【リードの言葉】歌える音域を最初から決め付けてはいけない。皆、もっと幅広い音域で歌える。声の完成間近で声域は決まる。

僕はコーラスを歌う、ハモるグループが好きです。リードボーカル1人とバックボーカル2人・・・ツインボーカル・・・3人でハモる・・・色々なパターンがありますが、人間の声が混ざり合う瞬間、その時の得も言われぬ独特の音質はいつ聴いても気持ちが良いものです。僕は昔からハモることが好きでした。よく仲間と「君は低音を歌ってくれ、僕が高音を歌うから」と、ハモり遊びに興じていました。(熱狂的な高音信仰者の僕は、いつも上のパートを無理矢理にでも歌っていました)

普通「今からハモろう」となったとき、大体が自己申告で「僕が低音を歌う」「僕は真ん中のパートを」という具合に、自分の歌える音域を理解して(理解したつもりで)歌いはじめると思います。つまり何となくではあっても、皆自分の歌える音域をある程度理解していて・・・いや「僕はこの音域しか歌えない」と、自分の声を制限の中に収めてしまっていることになります。

またカラオケ大会の席でも、「原曲はちょっとキーが合わないから」とキーチェンジをして歌うことが当たり前になっていますが、これももちろん自分の声を制限してしまっていることになります。

そんな”歌える音域を自分で制限してしまうこと”は、とても勿体ないことだと思います。

 

下記は「ベルカント唱法 その原理と実践」の著者であるコーネリウス・L・リードの記述です。

声種の決定は、歌手が、徐々に力をつけていく低音部をすべて声域に組み入れ、一方、音階の上部で音量の変化を完璧にコントロールできるようになった後に、初めて詮議すべきものだ。

コーネリウス・L・リード

つまり「まだ声が充分に訓練されないうちは、歌える音域を早まって決め付けてしまわないように」という意味です。(「詮議」とは「評議して明らかにすること」の意味だそうです)

声種とは、いわゆるテナーとかアルトとか・・・歌に使える音域を元に声の種類を分けた言い方ですが、どうでしょう・・・冒頭に書いたように”ハモり”のパートを決める場合、それほど慎重に考えずに歌える音域を決め付けてしまうでしょう。(つまり”早まって決め付けてしまって”います)またカラオケでのキーチェンジにしても同じことです。まあ、現実的にはハモリパートにしてもカラオケのキーにしても「声の成長を待ってから歌う」なんて考えはないでしょうから、仕方がないとは思いますが・・・

リードの言葉をさらに読み込んでいくと「音階の上部で音量の変化を完璧にコントロールできるようになった後に、初めて詮議すべきものだ。」とありますが、この状態つまり「高音の完璧なコントロール」、これが可能になるのはボイストレーニングの過程の中でも相当訓練が進んでからのことだと思います。というよりむしろ「高音の完璧なコントロール」が可能な状態とは「声が完成間近」であると捉えることもできるでしょう。事実、誰にとっても一番難しいのは高音の扱いなのですから。

「音量の変化」と聞いて思い起こすボイトレとしてメッサディボーチェが挙げられます。そのメッサディボーチェはとても難しい練習なので、ボイトレの仕上げに使われるともいわれています。

 

さて、今回引用したリードの言葉からボイトレ学習者は大きな希望を得ることができると思います。今現在、高音が歌えない人も・・・声域の狭さに悩む人も・・・カラオケでいつもキーチェンジをしなければいけない人も・・・まだ自分の歌える音域の全ては表面に現れていないと考えるべきでしょう。皆、まだまだ歌える音域を伸ばせるのです。

僕たちボイトレ学習者、まだまだ道半ばの練習生の時点で「歌える音域」「自分の声の音域的な限界」について決め付けたりしてはいけないのです。そんな勿体ない考え方は忘れたいものです。

そして最後に、やっぱり僕がいつも思うことは、こうです。

「このキーでしか歌えない」ではなく「”今はまだ”このキーでしか歌えない」なのでしょう。

 

以上、ご精読ありがとうございました。

筆者のプロフィール、ボイトレへの考え

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