まず「意図を伝える事」そして「しょっちゅう伝える事」が目的なので、「良く通る、疲れない声」がどうしても必要なのです。

「疲れない」「良く通る」「声量が出る」声が代々伝えられ、マイクを使うようになった現在でも消えることなく守られてきたのでしょう。

世の中の声、それも長い間特徴的なトーンで伝えられてきた声には、「そのトーンでなければいけない理由」が必ずあるはずです。

そして、その理由はボイストレーニングの観点から見ても、とてもとても合理的であるはずです。

そういった声を検証することで、ボイストレーニングを行なう上で「なぜこの訓練は重要なのか?」が逆説的に見えてくるように思います。

世の中で代々伝わる声を紐解いていくと、ボイストレーニングでこの声がなぜ重視されているか?の答え合わせができます。今回の場合、「喉位置が高く歪んでいる声は健康的で安全である」という事が証明されているように思います。

 

以上、ご精読ありがとうございました。

筆者のプロフィール、ボイトレへの考え

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