歌には”間違って覚えている音”がある。誰かに指摘されなければ、自分では気が付かない。

僕が高校の頃、世の中は”バンドブーム”の最中でした。それこそ猫も杓子もギターを買い、適当なバンド名をつけて集まって演奏していました。

”ブーム”というのは恐ろしいもので、音楽に興味がない人でもバンドを組んでいた、そんな時代です。まず「バンドを組む」ということが大前提なのです!

普通は演奏したい曲・歌いたい曲がまず先にあって、その曲を仲間と一緒に演奏したい!人前で披露したい!という思いに駆られ、結果バンド結成となるわけですが・・・ある友人は「俺もそろそろバンドくらい組まなくちゃあな!」ということで仲間を集めていました。そして3~4人の仲間を集めてギターを買って・・・「さあ、何の曲をやろうか?」と、そんな感じでした!まあ、それほど誰でも彼でもバンドを組んでいた、そんな時代でした。

僕が通っていた高校は、文化祭で”先生たちのバンド”による演奏がありました。皆、それを楽しみにしていて、文化祭後の授業では、演奏した先生に歓声を上げたり冷やかしたり・・・その影響で他にも増して学内バンドブームが熱かったのかもしれません。

ご多分にもれず僕がバンド活動を始めたのもその頃で、学友たちと近くのレンタルスタジオで週に一度くらいは練習していたと思います。

 

さて、僕はギターを手にした時期が他の学友たちより少し早かったのです。最初に家にあったアコギを弾いたのは小学校5年生の頃だったと記憶しています。他の皆がギターに目覚めるのは大抵中学3年から高校にかけての頃なので、僕には数年の”ギター経験アドバンテージ”がありました。つまり(早く始めたという理由だけで)周りの友人たちと比べて”少し上手く弾ける”という自負がありました。

皆、当時はギターを”耳コピ”していました。つまり楽譜を買わずにレコードやCDを繰り返し流して耳で音を取っていくのです。僕は友人たちより早くこの”耳コピ”を始めたので、自分の耳にも絶対の自信を持っていました。つまり誰よりも正しくCD通りの音が取れている!CDと同じ演奏が出来る!と・・・

ある日、僕はある友人の家へギターを持っていき、自分が最近”耳コピ”した曲を弾いてみる機会がありました。僕が新しく覚えた曲はキングクリムゾンの「Red」というインストの(歌なしの)曲で、ギター歴数年の高校生にはとても難易度の高い曲です。僕が友人たちに聴かせたかったのは、もちろん難曲「Red」を弾ける自身のギターテクニック(今思うと幼稚なテクニックですが)もそうですが、実は一番評価されたかったのは「Red」を耳コピした僕自身の”耳”でした!

「どうだ!こんな難しい曲も僕は耳コピ出来るんだぜ!凄いだろう!」と、まあそんな感じです。

さて、3人の友人たちの前で、家で何度も練習した「Red」弾いてみます。耳コピは慎重にやりました、本家キングクリムゾンの演奏と一音も違っている箇所はないはずです。友人たち3人は「Red」を良く知っているはずなので、この曲の難しさも分かってくれるでしょう。僕は自信満々に皆の前で披露しました。

僕の演奏が終わると、僕より数年遅れてギターを始めた一人の友人が言いました。「その曲、耳コピしたんだよね?」

僕「そうさ!コードがややこしくて少し手こずったわ!」(謙遜です)

友人「AメロのところがCDとちょっと違うなあ、変な音が一音交じってないか?」

・・・そして、その場で「Red」のCDをかけて確かめてみました。はい!一音余分な音が入っていました!

 

そうなんです、人は思い込みでメロディーに一音加えたり削ったり、平気でやってしまうのです。慣れているから完璧だ!と思っていても、意外なところで間違った音で覚えてしまっているものなんです。

今回のブログではギターの耳コピのエピソードについて書きましたが、僕は歌のメロディーでも何度も同じような経験をしています。そんな時、決まって人からのアドバイスで初めて間違いに気付いています。

誰にでも起こり得るメロディーの覚え間違い・・・注意したいものです。

僕が日常的に歌っている曲の中にも、ひょっとすると間違って覚えているメロディーが潜んでいるかもしれません・・・

 

以上、ご精読ありがとうございました。

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