ボイトレ的欲求「ああ、この人の歌声を聴いてみたい!」。話し声と歌声の関係

話し声と歌声はもちろん関係があります。もちろん、それは”正比例の関係”であり、つまり「良い話し声」の人は「良い歌声」の持ち主である可能性がとても高いといえます。

そして「話し声から歌声への働きかけ」よりも「歌声から話し声への働きかけ」の方が劇的に効果が高いように感じます。

つまり、話し声を変えたい人は、歌声の練習をするべきです。

まれに、弱々しい話し声なのに「歌うと凄い!」という人もいらっしゃいます。”歌声のための道具”は、ある条件が揃ったとき時だけに突如として存在を露わにする”統合された道具”であると言われます。喉・・・呼吸器・・・共鳴のための部位・・・それらは”歌声”という特別の声を発する時にだけタッグを組んで仕事をする・・・とは、フースラーの言葉です。上述した「歌うと凄い!」タイプの人は”良い道具の持ち主”というより、”道具をスムーズに統合できる人”だとも言えるでしょうか。

さて、僕は2018年末から2019年始にかけて「ああ、この人の歌声を聴いてみたい!」と感じた出来事が2件ありました。

そんな記事になりますが、何卒お付き合いください。


忘年会で出会った「良い声」の人~その人の歌声を聴くことが出来ました。

まずお一人目の話・・・

昨年末、僕はある団体の忘年会に出席していました。その団体の集まりではちょくちょく顔を合わす40代の男性がいらっしゃいます。

彼は陽気で声の大きな人です。そんな彼、お酒を呑むとより一層大きな声になりますが、宴もたけなわとなり皆疲れてしまっている時間帯になっても彼の良く通る声だけがいつまでも大音量で聴こえてくる・・・そんな人です。

彼の声は、普段の会話の時から”細かな歪み”の要素を含んでいます。声質としては”平べったく鋭い”印象です。(アンザッツでいうところの「1番」に近い印象です)

つまり「喉の位置取りは高い」「歪み(ガム)声である」といった特徴で、”男性的で太く豊かな声”とは程遠く、少しキンキンとした金属的な響きがあり、声の印象からは実年齢よりも若く感じられもします。

さて、その日の忘年会も終わりに近づきカラオケを歌おうという事になり、いよいよ彼の歌声を聴くことができました。

彼の歌声は・・・予想に違わず素晴らしいもので、話し声から受ける印象そのままに音程の確かさ、声量、音域の広さ・・・誰もが「上手い!」と認めるものだったと思います。

僕は毎日のボイストレーニングを続けた結果、自分の”話し声”にも変化が現れたと感じています。具体的には以前よりも”キンキンとした”声質に変わったと思っています。(ある人はウォーミングアップ後の僕の声を「まるでヘリウムガスを吸ったような声」と評してくれたことがあります) 彼の普段の話し声の中に聴きとれる「金属的な響き」は、ウォーミングアップ後の僕の声にとても似ていると感じました。彼はボイトレ学習者ではありません。ましてや”特別な喉を持って生まれてきた”わけでもありません。彼の喉は今までの生活の中で他の人よりもいくぶん「良い使われ方」をしてきたのだと思います。

 

銭湯で出会った「良い声」の人~この人の歌声を聴いてみたい!

そして、お二人目は・・・

僕は「銭湯巡り」が趣味であります。(僕の住む京都には、まだ銭湯がたくさん残っています)

いわゆるファミリー向けの”スーパー銭湯”とは違い、昔ながらの銭湯には常連さん同士の会話がまだまだ残っており「よお、久しぶり!」「今日は仕事だったの?」などの会話の声が天井の高い浴場の中でコダマして、独特な音場をこしらえています。

僕自身は積極的に会話をしようとは思いませんが、湯船に浸かりながらそんなお客さん同士の日常会話が聴こえてくる・・・そんな、銭湯ならではの風景にも魅力を感じています。

さて、大抵の銭湯には小さな「サウナ室」が付いているのですが、その中で「良い声」の人に出会いました。50代とおぼしきその人はお連れの人と話をしていたのですが、何しろ声量が尋常ではないのです!少し甲高い声でとても大きな声で話すので周りにいる他のお客さんは少し迷惑そうな顔をしていましたが(笑)。

僕はずっとその人の声を聴いていました。その声質はやはり「金属的な響き」を伴っています。その人は取り立てて大きな声で話している自覚はないようですが、出てくる声はキンキンとしていてとても良く響いています。(歪みの要素はあまり感じられませんでした)

僕は「この人の歌声を聴いてみたい!」と強く思いましたが、まさか銭湯で出会った人にそんなことをお願いするわけにもいかないので・・・

でもきっと、この人は歌も上手いと思いますよ!

 

「良い声」の中に潜む”金属的な響き”

上に書いた二人の例にもあるように”良い歌声を予想させる話し声”の条件に「キンキンとしている」「金属的な響きを伴う」といった要素が深く関係しているように感じられます。

僕自身が一日の中で行なうボイトレやウォーミングアップ。その過程の中での”声の変化”を思い返してみます・・・起き抜けは重く締まりのない声です。そこからアンザッツなどで”喉を吊る筋肉”を目覚めさせ、実際に歌ってみたりしながらウォーミングアップしていくと、僕の声はやっと「キンキンとして」「金属的な響きを伴って」きます。この時点で初めて僕の喉は”歌声のための道具”としての仕上がりをみることになります。

多くの人の”歌声のための道具”は、大なり小なり損傷していると言われています。

今回例にあげた「良い声」の二人は、そんな”歌声のための道具”の損傷を少なく過ごしてきた人たちなのかもしれません。

 

以上、ご精読ありがとうございました。

筆者のプロフィール、ボイトレへの考え

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