声量は必要なのか? ボイトレでは常に最大の声量を求めて訓練価値を高める

「ライブではマイクを使うのに、声量は必要なのか?」という質問を受けました。今回はそれに対する僕の考えを書いてみたいと思います。

ボイトレ初期の段階からあまりに大きな声量を求める事は喉の健康上良くないが、いずれは「声量はあるに越したことはない」のだから積極的に大きな声を出していくべきである。そしていざライブで歌おうとした時に、最低限の声量がないととても困ることになる。

あなたがライブで歌う時に声量が必要ないとしても、トレーニングでは最大限の声量を求めていくべきである。このことはトレーニングで出す声に「美醜の基準」を設けないことと同じである。

僕が出演しているお店の店内、スタッフの人たちが開店準備をしている傍らで、僕はいつもの日課である自分のボイストレーニングを行っていました。

お酒を運んできた業者さんと対応する人やPAの確認をする人に交じって、スタッフのある人が店内を掃除していました。「ブオー!」という掃除機の音(旧式の掃除機なんです・・・)が店内に響き渡り、その音でトレーニング中の僕の声はかき消されていました。

僕はふと思いました。「僕にもっと声量があれば、こんな状態でも楽々練習が出来るのに・・・」

レッスンを受けてくれている生徒さんや僕の家族、友人たちは僕の声を「うるさいくらいに大きい!」と誉めてくれますが、自分自身はまだまだだなあと思います。

僕を教えてくれている先生たちの声を思い出してみます・・・うん!あの人たちならきっと掃除機の音なんかに負けないだろう!

これからも更なる「本物の声量」を求めていかなければいけないことを強く実感した瞬間でした。

 

ロック・ポップスにも声量は必要です

さて、僕が身を置き好んでいる音楽、つまり「ロック・ポップス」というジャンルの歌手やボーカルの指導者の中には「マイクを使って歌う俺たちのジャンルには声量は必要ない。マイクとPAに全ての仕事を任せればいいんだ!」という考え方がまかり通っている感があります。

確かに(特に喉が未熟な状態で)無理やりに声量を上げる事は、余計な呼気圧迫を生み喉の自由を奪います。また声帯結節などの心配もあり、無責任には推奨できません。

けれど、時として「声量」は、余りにも邪魔者扱いされていると感じます。

ライブ本番で「大声で“がなる”」ことは「非効率的・非合理的である」という考えのもと、ボイストレーニングの段階から声量は抑えられ、「効率の良い息の使い方・無駄に体力を消耗しないように」という指導が行われる場合もあります。

僕も実際にそのような「声量は悪」的な思考に捕らわれていた時期もあり、また「ライブでは声量を抑えて歌う」ことを重視していました。

けれど、少なくともトレーニングの段階では「最大の声量」を求めて練習することは必ず必要なことであり、もっと言えば「大声で“がなる”」にほとんど近いような状態まで自分の声の(音量という面からの)最大値に到達しようと挑戦することが必要だと考えています。

 

「大きな声が出るようになった!」・・・ボイトレの素晴らしい成果です

ボイトレをして大きな声が出せるようになった、声量が増した・・・誰の耳にも明らかな素晴らしい“声の変化”です!

小さな声で無理やり繋いだ(ライブには使えない)ミックスボイスを習得するよりも、もっと根本的で分かりやすい「声の可能性の広がり」だと、僕は思います!

 

ライブにおいて「声量が必要ない」ことはあり得ない

現実問題としてライブなどにおいて「声量が必要ない」という場面はほとんどありません。

自前の高性能のマイクを持ち込み、優秀なPA技師さんの手で音響操作をしてもらい、抜群のモニター環境で歌う・・・あなたが、そんな“幸運”に出会う機会は稀だと思います。

ギターアンプがあなたの真後ろにある・・・興奮したドラマーの音量がいつもより大きい・・・ライブでは、いつもどこかで予期せぬ「音響の不具合」が起こるものです。

そんな時に最低限の声量さえ持たないシンガー、大声を出す事に慣れていないシンガーは厳しい状況に立たされてしまい、本来の力を発揮することができなくなります。

つまり、マイクやPAのお世話になるという前提のジャンルでも、声量はあるに越したことはない、いや!必ず身に付けておかなければならないのです。

 

声量も「訓練価値を上げるため」と考える

練習の段階で出す声に「ジャンルのマナー」「声の美醜」という基準を持ち込むことはボイストレーニングを失敗させます。ボイトレでは、あくまでも「今出している声は訓練価値があるのか?」という一点に考えを巡らすべきだからです。

つまりロックシンガーが「俺の歌いたい曲にはそんな柔らかいファルセットなんか必要ないんだ!」、オペラ歌手が「私の歌いたい歌曲ではそんな平べったい声は使わないのだよ」と考えて、それらの声を練習に取り入れないと、声に「ジャンル的な偏り」が生まれ、声の不具合を生むことになります。

上に書いたことと同じことが「声量の問題」にも当てはまると思います。

つまり、マイクやPAを使って声を増幅させるロックやポップスのシンガーが「俺は本番ではマイクを使って声を増幅させるから、そんなに大きな声量で練習する必要なないのだ」と言って、声を抑えた練習ばかりしていてはいけないのです。そういう考えで声を抑えて練習することは、せっかくの訓練価値を下げてしまうからです。

 最大限の声量でボイストレーニングをすること・・・このことに、あなたの歌いたいジャンルがマイクを使うか否かは関係がありません。シンプルに“訓練”として、声量を上げて練習することは必要なことなのです。

「ボイトレを始めてからの私の声、何がどう変わった?」と誰かに訪ねてみてください。「う~ん、良くわからないけど、声は大きくなったね!」という返答をもらう・・・素晴らしいことではありませんか!

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以上、ご精読ありがとうございました。

筆者のプロフィール、ボイトレへの考え

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