自分の声を聴き過ぎず、喉の感覚・声の感覚を鍛える。ライブでPAやモニターの影響を受けないために

先日、あるパーティーで演奏をさせてもらう機会がありました。

それほど広い会場ではなかったのですが、パーティーの参加者は40~50名くらいだったでしょうか、会場の中は熱気が溢れていました。(そもそもこのパーティーは新進気鋭の若手起業家の方の集まりだったので、その人たちが持つ事業に対する前向きなエネルギーが充満している!そんな印象でした)

僕たちのバンドはパーティーが始まる前に会場入りしてサウンドチェックやリハーサルをやったのですが、当然この時点での観客は”ゼロ”です。それがパーティーが始まる頃、つまり僕たちのライブがスタートする時点では”40~50人”となっていることになります。このリハーサルと本番との”会場の人口密度の差”は、音響に大きな影響を与えます。

結局、この日はリハーサルと本番との音響の差に戸惑いながらのライブとなりました。

会場の作りや大きさによって、上に書いたような音響の差を強く感じることもあればあまり気にならない時もあります。他にもその日の天候や湿度も音響に影響を与えるようです。(因みにその日は雨でした)

さて、僕は上に書いたような経験から「喉の感覚・声の感覚を鍛える」ことの必要性を強く再認識しました。やはり自分の喉の感覚を研ぎ澄まして、音響環境から受ける影響を出来るだけ減らしていきたいものです。

今回は、そんな内容で書き進めてみたいと思います。ライブで歌っている人の参考になれば嬉しいです。

お付き合いください。

 

ライブでモニターに頼りすぎることは避けましょう

現代のミュージシャンは、その気になれば「自分の音をたっぷりと聴きながら」演奏したり歌ったりすることが出来ます。(イヤホン型の”イヤーモニター”を使う人も増えています)

確かに自分の声がしっかりと聴こえる状況で歌うことには(音程的にも音質的にも)”確信”を持ったまま歌うことができると思います。自分の出している声の音程・音質をリアルタイムに耳からの情報として確認しながら歌うわけですから、当然安心して歌うことはできるでしょう。

けれど、上に書いたような”モニターに頼りすぎる”ことが癖づいてしまうと、その環境から中々抜け出せなくなってしまいます。つまり「自分の声をたっぷりと聴きながら」でしか歌えない、という状況に陥ってしまいかねません。

僕自身は、モニター環境は”ほどほどの”状態で歌うことがベストだと考えています。

以下に、その理由を書いてみます。

 

とびきりアウェーな環境のために「潤沢なモニター環境」は温存しておく

いつも出演しているライブハウス、気の合った仲間で主催するライブ、客席から友人たちが声援を送ってくれているライブ・・・シンガーは、このような「ホーム」の状況のライブばかりではなく、とても「アウェー」な状況で歌うことも考えておくべきだと思います。

慣れない会場で、見知らぬお客さんばかりのライブ・・・そんな時のシンガーの精神的なプレッシャーは相当なものなので、普段は上手くいくこと、これまでのボイトレで積み重ねてきたものは、ガラガラと音をたてて崩れてしまいかねません。

そこで、そんな「とびきりアウェーな状況でのライブ」のために”潤沢なモニター環境”を温存しておいてはどうでしょうか?いつもと違うやりにくい環境の時は、自分の声をたっぷりとモニタースピーカーから返してもらって、”確信や安心”をもって歌うのです。

 

喉の感覚・声の感覚を研ぎ澄ますことで「環境に依存すること」から離れる

モニターの聴こえ方などの音響環境に依存するということは、結局は「自分の歌の出来不出来を人の手に委ねる」ことです。モニタースピーカーなどのPA機器やPA技師さんたちの腕前・やり方によって、その日の自分の歌の良し悪しが左右されることになります。

これはとても危ういことです。せっかくの練習の蓄積を”環境”のせいで奪われることは避けたいものです。

そのために出来ることは「喉や声の感覚を鍛えていくこと」しかありません。例えば、スタジオ練習でのモニターの音量を極力下げて歌ってみるのも良いと思います。そしてその練習の録音を聴いて「喉の感覚と、録音された声とのズレ」を自覚して調整していけば良いでしょう。

自分の声を聴きすぎないこと、聴覚に頼らず喉の感覚で歌うこと・・・これは最初はとても怖いものです。僕自身もずっと「環境に依存してしか歌えない」そんなシンガーだったので、そこから抜け出すのにはかなりの時間がかかりました。僕は長らく”モニターなしでは歌えないシンガー”でした。そして日に日にモニターの音量は上がっていきました。耳からの情報しか頼りにできない・・・そんな状況に陥っていたのです。

 

モニターの無かった時代を生きたシンガーたちがやったこと

1960年代のシンガーたちは、ほとんどモニタースピーカーを使わず(つまり、自分の声がほとんど聴こえない状況で)歌っていました。

この時代のボーカルグループの映像を見ると、1本のマイクに2人が顔を寄せ合ってコーラスを歌っている光景を目にします。これは自分の声が聴こえないので、二人が顔を寄せ合ってお互いの声を聴き、それを足掛かりにハーモニーを歌っていたためだと言われています。

今の僕たちの環境に比べたら「劣悪」とさえ言えるこの時代に生きたシンガーたちは、自分の喉や声を「感覚で捉える」ことを、信じられないような精度で行っていたのではないでしょうか・・・

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?

自分の喉・声を、環境や人の手に委ねることは極力減らしていきたいものです。

この記事で書いた「喉や声の感覚を研ぎ澄ます」ことは、”ライブで上手く歌う”というとても現実的な面から、ぜひ積極的に取り組みたいことです。

いつ何時でも、そしてどんな場所でも歌えるシンガーを目指していきたいものです。

 

以上、ご精読ありがとうございました。

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