ボイトレ本の著者やボイトレサイトの情報発信者は「あなたの声を聴いた事がありません」

ボイトレの練習メニューに二つと同じ物はありません。

レッスンを受けている方は、先生があなたの声を聴いた上で、あなたにあった練習メニューを、いわば「オーダーメイド」で作ってくれています。

つまり皆それぞれ、今の喉の機能状態は違うわけですから、100人のボイトレ学習者がいれば100通りの練習メニューが存在することになります。

では、ボイトレ本やネットの情報を元に独学で勉強している方達はどうでしょうか?

まずは、本やサイトに載っている練習メニューが「何を習得させてようとしているか」を明確に分かっておく事が大切です。

そして何よりも「著者や情報発信者はあなたの声を聴かずに練習メニューを提案するしか手立てがない」という事実です。

その人達が無責任なわけでも何でもなく、文字や模範音源からボイトレする事の限界は当然あるので、自分自身の判断に委ねられる部分が絶対に出て来ます。

そんな時に注意すべき事などについて書いてみたいと思います。

お付き合いください。


これは何の訓練か?」明確にする

一つの練習をやろうとする時、「この練習の目的は何か?」「何を習得させようとしているのか?」を明確に知っておくことが必要です。

この場合の練習目的・習得させようとしている事は何なのか?を強く意識することによって取り組み方は全然違うものになってきます。

例えば、「地声で半音づつ上がっていく」音階練習メニューがあるとします。

地声の強化を目的とする場合は・・・

地声として成立するギリギリの音程まで「太く厚く」出さないといけません。声量もあった方が良いでしょう。

 

一方、裏声への橋渡し(融合)を目的とするならば・・・

音程が高くなっていくにつれて「細く薄く」していかないといけません。最後は裏声に抜けていった方が目的に沿う事になります。

 

この例のように、習得したい目的によって全く違う、むしろ正反対といって良い取り組みをしなければなりません。

これを取り違えたり曖昧にしたまま練習しても訓練価値がないどころか、喉を傷めたり、つまり害になることすらあり得ます。

上記の前者のような「地声を張り上げる・持ち上げる練習」は喉への負担が大きいので、何度も続けてやらないようにして下さい。

 

自分の声のバランス・特徴を考慮する

声には人それぞれの「現状のバランス」があります。

例えば、下記の二人は正反対の声のバランスだと言えます。

  1. 太い地声で話したり歌ったりする男性→地声ばかりが育ってしまっていて裏声が極端に弱い
  2. 声量がなく曖昧な声で話したり歌ったりする女性→裏声優勢のバランスになっていて地声が弱い

当然、両者は練習の内容も全く違うものになるはずです。

ボイストレーニングでは、誰でも共通して行なう基本的なメニューに加えて「現状の声・訓練の進み具合」に合わせた個別の練習メニューが必要になってきます。

おおまかににいうと、上記の1の男性では裏声の強化が必要であり、2の女性は地声の訓練が最優先されます。

ボイトレ本やネット上の練習メニューには「女性用メニュー・男性用メニュー」か、かなり親切なものでも「高い女性用・低い女性用・高い男性用・低い男性用」といったメニューしか用意されていないと思います。

ボイトレでは「地声と裏声・声区のバランス」は、練習を進めていく上でとても重要な事で、地声または裏声のどちからが抜きん出てしまっていないかを常に気にかけていく必要があります。

そして、ボイトレ本の著者やネット上の発信者は、あなたの「声区のバランス」までは気にかけてはくれません。※あなたの声を聴かないと、その人達も「今のあなたの声区のバランス」は分からないからです。

一般的には男性は「地声優勢」であり、女性は「裏声優勢」のバランスになっている事が多いです。社会生活のマナーの上での「男性の声」「女性の声」のイメージから考えると、そのような声のバランスが作られていく場合が多いからです。※あくまでも一般論です。裏声が育っている男性や豊かな地声が出せる女性もたくさんいます。

また「地声と裏声の混合の程度」も、自分での判断が難しい事の一つです。

誰でも多かれ少なかれ、裏声と地声が不適切に混ざってします「声の混合状態」を持っていますが、この「混合状態」がどの程度なのかによっても、当然やるべき練習は変わってきます。※当然、混合が強ければ強い程、分離練習を徹底的にやった方が良いです。

僕も自分の声の「混合状態」をレッスンで先生に指摘してもらいました。(幸いそれほど深刻ではありませんでしたが) やはり中々自分では分かりづらく「なぜだか歌いにくい」「歌の最後で声がガラガラになってくる」といった自覚しかなかったです。

 

まとめ

独学でボイトレする場合には、「この練習の目的」を具体的に理解しておくことが大切です。

習得目的によって、取り組み方が180度変わることもあるからです。

また、自分の声のバランスを知っておいて、少なくとも「片方の声区だけ成長させる」ような練習をしないように気をつけなければなりません。

独学する人が常に念頭に置いておくべきことは「ボイトレ本の著者やネット上の情報発信者はあなたの声を聴いた事がない」という事実です。

結局は自分自身の判断に委ねられる部分がどうしても出てきてしまうので、そこを冷静に判断して間違えないようにしてもらいたいと思います。

 

以上、ご精読ありがとうございました。

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