繋がらない声は不健康。声は元の状態に戻りたがっている、少し後押しすれば繋がってくれる。

ほとんどの人の声は「地声」と「裏声」に分かれてしまっており、このことが”歌うこと”をとても難しくしている最大の原因です。

「地声だけで歌う」「裏声だけで歌う」・・・これは誰にとっても割と容易く出来るはずです。(あくまでも、その声区に適した音域を歌った場合ですが)

ボイストレーニングの目的は?歌を自由に歌うためには何をどうすれば良いのか?・・・そんな質問にとてもシンプルに表面的に答えようとすると「地声と裏声の繋ぎ目を無くして、両方の声が楽に行き来できるようにする」と言えなくもありません。

つまり、歌の難しさは「声区(地声と裏声)が断絶して別れてしまっている」ことに一番の原因があるとも言えます。

フースラーは、声区の分離を「不健康な状態」であり、神経の伝達が喉に上手く伝わらないために起こる、と書いています。つまり全ての人の声は”健康な状態”なら、一本に繋がっていると捉えることが出来ます。地声と裏声が一本に繋がって初めて「歌声を出す楽器」の完成という訳です!

裏声と地声の「断絶=不健康な状態」であり「繋がっている=健康な状態」であると僕は信じていますが、そう考える根拠となっている僕自身の経験について、色々と書いていきたいと思います。

お付き合いください。


裏声と地声は”元に戻りたがっている”と感じます

他のブログ記事にも書いているように、僕は「裏声と地声は分離させようとすればするほど繋がりやすくなる」と、練習やライブ前のウォーミングアップで感じています。

ライブ前、特に調子が悪い日にそれを強く感じます。裏声と地声をそれぞれしっかりと分けて発声する練習をすると、”声区融合”は自然に起こってくるとさえ感じます。

声区融合のためには、声区の「分離」と「強化」を徹底して練習することが必要です。地声と裏声を個別に鍛えようとしないボイトレは失敗する可能性があります。

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京都、大阪でボイトレ 一歩一歩確実に!一生ものの声を育てる

声の訓練は”治療以外の何物でもない”(フースラー)と言われています。指先の切り傷は”治りたがって”います。声の”不健康な状態”も同じように”治りたがって”いるはずです。

 

少し後押ししてやると”繋がろう”とします。ボイトレでそのお膳立てをしましょう!

何週間も歩くことが出来なかった人を、久しぶりに外に連れ出して歩かせてみます。最初は恐る恐る・・・足元もおぼつかないでしょうが、少し手を引いてあげたり背中を押してあげると、どんどん歩き方を思い出してそのうち自力で歩けるようになるでしょう。”不健康な状態”だった二本の足を、少し後押しすることで”健康な状態”の足に戻して、そもそもの能力である「二足歩行」へと回復させたのです。

ボイトレとは、”不健康な状態”の声を後押して、そもそもの能力である「歌うこと」を思い出させる行為です。

 

歯列矯正での経験(自然の法則とはそういうもの)

突然ですが、僕の個人的な話をさせてください。

僕は数年前に歯列矯正を行なったことがあります。舌で前歯を押す癖があったために長い時間をかけて歯並びが崩れていったのです。

歯列矯正では、歯に鉄製のワイヤーを付けて意図した方向に引っ張って、ゆっくりと少しずつ歯を動かすことによって歯並びを治していきます。

僕も最初は「こんな細いワイヤーで歯が動くんかいな?」と不思議に思っていましたが、これが意外なほどにあっさりと動くのです!それこそ一か月の間に、目に見えて分かるくらい歯は移動します!

歯列矯正の先生は言っていました。「他からの予期せぬ力が加わったことによって歯並びは崩れていく、つまり歯並びが悪くなるという事は、歯にとっては”不本意な位置”に無理やり移動させられてしまっているようなものだ。だから”元の状態に戻す”ように、反対の方向にワイヤーの力をかけてやると、面白いくらいにスムーズに歯は移動するのだよ。つまり歯は”本来の位置に戻りたがって”いるんだよ!」

僕はこの説明にすっかり納得しました。なるほど、自然の法則とはそういうものでしょうね!

歯列矯正とボイトレは全く関係のないことですが「健康な状態に戻すために後押しする」という意味では、何か似ていると感じます。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?

「元に戻りたがっている」もの対しては、その方向に少し後押ししてやれば、ビックリするくらい簡単に元通りになるものです。それが自然の法則というものでしょう。

声は生身の人間が作り出すものです。自然の法則に合致していないとおかしいはずです。

やっぱり、ボイトレは「上達」「習得」ではなく「回復」「治療」なのです。

 

以上、ご精読ありがとうございました。

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