独学でこれからボイストレーニングを頑張っていこう、という方へ向けた記事となります。
これからボイトレを始めよう・始めたばかりの人が、世の中にたくさんあるメソッド・練習メニューから何を選ぶか?本当に悩みどころだと思います。
どんなジャンルの練習においてもそうだとは思いますが、「これだけは含んでおいてほしい事・ここさえ押さえておけば!」というものが必ずあります。
ぜひ、以下の事を参考にして頂くと、少なくともそんなに間違った方向へは行かないだろう、という事を書いてみたいと思います。
お付き合い下さい。
ボイトレに必要な3つのステップをベースに考えましょう
ボイストレーニングには必ず必要な3つのステップがある事は、このブログ内でも度々書いてきました。
つまり、「(声区の)分離・強化・融合」です。
この3つのステップを段階的に踏まない事には、正しく喉を鍛えることは難しいと考えられます。
17世紀のボイトレ創成期には、この3つのステップがトレーニングの中で確実に守られていました。しかし、19世紀以降のボイトレでは3つのステップの内の前二つ(分離と強化)が抜け落ちたため、確実に声を育てる事が難しくなってしまいました。
あなたのメニューに「(声区の)分離」は含まれていますか?
そしてこの中で、特に初心者が一番重視してほしいことは「分離」、つまり「裏声と地声を、意識してそれぞれ別々に出せるか?」という事です。
もし「裏声(地声)がどういう声か・どういう風に出せば良いのか分からない」という方は、独学は難しいと思います。ぜひレッスンを受ける事を検討してください。
声のトーンとしては↓こんな感じです。※(裏声~地声)の順番です。
例えて言うなら、完成した声を「ハイボール」であるとします。美味しいハイボールを作るには「混ざりけのない炭酸水」と「上質なウイスキー」が必要です。この「炭酸水」と「ウイスキー」をそれぞれ「地声」「裏声」だと考えてください。ウイスキーに異物が混入していたり、炭酸水の炭酸が抜けていたりしては美味しいハイボールは作れません。炭酸水とウイスキー、それぞれ上質なものを手に入れる事が、美味しいハイボールを作るために、まず最初にやらなければいけない事です。
この「分離」なくして、ボイストレーニングの成功はあり得ないといってしまっても良いほどです。
僕は「分離に時間をかけても、かけすぎという事はない」と考えています。
この3つのステップは「分離が出来たら強化を、強化が出来たら融合を」、つまり「もう分離は出来ているし、その事は考えなくてもいいや!」という性質のものではないので、中級・上級の人であったとして「分離が大切」である事に変わりはないです。
実際、僕は今でも強化・融合の訓練をしながらも分離の訓練を絶えず行なっていますし、特に調子の悪い時は「あえて分離だけ」のメニューを行なう事もあります。そして、その方が調子は必ず良い方向に向かいます。
初心者のうちからミックスボイスの練習をするという事は「3つのステップのうちの2つをすっ飛ばしている」という事です。
つまり「炭酸の抜けた炭酸水と、腐りかけのウイスキーを混ぜあわせて、飲めないハイボールを作っている」ようなものです。
そして「ミックスボイスで歌う事が目的なのに、地声と裏声をわざわざ分離させてしまったら、余計に歌いにくくなるのではないか?」という心配は全く無用です。
地声と裏声は、分離すればするほど、それぞれの音質の差がはっきりすればするほど「ミックスしやすく」なってきます。
綺麗にミックスするためには、綺麗に分けておかなければいけません。
中級・上級になってくると、もちろん「融合の訓練」をしなければなりませんが、ボイトレスタートからしばらくは「分離の訓練」だけに特化しても良いと思います。※「強化の訓練」は分離に付随して自然に行なっていることになります。「融合の訓練」(つまりミックスボイスの練習)を全然せず、「分離の訓練」ばかりやっている時期でも、以前に比べると歌い易さは格段に違うと思います。
まとめ
独学を始めたばかりの人は、ボイトレには必ず必要な3つのステップがある事をまず知ってください。
そして、まず最初にやるべきことは「地声と裏声を完全に分けて出せるようになる=声区の分離」です。
このことにたくさんの時間をかけて下さい。
そして、これからボイトレを独学で進めていく過程で「何かがおかしくなった」時があったら、必ず「分離の訓練」へと戻ると良いです。
急がば回れ!
結局は「声区の分離」にたくさん時間をかけた方が、より早く確実に「ミックスボイス」に辿りつけます。
もし、あなたが独学で頑張っているボイトレメニューの中に、上記の「声区の分離」的な要素が皆無なら、もしくは始めたばかりなのにミックスさせる練習ばかりなら、ボイトレメニューを見直してみた方が良いのかもしれません。
以上、ご精読ありがとうございました。