今年(2019年)の1月、僕はライブの予定を一度も入れていません。
直近では最後にステージで歌ったのが昨年(2018年)の12月29日、そして今年(2019年)の2月3日にライブの予定が入っているので、まるまる1ヵ月以上ステージで歌わないことになります。
僕がプロのシンガーとして歌うようになったのは今からおよそ10年前です。その間、回数の浮き沈みはありましたが大抵は週に2~4回、どこかのステージで歌ってきたことになります。
なので、この「歌わない1ヵ月間」は僕にとってほぼ初体験であり、僕の声がこの”長期休暇”でどのような状態になるか?は興味深くもあり、また心配なことでもあります。
さて、最後のライブで歌ってから2週間以上が過ぎました。”喉の長期休暇”も折り返し地点を過ぎたことになります。この記事では現時点で僕が感じていることについて少しまとめてみたいと思います。
お付き合いください。
目次
一日の中で行なっているボイトレ等
今僕が一日の中で行なっているボイトレ・歌に関する事は・・・
- 1時間のボイトレ(アンザッツとレジストレーション、メッサディボーチェなど)
- 適当に好きな曲を何曲か歌ってみる
自分自身で行なっていることは上記の2点です。(その他、レッスンで生徒さんと一緒に声は出しています)
毎日のボイトレは、頻繁にライブに出演していた頃と同じ質と量で行なっています。それから、さすがに”歌の勘”みたいなものが鈍ると困るので、一日に何曲かは必ず歌うようにしています。
順番はもちろん「ボイトレ→歌」です。今月はウォーミングアップに時間をかける必要がないので、特別な声の準備はやっていません。
今、明らかな”歌い辛さ”を感じています。
さて、毎日「ボイトレ→歌」という流れをやっていて感じるのは”歌い辛さ”です。それも明らかな!
具体的には”裏声と地声が繋がらない”ということで強いストレスを感じています。これは予想通りです。不調が形となって現れるのはいつも”地声と裏声の繋ぎ目”の音程だからです。
後は”ライブがない”という精神的な気軽さもあります。ボイトレして歌ってみて「歌い辛いなあ」と感じても、それ以上深追いしてウォーミングアップしようとしないからです。これがこの後ライブで歌うとなると、本番が始まるギリギリまで、あれこれもがき続けることになります。
”歌い辛さ”の原因は・・・
なぜ今の僕は”歌い辛さ”を感じているのでしょうか?
少し不思議な感じもします。以前は週に何度もステージで歌っていたので喉はそれなりに疲れている状態が慢性化していたはずです。今の僕の喉は休息充分!スタミナ万全!なはずなのに。
これはシンプルに「歌う時間」が少ないからなのでしょう。
えっ?毎日アンザッツやメッサディボーチェをやっているはずなのに?・・・とも思ってしまいますが・・・
「”歌うこと”は人間の属性である(フースラー)」を前提として、同じく人間の属性である”2本足で歩くこと”に置き換えて考えてみます。
- 僕は1ヵ月間、歩くことを制限されています。(=ライブで歌わない)
- ただし、歩くことに必要な筋トレやストレッチは毎日行なっています。(=毎日のボイトレ)
- 普段はベッドで横になっています。トイレにだけは歩いて行くようにしています(=何曲か歌う)が、普段寝たきりなのでやはり歩き方はおぼつきません。(=歌い辛さを感じる)
誰もが持っている能力でも、それを発揮する機会があまりに少ないと不自由さを感じる
誰にでも備わっている”2本足で歩くこと”・・・そんな当たり前の能力でも、一か月もの長い間使わずにおくと、やっぱり不自由さを感じると思います。僕は一か月も歩行を制限されたことはありませんが、その間トイレまでしか歩いていないとしたら・・・少なくとも”久しぶりに外を歩きはじめる瞬間”は、(いくら歩行に必要な筋トレは行なっていたとしても)ちょっとおっかなびっくりになると思います。
今の僕の”歌い辛さ”・・・歌うために必要な筋肉のトレーニングは毎日行なってはいるけれど、ほんの少しか歌っていない、そんな状態なのかなと考えています。多分このまま2月3日のライブ復帰の日を迎えたなら、やっぱり「ちょっとおっかなびっくり」になるはずです。
「歌うこと」も「歩くこと」も、”独特の結合”によって成り立っている
発声器官のすべての部分が独特の結合をしたときに、はじめて歌の楽器としての特殊な機能的形態が生まれる
フレデリックフースラー
このフースラーの言葉は、そのまま”歩くこと”にも当てはまりそうです。
僕は「歩行」に関して勉強したわけではありませんが、どうみても単純そうには見えません。色々な筋肉や器官が複雑に働き合って「歩く」という動作を生み出しているように見えます。まさに”独特の結合”をしているように感じます。その”独特の結合”は「歩く動作をする」ことによってしか生まれない(膝や太ももの個別の筋トレでは生まれない)、まさに”特殊な機能的形態”なのではないでしょうか?
僕が毎日欠かさず行なっているアンザッツは”喉を吊る筋肉”を鍛えるためのトレーニングとして知られていますが、いくらアンザッツを何十回とやってみたところで”歌の楽器としての特殊な機能的形態”を呼び起こせそうにありません。
”発声器官のすべての部分の独特の結合”や”歌の楽器としての特殊な機能的形態”は「歌うこと」によってでしか呼び覚ませないのではないか?というのが僕の推測です。
まだライブ復帰まで2週間ほど時間があるので、このまま実験してまたブログに書いてみたいと思います。
以上、ご精読ありがとうございました。
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