【質問と回答】歌いながら上手くなる「ボイトレ用練習曲」

過去の記事でも書いたようにボイトレにおける訓練価値の高い声とは、とても簡単に言うと「普段の会話や歌では使わない・使えない声」という事になります。

つまり未使用の声を出して未使用の筋肉を目覚めさせる、言い換えれば「使った事のない声が出ている状態=使った事のない筋肉が働いている状態」と捉える事ができます。

喉を吊る筋肉(喉頭懸垂機構)の活性化・回復こそが声の改善の骨子となるので、人によっては一時的に「ボイトレを始めてから歌を歌う時間が短くなった」という方もいらっしゃると思います。

自分にとって難しいと感じる歌でボイストレーニングを兼ねる事は不可能だと思います。それはスケール練習でも同じ事です。複雑なスケールを練習に使用すると「声のトーン」「断絶の有無」などの大切な聞き分けが疎かになってしまいます。また練習する際にテンポが速すぎる事も良くありません。「簡単な音階をゆっくりとしたテンポで」練習する事でしか、細かな声の聞き分けは出来ないと思います。

 

こんな質問をいただきました。

歌って上手くなる「ボイトレ用練習曲」みたいなもんはないんですか?

この方の主訴とは、「音階練習などのストイックな訓練が大切なのは重々解ってはいるが、歌いながら上手くなれる練習曲みたいなものはないんですか?」との事です。

確かに声楽には「練習曲=エチュード」と呼ばれる、その曲を練習・マスターすれば特定のテクニックが身に付く、というものがありますね。

ボイトレでのエチュードの目的は何か?と問われれば、やはり「喉の機能回復~発声の改善・自由度アップ」という事になりますので、その目的に沿ったエチュードを考えてみました。

僕がギターを学んでいた時には、エチュードをたくさん練習しました。エチュードといっても極々短い物から演奏会でも使える大作まで様々です。また内容も「テクニックを学ぶ」「表現を学ぶ」もしくは、その両方の要素を兼ね備えたものもあります。

 

赤とんぼ

使用する曲は、童謡「赤とんぼ」です。この「赤とんぼ」を3種類の発声で歌います。

日本人ならば誰にでも馴染み深い「赤とんぼ」のメロディーを使用するので、声のトーンにのみ慎重になって下さい。テンポは速いより遅い方が良いと思います。

  1. 息漏れした弱々しい裏声(アイウエオをハヒフヘホに変えて歌って下さい)
  2. 太く充実した地声
  3. 平べったいキンキンした裏声

キーは、裏声で出る「最低音」を赤とんぼの最低音(出だしの”夕焼け~”の”ゆう”の音)に設定してください。

1~3全て同じキーで歌って下さい。

ではまず、1を歌ってみましょう。

弱々しくヨレヨレになっても構いません。とにかく息を漏らしてください。

 

次に豊かなイメージの地声で。所謂「昭和の良い声」風に!

 

最後に平べったく薄いイメージの裏声で。

 

このエチュードの狙い

地声と裏声の分離

ボイトレの最終的な目標である「地声と裏声の融合」のためにはまず、「地声と裏声の分離」を促進させる事が大前提となります。

「地声と裏声なんかそれぞれ別々に出せるわい!」という方も実は地声と裏声が少なからず混合している場合がほとんどです。

試しに「息を吸って(吸気発声)」裏声を出してみて下さい。その時、声に「濁り」があるなら「地声と裏声が混合している」のかもしれません。この「吸気発声」、普段の僕たちの生活ではあまり必要ではありませんが、ボイストレーニング、特に裏声の強化にはとても有益だと言われています。

この「分離」を促進するために、同じ音程で裏声~地声~裏声の順番で歌います。

そしてそれぞれの感覚の違いを認識して記憶するようにしてください。

 

裏声の強化

純粋な裏声は「息漏れする」ことで発声できるので、息漏れしやすい「ハ行子音」を含めながら歌っていきます。

この場合の「息漏れ=ハ行」のように、子音と母音の選択が訓練価値の大小を決めてしまう事もあります。レッスンで指示されたり、ボイトレ本のサンプル音源等で使われている子音・母音には大きな必然性があると考えて下さい。

 

裏声の下降

自由自在な声、つまり「裏声の領域の中で地声が活発に動き回る」ためには、「平べったい裏声がどれだけ低い音程で出せるか」が重要です。

このようにボイトレでは意外に「裏声の低さ」も肝心です。

「低い裏声の重要性」はつい見過ごされてしまいがちですが、実うらごえ大切で「声が自由になるための足場」を形成していると考えられます。僕の仲間のシンガーでも、声が破綻しない・喉のスタミナがあるタイプの人は、例外なく裏声が低い音程まで出せる人たちです。

石橋ボイストレーニング教室
石橋ボイストレーニング教室
https://ishibashivoice.com/falsettovoice/
京都、大阪でボイトレ 一歩一歩確実に!一生ものの声を育てる

 

まとめ

というわけで、ある程度練習の目的を絞って考えてみました。

こんな風に「分離が大切」だとか「裏声を低くする」とかのキーワードが頭の中に浸透していれば独自の練習方法を考える事も可能になってきます。

「分離と裏声純化の為の3つの赤とんぼ」

良ければ一度お試しください。

 

以上、ご精読ありがとうございました。

筆者のプロフィール、ボイトレへの考え

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