二人で上手くハモれない!声質を似せる、しゃくりやこぶしをやめる、歌いまわしを合わせる

「ボーカリスト」というと、大抵の場合は一人で歌う人のことを指すと思います。

専任のボーカリストが全編通して歌い、時折ギタリストやベーシストがコーラスやハモりを入れる・・・そんなバンドの形態が多い印象です。

一方、前曲通してほぼ”二人でハモる”スタイルもあります。

一人のボーカリストが個性的に歌い、曲を通してその歌手の個性で彩る・・・また二人の繊細なハーモニーを全編にわたって聴かせる・・・それぞれ全く違った音楽の美しさが現れてきます。

さて、こんな質問を受けました。

「二人でハモる曲が上手くいきません。録音を聴き返すと、とりたてて音程が外れているわけではないのですが・・・なぜでしょうか?」

なるほど、ハモりが気持ち良くない!これには色々な原因が考えられそうです。

この記事では「二人で上手くハモるためのコツ」のような内容で書き進めてみたいと思います。

お付き合いください。


細かい部分まで二人の音程が合っていることが大前提です

まず「二人とも音程が合っていること」が全ての大前提であることは言うまでもありません!

この場合の音程とは「声が融け合うかどうか」「二人のハモりが気持ちよく聴こえるか」といった”有機的な”意味ではなく、「ドの音が必要な箇所で、正しくドの音を出す」という”機械的・無機的な”意味での音程です。(質問をくれた生徒さんは「とりたてて音程が外れているわけではない」と言っています。なので、二人の音程は”機械的には”正しいのです)

まずは、それぞれ一人ずつ歌ってみて音程が細部まで合っているか?全編にわたって音程通りに歌えているか?を確認する必要があります。二人ともそれが出来て入れば(少なくとも”機械的・無機的な”意味では)「ハモれる」はずです。

歌において「音程」は、数少ない”主観の入り込む余地のない”要素です。「音程」には”スタイル”や”個性”といった言い訳は通用しません。けれど心配はいりません!ほとんどの人の喉には”音程を調整する力”が充分に備わっています。ただ、それが「使われているか・いないか」の問題だけなのです。

 

声質があまりにかけ離れていると”気持ちの良いハモり”にはなりません。

さて、上の項で書いたように取り敢えず二人がそれぞれの音程を確認して「一人でなら一音も音程を外さずに歌える!」という状態になったら、今度は「ハモりを成立させる」という、有機的な考え方をもちましょう。

まず、二人の声質があまりにかけ離れているとハモりとして成立させるのは中々難しくなります。

音楽によっては、全然違う声質や歌いまわしのまま二人で歌うスタイルもありますが、ここではあくまでも「二人で寄り添う」形でのハモりに絞って話を進めます。

それぞれの声質を”寄せていく・似せていく”ことによって、ハモりはグッと気持ちよさを増してきます。器用な方の人がもう一人の声質に似せて歌うのも良いでしょうし、二人がそれぞれお互いの声を聴いて音質的に歩み寄っていくこともできます。

そうすることで、二人の声の間には”有機的な結びつき”のようなものが生まれてきます。(声の倍音構成が似たものになってくるため、声同士が”融け合う”ようになってくるのです)

 

「しゃくり」や「こぶし」など、歌への過剰な装飾や癖は排除した方がよいでしょう。

二人がそれぞれ、固有で独特の「歌の癖」を持っているなら、それを封印しなければなりません。(そうでなければ、ハモる時には「歌の癖」までも二人で合わさなければいけません)

とにかく、それぞれが「ソロで歌う時とは違う!相手があることだ!」と強く意識して、相方が歌いやすいように・ハモりやすいように”音楽的な真心”を示して寄り添ってあげてください。

現実的には、ノンビブラートの”ストレートトーン”を意識した方が格段にハモりやすいと思います。二人のビブラートが重なり合うと独特の”揺れ・歪み”のようなものが生まれます。「大都会」で有名なクリスタルキングの二人のボーカリストはハモりのパートでもあえて強めのビブラートキープしたまま歌い、そこから現れる独特の”揺れ・歪み”を個性として成り立たせています。クリスタルキングの「大都会」、是非聴いてみてください!

 

歌詞の歌いまわし、ニュアンスの解釈も合わせて行きましょう

歌詞の歌いまわしも、意識して合わせるようにしましょう。

一人は語尾をロングトーンで伸ばしているのに、もう一人は短く切ってしまう・・・その辺りの”フレーズの処理の仕方”のようなものも合わせておくと良いでしょう。

また、あるパッセージを、片方の人は「硬く・しっかりと・厳格に」歌おうとするのに、もう一人は「やわらかく・柔軟に・遊び心を持って」歌うなら、二人のハーモニーに音楽的な調和は生まれません。そんな”ニュアンスの解釈”の面も、大切に考えていきましょう。

例えば上記の異なるニュアンスの声が生まれるのは、発声のための”(喉も含めた)体の使い方”が、そもそもの原因となっている場合もあります。「胸の辺り」を歌声のスタート地点と考えていると、声は自動的に「硬く、張り詰めた」音質になり、「お腹の辺り」を歌声の出発点とする習慣の人の声は「やわらかく、ぼやけた」印象になることが多い傾向にあります。それぞれほとんど無意識に「歌声の呼び起こし方の癖」のようなものを持っており、それに釣られて喉の状態もそれ相応のものとなり、結果として出てくる歌声の傾向も違ったものになってきます。初心者は片方の傾向の声しか持っていないことが多く、硬い声の人は柔らかく歌うことが難しく、柔らかい声の持主は張りのある強い声が出せません。この問題の解決のためには、喉やその他の身体の部分の”偏り”を治すための地道なボイストレーニングが必要です。

二人で気持ちよくハモるには、二人でたくさん歌ってお互いの”出方・傾向”のようなものを分かっておいた方が良いでしょう。洗練された漫才コンビのような”阿吽の呼吸”が生まれれば素晴らしいことです!

 

軽視できない「母音」の問題

歌詞付きの歌を歌うには、その「言葉」の処理の仕方がとても重要、かつ面倒なことになります。これはもう、歌手の宿命とさえ言えます。

歌詞はたくさんの子音や母音で構成されていますが、二人でハモる場合には、特に「二人の母音を統一する」ことに注意を向けましょう。

「あ」・・・字に書くと、ただ一種類の「あ」にすぎませんが、歌う場合には色々な解釈が考えられます。「A」であったり、「Ah」であったり・・・それが日本語の「あ」なのか、英語の「a」なのか・・・

日本語の歌の場合は、母国語だからそんなに意識しなくても良いでしょうけれど、英語の歌の場合は注意が必要です。一人は「英語の”Ah”」を用いているのに、もう一人は「日本語の”あ”」を使って歌っているのなら、これは言わば「全然異なる言葉がぶつかり合っている」という事態なので、そもそも”二人の歌が寄り添う”ことは難しいのです。

上記は、細かい指摘であるようですが、そんなことはありません。母音の働きは”表面上の言葉”ということを越えた意味があり、”母音の作られ方”は歌声の音質そのものにまで影響を与えます。母音には”喉の状態を左右する”ほどの大切な役割があるので、ボイストレーニングのレッスンでは「母音を手掛かりに、発声器官を操作する」ことが、ずっと昔から行なわれています。

 

まとめ~二人の声が融け合うと”至福の美しさ”が現れます!

二人で気持ちの良いハーモニーが作れた時、二人の声が完全に溶け合った瞬間には、至福の美しい音色が現われてきます!

これはソロボーカリストには味わえない喜びです!

そのためには「音程が合っている」といった”機械的な正解”以上に、二人の声が融け合ったり、阿吽の呼吸が感じられたりといった”有機的な正解”を大切にした練習が必要です。

気持ちの良いハモりをお客さんに聴かせることができたなら、そのお客さんは「私も誰かとハモってみたい!」と思うはずです!

 

以上、ご精読ありがとうございました。

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