喉の調子が悪い時は休むのか?歌うのか? 徹底的な「声区分離」で乗り切る

僕が出演させてもらっているキャバンクラブ大阪は、日本でも珍しい「ビートルズナンバーのみ」を演奏するお店です。

そのキャバンクラブ大阪では、ビートルズのメンバーの一人であるポールマッカートニーのお誕生日を祝い、毎年6月に「ポールマッカートニー・バースデーライブ」を開催しています。

その日は、ポールマッカートニーに関連した曲しか演奏されず、正にキャバンクラブ大阪における一大イベントの一つです。

実際のポールマッカートニーの誕生日は1942618日です。70歳をとっくに超えているポールですが、今でも世界を股にかけてツアーを続行中です。彼は正に「ロックの生ける伝説」という形容詞が最も似合う人物です。

キャバンクラブ大阪で「ポールマッカートニー役」として歌わせていただいている僕は、当然ながらこのイベントにも毎年出演させてもらっていて、僕にとってはシンガーとしての一年間の成長を見せる試金石となるものです。

このイベントの思い出・・・自分自身の声に関する事だけでも、本当に色々な事がありました。

毎年、梅雨の季節になると、過去のイベントの記憶がまざまざと蘇ってきます。

そして昨年(2017年度)のイベントでは、僕のボイトレ学習者としての象徴的で決定的な道標となる出来事が起こり、シンガーとしてはもちろん、その後のトレーナーとしての根本的な考え方に大きな影響を与えてくれました。

この記事では、2017年の「ポールマッカートニー・バースデーライブ」で得た経験が僕のボイストレーニングをどのように変えたか?について書いてみたいと思います。

お付き合い下さい。


イベント前の不調

実は、僕はこのイベント前に声の調子を落としていました。

毎年6月は色々なイベントが重なる時期なのです。

寝不足が続き、練習もおざなりになりがちです。

いうなれば「毎年恒例、梅雨時期のスランプ」といったところでしょうか?

そうこうしているうちにイベントの日は段々と近づいてきますが、僕の声は一向に上向きません。

イベントは土曜日だったのですが、前日の金曜日になっても、ついに僕の声に元気は戻りませんでした。

高音は痛んでガラガラになっていて、このままでは使い物にならないとハッキリわかりました。

 

「休むか・歌うか」大きな決断を迫られる

金曜日(前日)のステージを終えて帰宅した時には、声の調子を何とか取り戻すためにはどうする事がベストか?明日の昼過ぎ、最後のリハーサルが始まる時間までに何をしたら良いのか?真剣に考えなければなりませんでした。

僕がやるべき行動は、大きく分けて次の二つの中から選択しなければなりません。

  1. 家を出るギリギリまで睡眠をとり、出来るだけ喉を休める
  2. 早々に起きてボイストレーニングとウォーミングアップを念入りに行なう

僕はこれまでの経験から「喉の回復の遅さ」に気が付いていました。

何時間か睡眠を多めにとったところで、喉の回復度合いは、たかだかしれていると考えました。

結局(2)を選択せざるをえなかったのです。

 

ボイストレーニングとウォーミングアップの内容を考える

ポールの歌は「地声と裏声の声域を頻繁に行き来する」難易度の高いものが多いのです。

そういった広い音域の歌を歌う為には「地声と裏声の融合・一本化」ができていないと難しいのです。

彼の歌には「地声の声域だけ」「裏声の声域だけ」といった、「一つの声区」で歌い切れる歌はほぼないので、調子の悪い時は本当に苦労します。

僕の声のスランプは「地声と裏声の融合・一本化」がやりにく事が原因であることは明らかでした。(というか、誰にとっても、ほとんどの声の問題はこの“融合・一本化”の問題に集約されます)

そこで僕は「ボイトレの基本的な3つのプロセス」のうち、最も基本的な訓練、つまり「声区分離」の訓練に、徹底的に戻ってみることにしました。

ボイトレに限らず、様々なスキルのほとんどは「困ったら基本に返る」という原則を持っています。そうする事が、結果的に近道になることは多いです。

結局、僕がイベント当日の朝から行ったボイストレーニングは「声区分離に特化したアンザッツ」やその他の「声区分離に特化した」ものだけです。

「融合・一本化」に関するトレーニングはあまり行ないませんでした。

そのかわりウォーミングアップでは「融合・一本化」の要素をたくさん含んだ難しい曲をたっぷりと歌いました。

 

この日に学んだ事

結果としては、僕の選択は大正解でした

これらの試み、つまり「声区分離に特化したボイストレーニング」と「難しい歌でのウォーミングアップ」で、僕は調子を取り戻す事ができ、イベントを成功裡のうちに終了させる事が出来ました。

そして、僕は自分の声について大きな事を学ぶことができ、それは、とても実戦的で「歌う現場に近い」トレーナーとしての大切な気付きでした。

僕の中で、この日の経験はシンガーとして・トレーナーとしての大きな礎となりました。

 

まとめ

また、間もなくイベントの日がやってきます。(2018年度は616日です)

せっかく出演させてもらうからには、前年同様、何かを得て帰りたいと思います。

そして、その学びを、生徒さんに鮮度の高い実戦的な情報として還元出来たら幸甚です。

 

ご精読ありがとうございました。

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